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episode73

3 時間前
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episode73


そして家族とは大抵の場合、旅行や自由に対する大きな障壁となる。

グ「そういえば、きょうだいがいるとか言っていたな」

ソ「えぇ、双子の妹がいますよ。

 1人は芝居が好きで、まるで映画の中から出てきたような子です。

 もう1人は推理小説ばかり読んでいますよ。

 本は読めるくせになんで教科書読めないのかな?あはは」

ソロの双子の妹 ゼシカ←とセーニャ→
ソロの双子の妹 ゼシカ←とセーニャ→

グ「現代っ子、か」

ソ「10歳も離れてるからか、やたらとお兄ちゃん子でね。

 僕のこと父親だと思ってるんでしょうね!」

グ「まるで父親には見えんぞ。むしろ十代にすら見える」

ソ「あはは。いつもヘラヘラしてますからね。老けたくないなって思ってはいます。ビールっ腹にはなりたくないし」


グ「私は5人きょうだいだったが、私以外はすべてもうあの世へ行った」

ソ「えぇ!戦争でですか?」

グ「いや、戦争というよりは訓練が仇となって、だな。2人の弟は体が弱いのに兵士として叩きこまれ、それに耐えられず死んでいった。

 2人の妹は病弱で、病気によって死んでいった」

ソ「悲しい境遇なのですね・・・」

グ「悲しいとは思っていない。戦士なんて人の死を乗り越えていかなければならない宿命だ。若いうちに慣れたのは幸運とすら思う。

 病弱な妹が若くに命を絶ったのも、むしろ良かったと思う。生きていたなら心配で出てこられなかったかもしれないさ」


ソ「ていうかビックリです!」

グ「うん?」

ソ「実は僕も、厳密に言えば5人きょうだいなんですよ。

 2人の妹の間に、弟が2人いました。僕は5人きょうだいの一番上だったんですよ」

 弟は2人とも、小さいうちに病死しちゃいました」

グ「そうか。割と境遇が似ているな。

 そなたは・・・

 2人の妹を置いて、心配ではないのか?」

ソ「え?」ソロはグレイグの顔を見上げた。その質問はつまり、グレイグ自身だってきょうだいの不幸に何も思っていないわけではない、という繊細さを包含している、とソロは思った。しかしそのためらいを他人には見せないのだろう。他の兵士や王には。知らぬ旅人にも。

ソ「あはは。心配しないですよ。別に僕がいなくたって生きていけますよ。

 ・・・いや、5年前は『僕が離れちゃダメだな』って心配だったですけどね。今は大丈夫」

グ「華奢な少女を思い浮かべたが、たくましい女なのだな」

ソ「たくましく・・・『なった』かな。と思います。

 2人ともかわいくて、親族にはチヤホヤされてましたけどね。ぬいぐみも何でも買ってもらえて。

 でもかわいいゆえに学校じゃいじめられもしたようですよ。ひがみっていうのかな?」

グ「兄が助けてやったわけか」

ソ「いやそんなつもりもないですよ。

 あの子たちは互いに、双子がいたから救われたんだと思います。いじめられても孤独にならずに済んだ。落ち込んでもすぐに笑顔を取り戻せたんだと思います。

 歌を歌ったり、好きなお芝居の真似をしたり、そういうのって笑顔になれるでしょう?いつも相方がそばにいたから、悲しみを忘れやすかったのかなって。

 演劇部の部長をやったり学級委員やったり、いじめを克服して何かと人の世話をするようにもなったから、もう大丈夫だろうなと思いました」

グ「ふむ」

・・・本当はもっと早く旅に出たかったのだろうな、とグレイグも勝手にソロの胸中を察した。聞いたところで、他人のせいにはしないのだろうが。自由人のように見えてお人好しであり、責任感がある。

 しかしそうして、5年前ではなく今だったからこそ、彼はソロと出会い、意気投合できたのだろう。


後になって振り返ってみれば、グレイグもまたソロに孤独を救われた人間の一人だった。ソロの旅立ちが5年遅れたことによって、グレイグはグレイグたる人生を全う出来たし、親友を得ることが出来た。

珍しいギターは異国のどこかで同じものを目にするかもしれないが、替えの利かない友情というものは、ある。


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