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エピソード82 『天空の城』

エピソード82


れいは久しぶりに一人になった。ロマリア城下町の周囲は平原で緊迫感は薄く、出現する魔物もいくぶん弱いものだった。れい一人でもどうにかなる。魔法を使ってみたり剣を振るってみたり、自慢の剣から《ギラ》を放射してみたり、色々試行錯誤しながら冒険した。

どうやら《ヒャダルコ》は、《ギラ》2発分ほどのダメージである。

《メラミ》は、対象が敵1体ではあるが、《ヒャダルコ》2発分に近いダメージを与える。大抵の魔物は《メラミ》で沈む。1体1なら負けないぞ!という自信を得る。言い換えれば、《メラミ》を扱う魔法使いはかなり手強いとわかる。

《メラミ》と同等のダメージを与えるには、《破邪の剣》だと3回は思いきり斬りつける必要がある。今のれいの腕力だと。

《ベホイミ》は《ホイミ》の2回~3回分の回復量を誇る。《ベホイミ》が使えるようになると、僧侶としては初級者の殻を破れたなという感じだ!そこそこ手強い戦闘の補佐役にも、加われそうである。

れいによるなんとなくのイメージだが、《破邪の剣》と《メラミ》と《ベホイミ》は、共に「初心者を抜けた証」という感じだ。《破邪の剣》は戦士にとっての、《メラミ》は魔法使いにとっての、《ベホイミ》は僧侶にとっての、初心者の卒業証書だ。《破邪の剣》は金を積めば買えてしまうわけだが、これが手に馴染んでいるなら中級者なのだろう。


《フバーハ》は魔物が吐く炎・吹雪のダメージを軽減してくれるが、《メラ》《ギラ》など魔法の炎を軽減するわけではない。魔法のダメージを軽減したい場合は、セレンが操っていた《マジックバリア》が出番だ。れいはまだ使えない。

《フバーハ》は防御魔法として便利ではあるが、一人旅だとなかなか使い時が難しい。炎のダメージを防御しているよりも、さっさと攻撃してしまったほうが早い。ただし、炎や吹雪を吐き出す魔物が3体、4体と群れをなしてくる場合は、《フバーハ》がないと死んでしまう!


遠い昔に覚えた《メラ》を使ってみることもある。心なしか、《メラ》の威力も昔より上がっている気がする。魔法使いにおける「成長」とは、より高度な魔法を操れるようになるだけでなく、「魔法の威力の上昇」というベクトルもあるようだ。

そんなことを自分で気づき始めた頃に丁度、ロマリアで貰った『高度な魔法』の本にそのようなことが書いてあった。威力の指針のことを《攻撃魔力》、回復量の指針のことを《回復魔力》と言ったりするらしい。

ちなみに、どんな魔法をどのくらい撃てるか、その魔法体力のことを《マジックパワー》と言うのだ。当然、強力な魔法ほどマジックパワーの消耗も大きい。


一人でも学習できることはあり、経験値は増えていく。本で学習することは大事だが、やはり実地をやってみてわかることが膨大にある。時には少し危険を冒して、試すようなことも必要だ。

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