エピソード59
買い物に満足すると、一行は宿に部屋を確保した。
そして荷物を置いて再び町歩きに出る。
何をしようか?とりあえず目的が欲しいので、酒屋を覗いてみた。《WANTED》の掲示板があるはずだ。
な「海に行きたいよ。何か海でできる人助けがいいなぁ」
キ「それはそうね!」キキは賛同した。
ななは快楽主義だが、同時に人助けのようなことを好みもした。自分がまず何をしなければならないかはわかっており、快楽の前にその義務のほうを果たそうとする真面目さがあった。親のしつけが徹底されたのだろう。
「ちゃっかりしている」とも言えるし、「WIN-WINのセンスがある」とも言えた。
4人は貼り紙をじろじろ眺め、漁船を困らせているオーシャンクローとやらを退治する依頼を選んだ。
依頼主を求めて、漁港の詰め所を探した。
そこにはタコのようなツルツル頭をした爺さんが、困り顔で待っていた。
爺「いやぁ旅の人、依頼を引き受けてくれてありがとう!」
ゆ「ま、まだ引き受けるって決めたわけじゃないですけどね(汗)」
ア「とりあえず話を聞きにきたよ」アミンは爺さんに握手をした。
な「その魔物はどんな悪さをするの??」
爺「いやね、1か月くらい前から、この村の漁船に嫌がらせをするんだ。船を沈められることもある。怪我人が出ることもある」
ゆ「逆恨みでも買ったの?」
爺「やつは怪人系の魔物でね。半分は人のように、感情を持っとる。
そんで、村の娘に恋をしたらしい。しかし娘はそれを拒んだもんで・・・」
ア「逆恨み、ね(汗)」
な「女の子たちが困ってるってこと??」
爺「そうでもあるね。狂暴なストーカーだよ」
な「じゃぁ助けてあげようよ?」
キ「そうね。わたしたちは女の子の味方ぁー♡」
爺「ありがたやありがたや」
爺さんは、神でも拝むかのように手をすり合わせながら、一行にお礼を言った。
ア「それで、そのオーシャンクローとやらは、次はいつ来るのかな?」
爺「わからん。悪さをしにくるのは週に1度くらいじゃな」
ゆ「1週間。そんなに毎日見張るの?」
ア「お爺さん、僕らそんなに悠長にしていられないよ」
爺「そうじゃなぁ。しからば・・・」
爺さんは、イケニエを立てることにした。
船に娘を乗せるのだ。
しかしイケニエに立つことを喜ぶ娘はいない。「友達をみんな連れてきていいから」と爺さんは娘を説得した。
そして「強い旅人が守ってくださるから」と言えば、娘は納得するのだった。
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