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episode71 『王と悟り』

2 時間前
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episode71

グレイグ
グレイグ

翌朝。今日もよく晴れている。

ソ「さて、どこに行きましょうか?」

グ「だから、私はそなたに着いていくのだよ。どこに行きたいのか?」

ソ「この先はノーアイデアなんですよ。だからアイデアを貰えたら嬉しいんですけど。兵役から離れて、行ってみたい場所とかありませんか?」

グ「まずそなた、もう少し装備を整えたほうが良いと見える」

ソ「でも僕、グレイグさんみたいな鎧は、装備できそうもないんですよ」

グ「考えは察している。誰もが重装備の戦士になりたいわけじゃないからな。未だギャンベゾンを好む民族もいる。

 そなたはどちらかと言えば盗賊に似た戦い方をしたいのだろう。

 それはそれで良いのだが、布の服で鋼鉄武器とやり合うのは無理があるぞ」

ソ「人とはもう戦いませんよ。国の戦争に首突っ込む気もないんです」

グ「そうだろうが、魔物とて強くなればなるほど剣や斧やら振り回すようになるのだよ」

ソ「そうか。やっぱりちょっと武装が必要ですよね」

グ「北東にガンディーノの属国ヨロハマがある。そこなら買い物をしやすいだろう」


行き先は決まった。寄り道、というニュアンスかもしれないが。

ヨロハマの街 『王と悟り』
ヨロハマの街 挿絵 by 生成AI

ガンディーノの属国というと物騒な軍事国家のイメージを抱いたが、そうではなかった。普通に賑やかな街だ。賑やかな街がガンディーノに占領された、という形なのだろう。

商店の数が多く、買い物やウィンドーショッピングに耽る人も多い。商業都市という感じだ。

グ「それにしても・・・」グレイグは街を見渡しながら言う。

グ「少々ガラの悪い輩の姿が増えた気がするな」

ソ「そうなんですか?」

グ「ガンディーノ以外からも人が来るようになったのか。

 良いことでもあり、悪いことでもありそうだ」

グレイグは何にせよ、様子の変化に敏感なのだろう。常にお巡りさんの目で歩いているのだ。


まずは両替所でモンスター宝石の換金をする。既存の持ち金と併せると、10,000を少し超えた。

ソ「《バスタードソード》も買えるのかな!」とソロのテンションも上がる。が、

グ「武器もよいが、防具が先ではないか?」とグレイグにたしなめられる。まぁそうだ。

防具屋に行ってみる。

防「やぁ、ここは防具の店だ。どんな用かね?」

ソ「ちょっとじっくり見てもいいですか?」

防「もちろんだよ」

鎧の類はたくさんある。素材の違いによって防御性能や扱いやすさの差も大きいのだが、ソロにはよくわからない。

ソ「どのみち鎧を着たくはないんだよなぁ。

 重たいのもそうだけど、この緑色の服が気に入ってるんですよ」

グ「それなら《青銅の鎧》はどうだ?少し青みがかった鎧だぞ」

ソ「うーん。青じゃなくて緑なんですよ」

防具屋が口を挟んだ。

防「色にこだわりたいのかい?

 緑なんてのは鎧にはあまりないな。でも服には幾らかあるから、服をあたったらいいんじゃないか?」

グ「しかし《身かわしの服》を着せるわけにもいかんだろう。女でもあるまいし」

ローブ、法衣、服のような防具も多数並んでいるが、防御服として貧弱そうに見える。基本的には後衛に下がる魔法使いや僧侶のために作られたものだ。

グ「じゃぁ特注にするか」

ソ「特注?」

グ「あぁ。王族や上級兵士などはよくやっている」

ソ「それすごいけど、お金がとても掛かるんじゃないですか?」

グ「セミオーダーにすればよい。完全な特注ではなく、既製品を改良してもらうのだ。

  店主よ。バンデッドチェインはないのか?」

防「あるよ。これは城からニーズが多いからね」

防具屋は細かい鎖のベストが布生地に覆われた、防弾服のようなものを持ってきた。

ソ「赤いですよ」

グ「そうだ。だからこれを、服屋に持っていって緑色の生地に仕立て直してもらう」

ソ「なるほどー。

 このバンデッドチェインというのは幾らですか?」

防「5,000ゴールドだよ」

ソ「うーん、買っちゃおう!」

防「毎度ありがとう」

バンデッドチェイン
バンデッドチェイン

ソ「それにしても・・・」

ソロはさらに店内を見渡す。

ソ「前から不思議に思ってたんですが、こんなワンピースみたいな服が何千ゴールドもして鎧より高いものもあるけど、防具として役に立つんですか?」

グ「防具の性能は見た目のゴツさに比例するわけじゃないのだ。

 武器もそうだが、防具というのは魔法の力の込められているものが多い。するとその魔力によって、防御力が嵩増しされるのだよ。燃えない布を使っていたりな」

防「こんな髪留めなんかもさ、髪留めが頭を守ってんじゃなくてなんかパワーが頭を覆ってるらしいよ。わたしにはそんなパワーは見えないがね」

ソ「へぇ!」

グ「魔法使いの仕事というのは、魔法で敵と戦うことだけでなく、武器や防具を作ることにも高い才能がある。そういう手仕事を好まない者が多いがな」

ソ「職人をやってる魔法使いもいるんだ!」

グ「刀鍛冶屋も、本当に優れた者はただの丸太腕ではなくて、魔力を持っていたりするよ」


防具屋を後にする。やはり専門家の解説を受けるというのは頼もしい。武器屋防具屋での買い物がまったく質の違うものになってしまった!

ソ「グレイグさんのあの立派な鎧も、やっぱ特注なんですか?」

グ「あぁ。今のは将軍になったときに報酬として特注してもらった。

 鉄打ちも手伝ったよ」

ソ「刀鍛冶のこと?」

グ「そうだ。防具が出来る現場も、見て知っておきたかった。少々の故障は自分で修復できるようになっておきたいしな」



今度は仕立て屋に入る。

グ「《バンデッドチェイン》だが、緑色の生地で仕立て直してもらいたい」

店「はい出来ますよ」

グ「他にも要望があれば言っておくんだ」

ソ「今着てる服と同じような感じになったら嬉しいんですけど」

店「ははぁー、どこか貴族のお坊ちゃんのお忍び旅行ですな?」

ソ「いえお坊ちゃんって!僕は25ですよ」

店「若く見えますなぁ!」

グ「貴族ではない。木こりと盗賊だ」

店「そうですか。500ゴールドですな。お仕立てに3日ほどお時間頂きますがね?」

ソ「はい。その頃にまた取りに来ますよ」

3日間、時間を潰す必要性が生じたようだ。


グ「貴族のようだ、王子のようだとおだてられても、話に乗らないほうがいい」

ソ「え?」

グ「相手が金持ちだと見えると値段を吹っ掛けてくることがあるからな。

 ヨロハマはガンディーノの属国だからまだマシだが、他所だと10倍も20倍も言い値が変わることがある。

 騙し取られないためには金持ちぶらないほうがいいし、基本的な知識を持っておいたほうがいい」


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