episode88 『王と悟り』
episode88

ソ「そしたら、王様に謁見するアイデアは何かないでしょうか?」
ハ「そうですね。
『壁の修復を担う工事の者だ、安く引き受けるがどうだ』などと言えば謁見くらいは叶うと思います。あなたは体が大きいですから、それらしく見えます」
ソ「あははは、まだまだ木こりのフリだ!」
グ「鎧を着ないほうがよいな、まだ」
ソ「ありがとうございます。神官様」
すると、ピュアリや巫女たちが2人に駆け寄ってきた。

ピ「旅のお方!
アテナお姉さまは元気にしていますか?どんなご様子でしたか?」アテナのアロエを渡した娘だ。
ソ「あぁ、えぇっと。
グレイグさんが話して?」
グ「なに?うーむ」
どんなご様子かは、2人にはよくわからなかった。あそこに居たのはシリウスが憑依したアテナであって、アテナ本人の感情はわからない。
グ「元気にしているようだったよ。
古い本を読んで、落ち込んだ心を持ち直したと言っていた。
神殿にたくさんのアロエを植えているのだ。だから寂しくないようだぞ。
アロエのお土産をとても喜んでいたよ。心が温まるとね。そなたは良い提案をしたな!」
ピ「そうですか!ありがとうございます!」
ソロがグレイグに説明させたのは、何と言えばよいかわからなかったからだけではない。グレイグと巫女に会話をさせたかったのだ。この大男は心優しいぞ、と。
2人はオリンピアの城へ向かった。
「外壁や家の修理をする者です。民がスポーツをしている間に修復を請け負います」と話すと、アポがなくとも番兵は2人を中へ通した。そして王に話が通る。
王の間に辿り着く。
王「外壁工事の営業じゃと?」
ソ「えぇ王様。中央の宿の屋上から、拝見しましたよ。
川のところの城壁が大きく崩れておりましたね。あそこから魔物が襲ってきたらどういたします?」
王「しかし我が城は結界で守っている故、少々の綻びは・・・」
ソ「おっと、王様。
お顔にゴミがついておりますが?
いえ、鏡がございます!」
するとソロは《ラーの鏡》を取り出して王の顔面にかざした。
王「何?何も付いておらんではないか」
ラーの鏡は何の反応も示さない。
ソ「あぁ、上手く落ちたようですぞ!
ちなみに王様、この鏡は希少な骨とう品でして、非常に価値があるのですが」
王「失せろ!失せろ!
誰じゃこんな輩を通したのは!!」
2人は早々に王の間からつまみ出された。
ソ「はー上手くいった。王様、魔物じゃなかったですね」
グ「そなた、随分と役者だな!先日の決闘の場といい・・・呆れを通り越して感心してしまうぞ」
ソ「あはは。そう上手くはないんですよ。妹には怒られてばかりでした」
グ「なに?」
ソ「僕の妹は芝居好きでね。子供の頃から、絵本を読むのによく芝居がかったやつに付き合わされたんですよ。照れくさくてかなわなかったんですが、こんなところで役に立つとはね!ははは」
グ「人生とは数奇なものだな」
ソ「あの王様は魔物じゃなかった。けど精神のねじ曲がった人だ、そういう結論ですね」
グ「よし、次に行こう」



