エピソード11 『全ての子供に教育を』
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- 2023年3月15日
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更新日:2024年1月11日
エピソード11
結局、そのプライベート・ツアーとやらを組んでもらうことにした。
一般的なトレッキング・ツアーは、2泊3日で2,000バーツ(7,500円くらい)程度だけど、
俺のプライベート・ツアーは、1日(往路のみ)で1万バーツ(2万5千円くらい)だ。
往路のみと言っても、ガイドは空っぽの車でチェンマイに戻ってこなければならない。
すると実質、2日分の労働やガソリンを強いることになるのだ。
いや、本来であれば、その倍の金額になるはずだった。
上記はあくまで、タイ人ガイドの場合であり、日本人ガイドを付けるなら、倍額になる。
でも、1万バーツで済んだ。
利典さんのご厚意だ。なにしろ、彼がそのガイドを務めてくれるのだ。
この上なく、力強い味方だった。
翌日、早速チェンマイを出発した。
旧市街の寺院を2~3観光したかったところだが、まぁ、しょうがない。
朝は早かった。早朝4時に、利典さんの家を出た。
利典さんは、穏やかな性格の割りに運転はハードだった。
「飛ばさないと、日が暮れてしまう!」のだそうだ。もっともだ。
まだ、日が昇ってすらいないけれども。
車は、東に走った。
日の出に突っ込むようなあんばいで、どんどん走り続けた。
出発が朝早い分、車内で眠ろうと思っていたのだが、
日が昇りきるまでは、まぶしくてそうもいかなかった。
おかげで、色々と話が出来た。
タイのチェンマイの、日本人街でもなんでもない場所に、
家を構えて暮らしているのだ。そうとうに味わい深い人であるはずだ。
若い頃は色々と、旅して周ったらしい。
「どの国が面白かったですか?」と尋ねると、
「中国の奥地とモンゴル」という答えが返ってきた。ディープだ。
モンゴルでは、しばらく遊牧民のテントで暮らしたらしい。
遊牧という生き方は、過酷そうに思える。俺には想像もつかない。
もちろん、大変は大変であるらしい。
が、日本人がマイホームにしがみつき、ローン地獄に縛られ続けるのと比べれば、
遊牧のほうがだんぜん気楽だ、と言っていた。
一理ある。…のかどうか、無知な俺にはよくわからない。
しかし、色んな暮らし方があるのだなということは、考えさせられた。
高価なマイホームに憧れ、頑なに守ろうとすることは、
諸行無常の現世を考えると、とても滑稽なことなのかもしれない。無理があるのだ。
本来、人間というのは、
暑さ寒さ、興味や天変地異に応じて、適した場所に移住すれば良いのかもしれない。
香里さんとは、旅先で出会ったらしい。
香里さんもまた、一人旅を愛するような人なのだ。
やはり、原始的な暮らしが好きであるらしい。
だから、山岳民族の村々に、飽きることなく通うのだ。
朝10時頃、ナンという町に到着した。
ガソリンの補給を行い、小休止を挟む。
俺は、少々の甘いものと、ペットボトルの水を買った。
俺が目指す村には、売店すら無いらしい。
『全ての子供に教育を』



