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episode87 『王と悟り』

20 時間前
読了時間: 3分

episode87


さて、《ラーの鏡》なるものを入手した。

魔物が人間に化けているならそれを暴いてくれるという。

ソ「ひょっとして、オリンピアの王様が自衛もせずにスポーツにばっかりかまけるのは、魔王が化けてるからだったりして!?」

グ「そうだな。そして我が国ガンディーノの王も・・・」

ソ「あー、ガンディーノの王様は魔王の手下じゃないかって、誰か言ってた気がするなぁ」

グ「次はそれを暴くか」

まずはオリンピアの王だ。どうやって近づけばよいのだろうか。


2人はまた神殿のハーゴン神官の元に赴くことにした。スポーツのチャンピオンや武器屋では、謁見方法まではわからないだろう。

神官ハーゴン
神官ハーゴン

ハ「・・・なるほど。そのようなものまで見つけてこられたのですね!

 あのう、まずは・・・」

ソ「はい」

ハ「まずはその鏡を、私が見つめてもよいでしょうか?」

ソ「えぇ!?」

グ「なんと!?」

ハ「私は神に仕える者でありながら、この国の男たちの奔放に寛大であることが出来ません。

 人の愚かさはカルマがやがて裁くものだと、日頃人に説いておきながら・・・彼らに制裁を与えたいという攻撃や憎しみの感情が渦巻きます。必死に堪えていますが。私は悪魔なのでは、と思う事があります」

ソ「大丈夫ですよ!ハーゴンさんは善い人です!」

ハ「そう思いたいですが、真実を確かめなければなりません」

グ「納得するように、やるのが良いのだろう」

ハ「そしてもし私が悪魔に化けてしまうなら・・・すぐに私を殺してください。情けなど無用です。

 それに、そうしたらすぐに王との謁見も叶うでしょう。あなた方に感謝を述べに来るはずです」

グレイグはハーゴンに鏡を手渡す。

ハーゴンはわなわなと震えながら、鏡を受け取る。

そして、恐る恐るそれを自分の顔に向ける・・・。


ハ「・・・・・・」


ソ「何も・・・起きませんね!」


ハ「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ!

 こんなに疲れる作業は生まれて初めてです!!」

ソ「良かった!」


ハ「・・・!

 いいえ、違います!!

 これは大した解決にはなっていない!!」

ソ「えぇ!?」

グ「なに!?」

ハ「私が魔物の化身でないことはわかりました。

 しかし、私の心に悪意が巣食っていないことの証明にはなりません。

 魔物でないとしても、人であるとしても、悪意ある危険人物は存在します」

グ「そうだな。これはあくまで、魔物が化けているか否かを示すにすぎない」

ソ「善い人だという証明にはなってないわけですね」

ハ「私は・・・!!」

グ「ハーゴン殿。

 心が清いかどうかは難しい問題です。それを今思い詰めるのは得策ではない。

 あなたは、あなたの思う善を日々生きればよいと思います」

ハ「そ、そうですね。わかりました」

ハーゴンは冷静さを取り戻した。

グ「私も少なからずあなたと似た葛藤を抱えました。

 主(あるじ)に忠実であることは善なのか?

 そして今は、国を捨てて出てきた。

 忠誠とは、忠実とは、従順とは、とても難しいものです。

 従順は良いことだが、悪に従順で良いのか?良くないであろう。

 しかし最初から反抗期の子供のようでは、社会に秩序は保てない。身勝手で良いわけがない。

 まずは従順さを磨くべきなのだと思います。誰が善なのかわからずとも。それには20年をも要するのかもしれません。

 他人(ひと)を批判する前に、まずは自分が、秩序の一員になれなくてはいけない。あの巫女の子たちのように、音楽隊の子供たちのように。まずは協調性を、従順を鍛えなければいけない。

 自分が弟子を率いるほどの研鑽を積むと、悪の主がわかってくる。反旗を翻すのは、その後がよいのであろう」

ㇵ「は、はぁ。説法感謝申し上げます」


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