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エピソード99『世界樹 -妖精さんを仲間にするには?-』

  • 執筆者の写真: ・
  • 2024年5月2日
  • 読了時間: 3分

更新日:2024年5月3日

エピソード99


その日の晩、思いがけないことが起きた。

なんとベルガラックの街が、魔物の襲撃を受けたのである!

真夜中の議会堂の中庭で、キラーパンサーの群れが暴れている!

獣の唸る声が響き、誰かの悲鳴が響いた!

「街の中はモンスターが暴れるはずがない」と思っていた4人は、その瞬間とても混乱したが、反射的に声のする方へと救助に走った。

ア「なんで街の中に魔物が!?」

キ「とにかく退治よ!」

一行は手分けをして、魔物の退治とけが人の救助に奔走した。

襲われた守衛が言うには、キラーパンサーが5匹いたとのことだが、中庭には3匹の姿しかない。

建物の一角は窓が割られているのを目撃した。

ゆ「2匹侵入したっぽいわ!」

キキとアミンは、建物に侵入して残りの2匹を追った。

あちこちに爪痕はあるが魔物の姿はない。痕跡を追いかけると、金庫室のようなところに行き当たる。

なんとそこには、さらにもう1匹魔物が姿があった。2匹のキラーパンサーに加え、小さなベビーパンサーが檻の中に入れられていた。

ア「どういうことだ!?」二人には咄嗟には意味がわからない。

キ「この子を取り戻しに来たのか?」とキキは思ったが、この状況で魔物をかばうわけにもいかず、仕方なく2匹のキラーパンサーを仕留めた。



騒ぎを嗅ぎつけて、何人かの職員が議会堂に駆け付けた。

守衛やその職員たちは、窮地を救った4人を英雄扱いしたがったが、4人は「目立ちたくない」と断った。

ア「それよりも、何が起きたか教えてくれ!」とアミンは事情説明を促した。

なんでも、「ベビーパンサーという可愛らしい魔物を、捉えてペット販売してはどうか」「それは可能かどうか」という議論が昨日行われたのだった。さっき檻の中に入れられていたあの小さな魔物だ。

その捉えられたベビーパンサーの親と仲間たちが、子を取り返すべく襲ってきた、ということのようだった。


職「それにしたってなぜ魔物が街に侵入するのだ?

 街は結界に守られているはずだ」

キ「やっぱり結界が張られているの?」

職「あぁ、ベルガラックに限らず、城や街や村は古の英雄によって結界が張られ、守られている」

ア「強い魔物だったら打ち破ってこれるんじゃないの?」

職「それはそうだが、キラーパンサーごときで打ち破れるはずはないのだが・・・」

キ「・・・・・・・」何か思うものがあったが、キキはそこでは何も言わなかった。

ア「とにかく、ベビーパンサーのペット販売なんてやらないほうがいいんじゃない?」

アミンは具体的に念押しをした。職員たちは「そうだな」と頷いた。



翌朝。

キキは宿の外に出て空を見た。

空を、ぼーっと凝視した。特殊な視力を働かせたのだ。

キ「やっぱり・・・!」

ア「どうした?」アミンが尋ねる。

キ「古の吟遊詩人さんが張った結界は、行政エリアのほうへは届いてないのよ。

 この辺りは、文字通り蚊帳の外」

ア「・・・あぁ、」

キ「そう。この街は、欲に溺れて大きく開拓しすぎたのね」

ア「ベビーパンサーをまたさらってきたりしなくても、魔物が入ってくる恐れがある」

キ「そうね。そしてそれを防ぐのも容易じゃないわ。

 わたしたちが身を呈して守るべきことでもないわ。この国のカルマよ」

ア「早めに出ようか」

それが良さそうだ。


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