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エピソード58 『天空の城』

  • 執筆者の写真: ・
  • 2024年7月21日
  • 読了時間: 3分

エピソード58


会話が多岐にわたると、デイジーの旅の目的を打ちあけることにもなる。「《はやぶさの剣》を探している」と。

すると、「里の向こうの貝塚で剣らしきものが出土することがある」と里の大人が教えた。

《はやぶさの剣》が貝塚から発掘されることはあまり考えられないが、遠出と戦闘の練習を兼ねて、2人はセーニャを連れて貝塚へ行ってみた。貝塚への遠出の最中、れいは《ヒャダルコ》の魔法を会得した。


噂の貝塚は、大きな奇岩の1つに横穴がくり抜かれたものだった。昔ここに人が住んでいたか、ゴミ捨て場だったのだろうか。

地面を見渡していると、細長い棒のようなものが見えることがある。人骨か!と思って青ざめる。人骨も、ある。しかしデイジーが臆する事なく眺めていると、骨ではなく青銅らしき鉄器が見つかった。これがその剣だろう。残念ながら、《はやぶさの剣》ではない。しかしデイジーは微塵も落胆せず、拾い上げて丁寧に砂を落とす。

デ「セーニャ、里に武器というものはあるのか?」

セ「いえ、そういうものはほとんどないと思います」

デ「それならこんな棒でも役に立つだろう」デイジーはその貝塚から、4本の青銅の剣を掘り当てた。


デイジーが剣を探している間、れいは貝塚の壁を見ている。

なんと横穴の壁には、たくさんの壁画が描かれているのだった。いつの時代のものだろうか。

アライゾらしき民が、槍でマンモスを追いかけている。

火を囲んで踊りを踊っている。

どんどん進んでいくと・・・

れ「デイジー、ねぇこれ見て?

 トウモロコシを育ててる様子じゃないかしら?」

デイジーとセーニャが駆け寄る。

デ「そうだな。農業をしている様子を描いているようだぞ」

セ「昔はアライゾの民も、農業をしていたのですね」

デ「現代の民だって、農業が出来るはずだという希望だ」

れいはさらに奥に進んでいく。

れ「灯りが欲しいわ」自分の《メラ》で松明を作る。

れ「ふふ。山登りかしら」

大きな半円の山を、槍を持った2人の男が登っていく。後ろには少女が着いている。ように見える・・・。

セ「何か深い意味があるような・・・気がします」

デ「つまりこうだ。

 山の神が生贄を求めるもっと前から、アライゾの女たちは通過儀礼めいたものを求められていたんだ。

 大人に着いて、どこか大きな山に登ったんだろう」

山の絵は大きい。松明をかざしながられいは右側を見やる。

右側からも、山を登ろうとする3人がいる。

デ「複数の里が同じ通過儀礼を共有していた・・・?」

れ「ねぇ、見て!」

なんと右側の山は、途中で洞窟のような道が描かれている。そして道の先には・・・

宝箱らしき物が見える!

デ「これは絶対に啓示だ!通過儀礼によって勇気を見せろ、チカラを見せろというオレの読みは大きく外れてはいないはずだ!」


れ「文字だわ!」

さらに右側には、見たこともない文字がたくさん刻まれている。

するとセーニャが反応した。

セ「あかい・・・かみ・・・の・・めがみは・・・

 ゆうきある・・・むすめに・・・ほうび・・・を・・つか・・わす・・・」

デ「読めるのか!」

セ「いいえ、見たこともありません!

 でも、なんとなくそんな気がしたんです」

デ「山の上に何かあるぞ!

 それはセーニャや若い娘たちのものだ!」

れ「でも、壁画じゃ簡素化されすぎていて・・・どの山か見当もつかないわね」

セ「いえ、見当が付きます!」

れ「えぇ?」

デ「なに?」

セ「アライゾの真ん中あたりに、こういう半円状の大きな山があります!

 ここらの岩山はどれもがトゲトゲなので、逆にこの絵でわかりやすいです!

 『地球のへそ』と呼ばれています」

デ「セーニャ、行くか?」

セ「はい!」

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