エピソード105 『天空の城』
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- 2024年7月22日
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更新日:8月7日
エピソード105
お城の中も美しいものだった。縦長の窓がたくさんある。それらはステンドグラスのように外光を取り込んで、美しく輝いている。教会のものとは違い宗教画が描かれてはおらず、パステルカラーでモダンなデザインが施されている。爽やかで洗練されている。
やはり城の中にも女性の姿しか見えない。
ユーリはれいを連れて中を歩く。

ユ「長旅だったでしょう。まずはメディカルチェックを受けましょう」と言うと、診療所のような場所にれいを通した。
そこで聴診器を持つのも女性である。
医「ようこそガーデンブルグへ。
見事に女ばかりで驚いていますか?
いえね、昔は男もいたのですよ。
医者も男が務めていました。あるとき、婦人科の病気で診療を受けた女性が、男性の医師に体を見られることをとても苦しく感じたのです。それからでした。医師や教師や政治家・・・要人を男性に任せず女も頑張って勉強して、女が女の面倒を看れる社会を造りました。
そうしたら・・・なんと、男性の出生が減っていったのです。普通は男女が半々くらいでしょう?だんだんと男性の割合が減っていき、今ではほとんど生まれなくなりました。
別に男性を追い出したわけではないんですよ。神様は、『ここに男性は必要ない』とお考えになったのでしょう。
え、子孫繁栄には種が要るって?
それも、男性は1人いれば事が足りてしまいますからね」
ユ「お話も大事ですが、体を診てさしあげてくださいな」
医「え?だって彼女、回復魔法が使えるようよ。そういうオーラをしているわ。
だから診療なんて必要なさそうなんだもの」
ユ「れいは回復魔法が使えるのですか?魔法使いかと思いましたが」
れ「えぇ、少しは」
医「あぁユーリさん、そのこと女王様にお伝えしといたほうがいいかも!」
ところどころで女性とすれ違いながら、王の間へと進んでいく。皆「ようこそ、うふふ」と愛想が良い。
この国はどうも、美しいだけでなく人々の性格がとても良いように見える。誠実なうえに明るいのだ。