エピソード98
一行はさらに街を歩いた。物色するだけでも楽しいし、レアな情報がもっと欲しい。
ア「いやぁ世界樹の情報があっさりと手に入ったね!」
キ「魔王退治なんかしないと思うけど、いちおそっちもリサーチしてみる?」
キキはまたしばし考えた。魔王に関する情報を知っていそうなのは・・・
そして、大きな武器屋を探して入っていった。
キ「こんにちはぁ♡」
武「へいらっしゃい!
・・・って子供か!危ないから入ってくるんじゃないよ!」
キ「わたしのパパ、つよぉい戦士なの。そろそろ新しい武器が欲しいって言ってたなぁ」
武「なに?お嬢ちゃん感心だなぁ」武器屋の態度はコロッと変わるのだった。
ア「一体何人パパがいるんだよ(汗)」
キ「ねぇ、魔王を倒せそうな武器はどれ??」
武「魔王だって?パパは魔王退治の冒険者なのか!」
キ「うーん、いつかは倒したいって言ってたけど。
魔王ってどこにいるのかなぁ?
あ、今重たい武器を買っても、魔王のところまで持って歩けないかぁ」
武「どこにいるんだろうなぁ?魔王ってのは。
色んな噂があるが、確かな情報がない」
ア「グレイス城が魔王軍と戦ってるよ?」
武「あれは昔の魔王軍の残党だろ。昔の魔王の、ハーゴンの残党だよ」
ゆ「グレイス城のことも知ってるの?」
武「当然さ。それくらいの情報は入ってくる。
ゆ「昔、ハーゴンを倒したからもう魔王はいないの?」
武「昔、どっかの勇者がハーゴンを倒したが、それでも世界に魔物は消えなかったらしい。
そんで、どっかの吟遊詩人が世界中を旅して周ったんだよ。
そしたら、吟遊詩人の訪れた町は魔物が出なくなったっていう。ヘンな話だな」
キ「結界を張ったのかしら。ぴかーんって!」
武「だからその吟遊詩人のほうを『英雄だ』って崇めて語り継ぐ町もあるな」
キ「すごいわね♪」
武「でもハーゴンを倒した戦士がやっぱ英雄じゃねぇのか?俺はそう思うぜ!
吟遊詩人の噂もたまに耳にするけどよ。
ヤツは《WANTED》すらロクにやらずに去っていったらしいじゃねぇか」
キ「本当の人助けって、報酬のためにやるもんじゃないんじゃない?」
武「ん?なんだって?」
キ「いや、何でもないわ」
武「ところで嬢ちゃんのパパは魔王を倒したいんだったな?
魔王っていったらきっと凶悪なドラゴンだ!
するとこの《ドラゴンキラー》ってヤツが、ドラゴンに大ダメージを与える特攻武器さ!」
武器屋は、ドラゴンの顔が形取られた大きな爪のような武器を見せびらかした。
キ「ふぅん、ありがとう。パパに教えとくね」
4人はまたそそくさと武器屋を離れた。
な「カッコいいねぇあのドラゴンのやつ!」
キ「そうね。でもドラゴン特攻の武器は他の魔物には有効じゃないし、爪っぽい武器種は武闘家っぽい人じゃないと扱いが難しいのよね。
悪い武器じゃないけどね。売れ残ってんのよ、きっと」
賑わう街は楽しいが、難点もある。「なんだか人酔いがする」とななは訴えはじめた。
一行は騒がしい商業エリアを離れ、いくぶん静かな行政エリアのほうに宿をとることにした。
行政エリアは、後から開拓されていったらしく、商業エリアよりも落ち着いたクールな印象を放っていた。
宿屋に赴くと、子供のような4人のパーティを見て、店主は不思議そうな顔をしていた。
ア「この子のパパ、政治家なんだよ」とアミンは先回りして冗談を言った。
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