episode67 『王と悟り』
episode67
翌日。
城の裏の闘技場に、参加者たちは集められた。

大勢の観客も集まっている。この決闘は国民にとって、色々な意味で目が離せないようだ。
参加者は10人ほどいるようだった。やはり、その全てに勝ち抜いてからホリディと戦うのは無理がある。
王が何やら音頭を取り、戦いのルールなど説明する。皆緊張の面持ちで聞いている。
王「・・・というわけだ。
とにかく命を奪うまで戦う必要はない。降参をすれば負けである。
何か質問はあるだろうか」
すると、ソロはするすると前に出た。
そしてなんと、勇ましく演説を始めた!
ソ「皆の者!少し時間をくれたまえ!」ソロらしくない口調である。
衆「ざわざわ。何者だ!?」
王「おい、そなたは」
しかしソロは、王にすらも毅然とした態度で手を掲げ、黙ってその言葉を制止する。王は思わず飲み込む。
ソ「私は何者か?遥か東、カレンの国から参った。
カレン国の自衛隊、その作戦司令官にして軍の最高責任者だ!」
衆「作戦司令官だって!?」
衆「他国の将軍ってことかよ!?」
ソ「この国を助けるために参上した。
ホリディ氏に勝って私がこの国軍の指揮を執ろう」
衆「何だって!?他国の奴が!?」
ソ「心配するなかれ。ちゃんとルールに則る。
率直に言って・・・私は強い。
一国の軍を束ねる者だが、さて、参加者の皆は私に勝つ自信があるのか?その上でホリディ氏と戦う体力があるのか?
私は自衛の隊の長。無駄な殺生は好まない。民を守るために知恵と腕(かいな)を振るうのみ。
自信のないものは辞退を願う。無駄な流血は避けようではないか。この国のために!」
衆「なんなんだ!?」
衆「何言ってんだ!?」
王「おいそなた!勝手にルールを決めるでない!」
ソ「いいえ王よ。私はまったくルールに触れてはいない。
無駄な流血を避けているだけです。
不戦敗は負けではありませんか?不戦勝は勝ちではありませんか?貴重な兵士を傷つけないほうが良いのではありませんか?」
王「そうじゃが・・・しかし、」
ソ「王よ。闘牛の熱闘に狂酔したいのですか?
それとも相応しい将軍を決めたいのですか?貴重な兵士を傷つけてでも、闘牛に狂酔したいのですか?今一度、国民の前で宣言してください」
王「しょ、将軍を決める会である」
ソ「えぇそうです。
王よ、国民よ。貴重な兵士を相討ちで失ってよいのだろうか?
中途半端な強さなら、辞退を願う。
私の主張は以上。では決闘を始めようじゃないか!
王よ。号令を頼みます」
衆「ざわざわ。ざわざわ」
王「で、では、決闘の志願者は改めて前に出たまえ」
すると、
シ――――――――ン・・・
なんと、誰一人動かないのだった!
上手くいった!ソロは心の中で深く深く安堵した。ソロは心の中で、ローラに大きく感謝した。
ソ「では決勝戦と参りましょう。
ホリディ氏、あなたの相手は私が務めます」
ザっ。
ホリディは逃げも隠れもせずに舞台の中心に躍り出た。

ホ「こないだの食堂の男じゃないか。
とんだタヌキめ。俺がホリディと知りながら話し掛けてきたのか。悪い趣味だ」
ソ「何を考えているか、すべてを打ち明ける必要もないでしょう。
私は策略家ですが、どうします?あなたも辞退をしますか?
それが一番よいのですが」
ホ「そんなはずはなかろう!」
ソ「ははは。カリカリして。もう欠点を見せましたね。
では決闘を始めましょう。
準備はよろしいですか?」
ホリディは王のほうを見やる。
王「で、では、決闘はじめ!」
ジャキン!
なんとソロは、手持ちの武器の中から《青銅の剣》を選んで抜いた。
ホ「《青銅の剣》だと?お前の国は原始時代か?
くっくっく、吠え過ぎだ!」
ジャキン!
ホリディは100倍も高価な立派な剣を抜いた!
ホ「稽古を付けてやろう!
はぁーーーー!」
ホリディは自分からソロに斬りかかった。
ガシャンガシャン、立派な鎧は装甲が厚いが、しかし俊敏性の邪魔をしている。
ソロのほうが素早い。逆に相手の間合いに飛び込んでいき先に剣を振るう!
衆「速いぞ!」聴衆はソロの素早さに驚いている。
カキン!
ソロの太刀をホリディが受け止める!
カキンカキンカキン!小競り合いで互いに様子を伺う。小競り合いというか、ソロに剣豪の太刀筋を受け止める技術はないので、自分から間断なく攻め入る一方である。周りには小競り合いに見える。
しかし!
ホ「ふん!」ホリディは力強く剣を払った!
すると!
パキーン!なんとソロの《青銅の剣》は折れてしまった!
ホ「はっはっは!呆気な」
ホリディが高笑いで油断を見せたその瞬間!
ソ「《銅の剣》!」ソロは今度は《銅の剣》を具現化し、すかさずそれでホリディの左膝を撃った!
ホ「うっ!」
衆「最初の一撃はヤツのほうだぞ!」
衆「おー!ざわざわ」
衆「やれやれぇ!」
ホ「少々驚いたが、《銅の剣》もボロボロ。本当に原始人だな」
ソロはホリディを振り返り、そしてニヤっと不敵に笑った。
ソ「勝ちました」
ホ「なにっ!?」ホリディは焦る。
ソ「あなたは圧倒的に鈍(のろ)い」
ソロはまた素早くホリディに駆けこんでいく!ホリディはソロの自信に気圧されている!
ソロは《銅の剣》を肩の上から槍投げのように構える!
ソ「はぁぁーーー!」
衆「なんだあの剣技は!?」
ホリディは見慣れぬ構えの剣技に太刀筋が読み切れないが、とにかく剣を構えて裁こうする!
が!
びゅっ!
なんとソロは、《銅の剣》を槍のように投げつける!
わずか1メートル、真正面から点で来る軌道を、ホリディは剣で受け止めようもない!
ガン!ホリディの胸に《銅の剣》の切っ先が当たる!
ホ「ぐっ!こ、これしき!」ダメージは大きくないがホリディの動揺は増す!
ホ「お前は丸腰だ!」剣を投げたソロはもう敵ではないと見える。
が、ソロは動じずさらにホリディに駆けこんでいく!
左脇の鎧の隙間に手を伸ばすと・・・
ソ「《ベギラマ》!!」炎の魔法をホリディの鎧にぶち込んだ!
衆「おぉーー!!」
衆「魔法まで使いやがる!」
ホ「ぐぁー!!」ホリディは倒れ込み、熱さに藻掻いている!
ソ「《ホイポイ》!
鎧の装甲には剣よりも金槌!!」
ここで最も攻撃能力の高い《大金槌》を具現化させる!それを両手で握って思いきり飛び上がる!
ソ「うぉーーーーー!!!!」
「そこまでだ!!!」
会場をとても大きな声がつんざいた!
ソ「はっ!!」ソロもそれに気圧されて攻撃をやめる。


