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エピソード90『世界樹 -妖精さんを仲間にするには?-』

  • 執筆者の写真: ・
  • 2024年5月2日
  • 読了時間: 3分

エピソード90


1週間の長い道のりを経て、やがて一行はソレッタの城へと辿り着いた。

城はよくある城壁街だが、城門は何やら色とりどりの紙テープや花などで、飾り付けされているのだった。お祭りムードである。

ア「そういえば、ソレッタではどんなお祭りが見られるの?」

ト「毎年違う催しをやるんだ。地元の人はそれなりに知ってるけど、異国の人はあまりその内容を知らない。

 ワクワクして楽しいだろ♪」

今年は何が催されるのだろう?城壁街の中をキョロキョロしていると、

『ダンスコンテスト!会場はコロシアム』

といったのぼりをよく見かけた。

な「ダンスコンテストだって、楽しそう~♪」

ゆ「私たちでも楽しめそうな内容で良かったわね」


そして街には、ダンサーのような派手な衣装を着た人々が大勢いた。彼らのすべてがコンテストに出場するわけではなく、ダンスを見るのに自分もダンサーのような格好をして、テンションを上げているのだ。いわゆるコスプレだ。

そして観光客をターゲットにした露店やら土産物屋やらがたくさん出ている。

カラフルなもの、珍しいもの、美味しそうなもので溢れかえる通りを、一行はゆっくりと物色しながら歩いた。


すると、キキが声を上げた。

キ「見て―!プリンセスみたいなドレス売ってるぅ♡」

な「わぁーかわいいー♡」

キ「ななこないだ、お姫様みたいになりたいとか言ってたじゃない♪

 ほら見て、300ゴールドだって!

 お祭り用のレプリカだから、そんなに高くないみたい♡」

今となっては、300ゴールドもそんなに高くは感じない。

そしてななは、お姫様のようなドレスを一着、買ってもらえることになった。

ますます上機嫌になりながら、ななたちは異国のフェスティバルの賑わいを楽しんだ。

ト「ありがとう。君たちがいると街歩きがなおさら楽しいよ♪」

トーサカも、珍しいグループ旅行が新鮮で楽しいようであった。



ア「楽しむのはいいけど、そろそろ宿をとらなくっちゃ!」もう夕方だ。

しかし困った。ダンスコンテストの開催にはギリギリ間に合いはしたものの、フェスティバルの期間中は観光客で混雑するゆえ、宿をとることが出来なかった。

な「どうしよう~」

ア「まぁ僕らは馬車で野営って選択肢もあるけど、会場のコロシアムに行ってみようか?似たような人が大勢いるはずだから、仮眠所とかキャンプサイトとか、用意してくれてるかもしれないよ」


コロシアムの裏庭も、やはり賑わっている。

係「仮眠所を希望の方はこちらで~す!」誘導員が叫んでいる。

ア「あ、ほら!やっぱり仮眠所が用意されてるよ」

一行はその声にならって受付の列に並んだ。その列までガヤガヤと混んでいる。

列に並ぼうとすると、誰かに呼び止められた。

係「おや?君たちはあっちだよ」

10メートルほど奥にある列に並べと促される。

ゆ「あ、はい。すみません」

一行は促しのままに奥の列に並んだ。

な「仮眠所も色々あるのかな?」

ゆ「女性がいるから、とかあるのかしらね」

ト「こっちの列のほうが人が少ないから、良かったね」


列はやがて、受付の小屋へと入っていく。

そして一行は仰天する!

係「はい、ダンスコンテストの受付はこちらですよ~」

4人「えー!!列を間違えたぁ!」

ゆ「係員の人、何よもう!」

ア「姫とかアイドルみたいな服装してるのがいるから、コンテスト出場者だと思ったんだ」

な「退出退出!」

しかし、キキが思いがけないことを言う。

キ「えぇ~どうせだったら出場しちゃえば♪」

ト「おぉ~!君たちもダンス踊ってたもんね」

な・ゆ「えぇ!ムリムリ!!」

ト「異国のお祭りなんて一生に一度の機会だよ?

 せっかくだから楽しんじゃえばいいのに!」

キ「えぇ~そこまで言うならぁ♡」

とキキはやたら演技じみた声で叫び、用紙に大きく「ペロリンキャンディーズ」と書いて、デスクに提出してしまった。


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