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エピソード52『世界樹 -妖精さんを仲間にするには?-』

エピソード52


ライアンは、少し考えてからベロニカを見つめた。

ラ「ベロニカと言ったか。

 おまえは城でお貴族さんのような暮らしをしてきたんだろう。

 ならず者から譲り受けた、ボロボロの剣でも耐えられるか?」

ベ「え・・・!?」

ラ「餞別だ。くれてやる。

 こんなボロで良いのであれば、だがな」

ライアンは小さく笑うと、腰に提げていたボロボロの剣をベロニカに放り投げた。

ラ「こいつは祖父さんの形見だ。

 思い出はあるが、価値はない。この世界において、およそ1ゴールドの価値もない。

 しかし、オレからの餞別だ」

ベ「いいのか?

 ボロボロだって何だって、僕はまったく構わないんだ!

 しかし思い出というのはきっと、とても大切なものだ!」

ライアンはまた小さく笑った。

ラ「いいんだ。

 思い出というのは、懐かしんでいたって意味がない。

 それを未来にどう繋げるかだ」

べ「あ・・・ありがとう!!!」ベロニカは頬に大粒の涙を浮かべた。

ライアンはベロニカが剣を受け取ったのを見届けると、もう振り向いて集落へと戻ってしまった。



一行はライアンと別れ、トンネルを進みはじめた。

最初は入口からの光でうっすらと視界が保てたが、それは30メートルと続かなかった。

ア「火を着けるか」アミンは燃えそうな枯れ枝に《メラ》で火を灯そうとしたが、そのとき!

キーキーキー!

なんと、まもののむれがあらわれた!

ドラキーマが十数匹、群れをなして襲い掛かってきた!

ア「魔物が巣食っているのか!」

一行はひるまず、戦闘態勢に入った。

アミンの攻撃!アミンは《めがみのムチ》を振り回した!

ミス!ドラキーマはすばやく身をかわした!

ゆ「きゃぁ!アミン動かないで!視界が真っ暗になっちゃう!」

キーキーキー!

ドラキーマの攻撃!やつらは視界が悪くても器用にこちらを攻撃してくる!

キ「アミン!こんなときこそ《レミーラ》よ!

 そしてあなたはパーティの真ん中に立って!」

ア「そうか!」アミンは自分が、たいまつと同じ効果の魔法を伝授されたことを思い出した。

ア「《レミーラ》!!」アミンの周囲30mほどが、ほのかな光に包まれた!

一行はアミンを中心に陣形を取り直し、ドラキーマの群れを退治した!


しかし!

息つく暇もなく、再びドラキーマの群れが襲い掛かってきた!

ア「100年あったら、どれくらい繁殖するんだろう(汗)」

冗談を言っている場合ではなかった!

ドラキーマの攻撃!

ド「《マホトラ》!!」

ななはMPを6吸い取られた!

な「わわぁー!なんか変な感じ!」

キ「マジックパワーを吸い取られたのよ!」

ア「ヤバいぞ!トンネルの中で魔力を吸いつくされたら全滅だ!!」

あまり強そうに見えない魔物だが、見た目以上に厄介であるようだった。

キ「なな!背中の《まふうじの杖》を振りかざすのよ!」

な「はぁい!」

ななは言われた通り、《まふうじの杖》をええいと振りかざした!

ドラキーマたちの魔法は封じ込まれた!

ベ「ふぅ。厄介な魔法を無力化できるか!一安心だな」

そうでもなかった。ななの行動が魔法封じに費やされることは、こちらの攻撃が一手損なわれることを意味する。

ドラキーマたちは「足止め」ということに関して、とても手強い厄介な魔物であるのだった。


100年の空白の間に、トンネルは魔物の巣窟と化していた。

戦いの連続になるなど一行はまるで予想もしていなかったが、そのことを嘆く暇もなく、魔物を蹴散らしながらなんとかトンネルを抜けていった。

精根尽き果てる頃、やがてトンネルは行き止まりにぶち当たる。

そこに皆で《メラ》を放つと、やはり地上へと大きな穴が開くのだった!


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