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エピソード61『世界樹 -妖精さんを仲間にするには?-』

  • 執筆者の写真: ・
  • 2024年5月2日
  • 読了時間: 3分

更新日:2024年6月30日

エピソード61


すかさずオーシャンクローは、何やら息を大きく吸い込みながらこちらめがけて飛び掛かってきた!

何か大技が来る!!


そのときだった!


てぇぇぇぇぇぇぇい!!!!!

なんとアーシャをはじめとした11人の娘たちは、甲板から一斉に大きく跳びあがった!

右足を大きく蹴り上げ広げると・・・

オーシャンクローめがけて一斉に、かかと落としをお見舞いした!!!!


ドゴォォォォ――――ン!!!!!!


オーシャンクローをやっつけた!!


娘たちはそのまま海に落ちていったが、難なく浮かび上がってくる。そして器用に泳いで、壊れた船の残骸に掴まり、安全を確保した。

それよりも、船から振り落とされたななたち4人が問題だ。器用に泳げる面々ではなかった。

結局、娘たちが海面の4人を救助してみせた。

爺さんは非常用のホイッスルをピィー――と吹いた。それを待つまでもなく、援軍の船が一行を助けに向かってきていた。


こうして、村人と旅人、かよわき娘たちが一丸となって、結構強い怪人オーシャンクローを見事討伐したのだった!



もう夜半だが、浜辺にはキャンプファイヤーがしつらえられ、一行はその火で濡れた体を乾かしつつ、賑やかな宴で勝利を祝った。

キ「もぉ~カッコ悪い勝利だったわぁ。みんなに助けられちゃって!」キキはバツが悪そうに悔やんだ。

な「それにしても、みんな強ぉい!」もちろん、踊り子たちへの賛辞である。

ゆ「戦いの修行も、してきたの?」

娘「いいえ、ぜんぜん!わたしたちは戦いなどしませんし、戦うための修行もしません。

 いっつもダンスを楽しんで踊っているだけです」

ア「それでもすっげぇ体が鍛えられてたってことなんだな!」

娘たちは、自分でも自分が強いとわかっていないのだった。しかし、ダンスで鍛えられた体はすなわち、戦っても強いのだった。

キ「ねぇなな?

 わたしたちもあのかかと落としの練習、しときましょうよぉ♪」

な「うーん♪」

娘「股関節の柔軟性が必要です。柔らかさが強さを生むのです」

ア「あの技、意外と強いぜ!

 脳天や首の急所を上手く突けば、一撃必殺にだってなりうる!」


一行は酒を飲まないが、宴は盛り上がった。

キ「ねぇこのお肉美味しい!

 この調味料はなぁに??」

キキはバーベキューの肉の味に感心している。

爺「うん?それは《くろこしょう》じゃよ。

 西洋の王たちも、ヤミツキになったスパイスじゃ!

 村で買えるぞ。明日、寄っていったらえぇ」

娘たちはさらに、キャンプファイヤーを囲んでダンスを披露してみせた。

「まだまだ体力はあるわよ♪」と言わんばかりに。

華奢な見かけによらず、たくましい。とてもたくましい。


女たちが活躍し、女の命を守る。

今宵の戦いは、皆にとって妙に嬉しい楽しいものだった。


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