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episode66 『王と悟り』

11 時間前
読了時間: 5分

episode66


翌日。ホリディたちとの決闘にはまだ1日の猶予がある。

ソロは何か戦いの手がかりになるものはないかと街を散策していた。

すると女性の悲鳴が聞こえる。

「キャー!」

なんだ!?兵士の多いこの街に余所者の出番などないかもしれないが、ソロは反射的に声のする方へ駆けつけた。


女「あ、ありがとうございます!」

シャキン。男は剣を鞘に仕舞った。

ガンディーノのホリディ 『王と悟り』
ホリディ

女「あぁ、まさかホリディ様に助けていただけるなんて!

 あのう、お食事をもてなします!すぐそこです!私の家まで来てくださいませんか?」

ホ「ふん。礼には及ばん」しかし男は無愛想に立ち去っていった。

なんと、そこに居たのはあのホリディだった。魔物に襲われた女性をさらりと助けたようだ。

女「あぁ・・・!」

ホリディを引き留めようと手を伸ばしたが、するりとかわされ、女はその場に転んでしまった。


ソ「大丈夫ですか?」ソロは駆け寄り女を立ち上がらせる。

女「ホリディ様・・・!」女は未練がましくホリディの背中を見つめている。

ソ「足を怪我していますよ。《薬草》をどうぞ」

女「あ、どうもありがとうございます」女はようやくソロの存在に気付くと、申し訳程度に礼を言った。するとまたホリディの背中を見ている。

ソ「ホリディさんが好きなんですか?」

女「え!そんなはっきりと言わないでくださいよ。うぅ、街の女の半分はホリディ様に憧れていますわ」

ソ「なるほど」たしかにホリディはイケメンだ。

ソ「やっぱりホリディさんが将軍になったほうが良いんでしょうかねぇ?」

女「当然ですわ!将軍になるべきです。そして次の国王になるべきですよ!」

ソ「将軍が、国王に?」

女「えぇ!将軍は国王に最も近い存在じゃないですか。

 そうしたら国王の挨拶ではいつもあのハンサムなお顔をお目にかかれる・・・」

ソ「そうなんですね」



ソロは女の無事を確信すると、彼女からは離れた。

ソ「人気者のイケメン兵士長かぁ。

 ・・・そうだ!」

ソロはホリディの背中を追いかけてみようと思った。大胆にも直接取材だ。彼と話をすれば決闘で勝つための糸口など見つかるかもしれない。

ホリディの行った方を見やったが、もうその姿はない。とにかくその方角に歩いてみると、武器屋に通りかかった。武器屋など寄るかもしれない。

ソロは武器屋に入ってみる。

カランカラン。

武「へい毎度!」

ソ「あのう、ホリディ兵士長は来ましたか?」

武「なんだ?兵士でもないのに兵士長に何の用事があるっていうんだ?」

ソ「あ、いえそのう。女の人から伝言を頼まれたんですけどね」ソロは口からデマカセを言った。

武「研いでくれって今、剣を置いてったよ」

ソ「へぇ。彼は剣で戦うんですか?」

武「そうだ。城の兵士なんて大抵そうだろ。カッコいいもんな」

ソ「それで兵士長さんはどこに行ったかわかりますか?」

武「うん?なんでぇ兵士長のことばかり気にして」

ソ「あ、いや、カッコイイ人じゃないですか!どうやったらあんな人になれるのかな~なんて」

武「はっはっは!それなら形から真似るべきさ。

 ホリディがモテ始めたのがいつか知ってるか?この《バスタードソード》を握ったときで・・・」

武器屋はホリディをダシにしてソロに剣を売りつけ始めた。

ソ「あ、そういうのはいいんですよ!あはははは。

 彼、どこに行ったんでしょうね?」

武「ちっ!そうだなぁ、見回りを口実に街をぶらついて、昼は大体いつもの店で食ってんじゃねぇかな。ほら、飲み屋が並んでる横の食堂だよ」

ソ「あぁ、どうも」

恐らく昨夜夕飯を食べていた店のことだ。


昼には少し早いが、ソロは先回りしてその店に行ってみることにした。

店に入り、昼食を頼む。そしてだらだらと食べながら待った。

すると案の定、ホリディは一人ふらふらとやってくるのだった。いつも一人だ。

ホ「いつものをくれ」

店「へいどうも!」

ホリディはぶっきらぼうに注文を済ますと、隅のテーブルに座る。

ソロは思い切ってそのテーブルまで駆け寄る。

ソ「ホリディさん」

ホ「うん?なんだ昨日の男か。そしてさっきも居ただろ?何の用だ?」

ソ「え?あ、あのう、あの女の人に伝言を頼まれたんですよ」

ホ「どうせつまらない話だろう」ソロの顔も見ずにつまらなそうに言う。

ソ「え?」

ホ「国の大事に関わる話なのか?」面倒臭そうにソロをにらみつけた。

ソ「あ、いや・・・。今度改めて家に来てほしいって・・・」

ホ「そんなのいちいち頼まれてくるなよ!お前は郵便屋か!」

ソ「いえ、そうですけど。あははは!」ソロは腹を抱えて笑った。

ホ「はぁ!?」

ソ「いえなんでもありません。

 女の人に求愛されて、嬉しくないんですか?」

ホ「めんどくせえ」

ソ「恋に興味がないんですか?」

ホ「ない男がいるのか?そうは言ったって一般人の女はめんどくせぇ。『明日も来い』だの『行くな』だの、何があったって泣き始める。なぜあんなに依存的なんだ?

 女の情緒不安定には付き合っていられないぜ。兵士は女を守るためにあるんじゃない。国を守るためにあるんだ。

 女なんて風俗に行ったほうが後腐れないだろ。男が高い給料を目指すなんざ風俗のためだろ。

 なんで出張なんて面倒くさい仕事を引き受ける?風俗に行けるからだろ」

ソ「あぁ、まぁそういうところもありますね」

ホ「なんなんだお前は?」

ソ「あ、すみません。ですからあの女の人に・・・」

ホ「ぎゃーぎゃー言わない女になれとでも言っておけ!」

ソ「あ、はい」

ホリディは皿を抱えて他のテーブルに行ってしまった。

ソ「うーん。特に収穫なしか・・・」

しかしストレートな男なのかなという感はある。

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