episode87 『王と悟り』
episode87
さて、《ラーの鏡》なるものを入手した。
魔物が人間に化けているならそれを暴いてくれるという。
ソ「ひょっとして、オリンピアの王様が自衛もせずにスポーツにばっかりかまけるのは、魔王が化けてるからだったりして!?」
グ「そうだな。そして我が国ガンディーノの王も・・・」
ソ「あー、ガンディーノの王様は魔王の手下じゃないかって、誰か言ってた気がするなぁ」
グ「次はそれを暴くか」
まずはオリンピアの王だ。どうやって近づけばよいのだろうか。
2人はまた神殿のハーゴン神官の元に赴くことにした。スポーツのチャンピオンや武器屋では、謁見方法まではわからないだろう。

ハ「・・・なるほど。そのようなものまで見つけてこられたのですね!
あのう、まずは・・・」
ソ「はい」
ハ「まずはその鏡を、私が見つめてもよいでしょうか?」
ソ「えぇ!?」
グ「なんと!?」
ハ「私は神に仕える者でありながら、この国の男たちの奔放に寛大であることが出来ません。
人の愚かさはカルマがやがて裁くものだと、日頃人に説いておきながら・・・彼らに制裁を与えたいという攻撃や憎しみの感情が渦巻きます。必死に堪えていますが。私は悪魔なのでは、と思う事があります」
ソ「大丈夫ですよ!ハーゴンさんは善い人です!」
ハ「そう思いたいですが、真実を確かめなければなりません」
グ「納得するように、やるのが良いのだろう」
ハ「そしてもし私が悪魔に化けてしまうなら・・・すぐに私を殺してください。情けなど無用です。
それに、そうしたらすぐに王との謁見も叶うでしょう。あなた方に感謝を述べに来るはずです」
グレイグはハーゴンに鏡を手渡す。
ハーゴンはわなわなと震えながら、鏡を受け取る。
そして、恐る恐るそれを自分の顔に向ける・・・。
ハ「・・・・・・」
ソ「何も・・・起きませんね!」
ハ「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ!
こんなに疲れる作業は生まれて初めてです!!」
ソ「良かった!」
ハ「・・・!
いいえ、違います!!
これは大した解決にはなっていない!!」
ソ「えぇ!?」
グ「なに!?」
ハ「私が魔物の化身でないことはわかりました。
しかし、私の心に悪意が巣食っていないことの証明にはなりません。
魔物でないとしても、人であるとしても、悪意ある危険人物は存在します」
グ「そうだな。これはあくまで、魔物が化けているか否かを示すにすぎない」
ソ「善い人だという証明にはなってないわけですね」
ハ「私は・・・!!」
グ「ハーゴン殿。
心が清いかどうかは難しい問題です。それを今思い詰めるのは得策ではない。
あなたは、あなたの思う善を日々生きればよいと思います」
ハ「そ、そうですね。わかりました」
ハーゴンは冷静さを取り戻した。
グ「私も少なからずあなたと似た葛藤を抱えました。
主(あるじ)に忠実であることは善なのか?
そして今は、国を捨てて出てきた。
忠誠とは、忠実とは、従順とは、とても難しいものです。
従順は良いことだが、悪に従順で良いのか?良くないであろう。
しかし最初から反抗期の子供のようでは、社会に秩序は保てない。身勝手で良いわけがない。
まずは従順さを磨くべきなのだと思います。誰が善なのかわからずとも。それには20年をも要するのかもしれません。
他人(ひと)を批判する前に、まずは自分が、秩序の一員になれなくてはいけない。あの巫女の子たちのように、音楽隊の子供たちのように。まずは協調性を、従順を鍛えなければいけない。
自分が弟子を率いるほどの研鑽を積むと、悪の主がわかってくる。反旗を翻すのは、その後がよいのであろう」
ㇵ「は、はぁ。説法感謝申し上げます」



