episode10 『王と悟り』
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episode10
ハクシュン!
ソロは自分のクシャミで目を覚ました。あれ?どうなってるんだっけ!?そうだ。船旅をしているんだった。
船「はっはっは、次の船旅ではもう1枚上着を持ってくるんだな」
わずか30ゴールドで遠くへ運び、夜を越えられるが、色々と考え、自分で用意しなければならないようだ。肌寒い季節を選ぶなら、さらにもう一枚上着か毛布が要るのだろう。
今日はいくぶん空が曇っている。昨日とは違う1日が来たのがわかる。
ソ「ロンガデセオはまだですか?」ソロはそろそろ待ちきれなくなってきた。
船「昼前だよ。もうちょっと辛抱だ」
昼前、船は減速を始めて岸に寄る。
船「ロンガデセオだったな?」
ソ「あ、はい!」
船「降りてしばらく歩く必要がある。
船を降りたら左っかわだ。頭にコンパスがあるなら北側だ。道なりに行けばまぁわかるだろう」
ソ「どうも」
ソロはその言葉を頭に刻んで、船を降りた。
この土地にも魔物がいる。いっかくうさぎやドラキーや、それよりも少し強い魔物が生息している。しかしまだ《銅の剣》を懸命に振り回していれば、討伐が可能であるようだった。「この国に上陸するなら武器を買っていけ」という船着き場の検問の言葉は、決して間違っていないことを痛感した。
しばらく歩くと、前方には広い壁が見えてきた。
そしてその一部だけが開けている。兵士が待ち構えている。ソロはそのまま進む。
ソ「ここがロンガデセオですか?」
兵「いいやその手前だ。検問だ。
名前は?何しに行くんだね?」
ソ「ソロと言います。カレンという国から来た者ですが。検問とかよくわからないので、失礼があったらすみません」
兵「何をしに行くのだ?と尋ねたが?」
ソ「あ!立派な遺跡を観光しようと思っているんですよ。僕、世界中を旅する最中なんです」
兵「遺跡の観光?残念だがそれは昔の話だ」
ソ「え?」
兵「ロンガデセオが遺跡観光で賑わったのは5年も前の話だ。今はそういう目的で人は呼ばない」
ソ「遺跡がなくなっちゃったのですか?」
兵「なくなったわけではないが・・・無用に人は入れない」
ソ「遺跡も見れるんですね?僕は色んな景色が見たくて国を出てきたんですもの。
あぁ、それとお使いがあるのです!親戚にお使いを頼まれて、ロンガデセオに行くのです」
兵「お使いだって?
持ち物検査をさせてもらおう」
ソ「えぇ、良いですけれども」
ソロは素直にカバンを差し出した。
兵「ポケットに入っているものもすべて台に載せてもらおう」
ソロは言うとおりにした。
兵「むむ!!貴様、なんだこの白い粉は!?」
ソ「それは!
親戚に持たされたものなんです。北の教会の神父に渡してくれって。何なのかは僕も知らないですよ。それ、ひょっとして・・・」
兵「麻薬だ!!不届きものめ!!」
ソ「えー!
ごめんなさい!僕、知らなかったんです!
いえ、それは麻薬じゃなくて普通の粉薬かも?僕の親戚は製薬会社に勤めているんですよ」
兵士は粉をペロリと舐めた。
ソ「麻薬だ!!
愚か者め!そんな言い訳でごまかせると思ったのか!!」
ソ「いえ!本当に何も知らないのです!本当にホンダラさんは、薬を作っている会社の人なんですよ!」
兵「よいよい。懲罰を受け入れさえすれば命までは取らない。
罰金を払いたまえ。1万ゴールドだ。さすれば通ってよい」
ソ「1万ゴールドって・・・100万円!?」
兵「交渉の余地はない」
思いがけず、ソロの所持金は半分になってしまった・・・。
検問の役人に逆らうことも出来ないのだった。
さて、どうする?
そこまでしてロンガデセオに行く必要もあるのか?と考えたが、引き返せば罰金が免除されるわけでもない。ここまで手間をかけて何もせずに引き返すよりは、とりあえず1つの町や有名な遺跡を観光するほうが得策だろう、とソロは考えた。
また、神父が麻薬を欲しがっている、という事実は社会派なソロの心に大きく引っかかった。叔父が麻薬で金儲けしようとしている事実には別にショックも受けない。しかし神父がそんな悪行に手を染めていることは、気になる。
自分に何が出来るというのか?問題を解決できるとも思えないが、何かその内情を垣間見てみたい、という好奇心が湧いた。まるでセーニャが好きな推理小説みたいじゃないか!
検問からしばらく歩くと、集落が見えてきた。
町・・・と呼ぶには柄が悪い。家の壁は薄汚く、ところどころ壊れていて、それは放ったらかしだ。表で生活の仕事をする人の姿がほとんど見えない。洗濯物は汚らしく干され、野良犬がうろつき、なんだか臭い。

そういえば、マイエラの宿の小間使いは、ロンガデセオに行くと言ったら「お前は盗賊か?」とまゆをひそめていた。つちわらしに襲われていた神父もそのようなことを言っていた。
なるほど、こんな柄の悪い町に行きたがる者は、柄の悪い何かをしたがる物好きばかりでありそうだ。
このスラム街は、それはそれで興味深い。ソロは好奇心が湧いたが、同時に警戒心を強めた。



