エピソード51
アミンを先頭に、一行は分離壁へと向かった。
ア「ちょっとうるさくてもいいかな?」
ラ「何をするんだ?」
ア「鉄を打つんだ」
ラ「意味がわからん。まぁ鍛冶の音なら村の者は怒らないだろう」
アミンは馬車から鍛冶道具を取り出すと、壁のほど近くでキンキンと鉄を打ち始めた。
キンキン。キンキンキン。と10ばかしも打つと、沈黙して耳をじっとそばだてる。
すると20メートルほど横にずれ、また同じように鉄を打つ。
ラ「何をやっているんだ?」
ア「大きな空洞があるなら」キンキンキン。
な「あるなら?」
ア「響きが変わるはずなんだ」
キ「なーるほど!ウフフ♪」キキは上機嫌に笑った。
他の者たちは、それを聞いてもピンとこない。
ア「まぁ見てなって」
キンキン。キンキンキン。
キンキン。キンキンキン。
5か所目に移動したときだった。
キンキン。キンキンキン。
ア「お?」アミンが何か反応した。
キンキン。キンキンキン。
ア「音が変わった!ほら!」
キンキン。キンキンキン。
な「え、わかんない(汗)」一同、同じ思いだった。
ア「いや、変わった。少しボワボワ響いてるの、わからないかな?」
ラ「職人の、耳か・・・!」
ゆ「それで、どうするの?」
な「みんなで穴ほり??」
ラ「確証もないのに穴を掘り始めるというのは・・・」
ア「いや、魔法で近道しよう。
みんな一斉に、《メラ》だよ♪」
音の変わったこの地面一帯に、みんなで一斉に《メラ》の魔法をぶつける。アミンの作戦はこうだった。
ア「いいかい?せーの!」
《メラ》!!みんなは《メラ》を、そしてキキはこっそりと《メラミ》を放った!
ドゴーーーーーーン!!
地面はやけに派手な音を立てると、辺りの土は陥没を起こした!穴があったのだ!
穴は分離壁の向こうへと向かって伸びている。人によって掘り固められた形跡が、ある。
ラ「ほ、本当に・・・穴があった・・・!」ライアンもその真相の究明に、大きな興奮を隠せないのだった。
トンネルのはじまりに、小さなプレートが埋め込まれていた。
刻まれた文字は酷くかすんでいたが、まだ識字できた。
『道は、切り拓くものだ。
そして、昔の者に出来たのならば、今の者にだって出来る』
まるで、100年後に誰かがこれを見ることを、予見していたかのように・・・
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