エピソード13 『沈黙のレジスタンス』
「ほらみろ!」
デニーの推理は完璧だった!
同胞たちは、飛び跳ねて喜んだ。
この地下通路に、飛び跳ねられるほどの高さは無いけどね。
しかしデニーは、そこで満足しなかった。
地下2階にも、あまり生活の匂いが感じられなかったからだ。
小部屋はいくつもあるし、教会や礼拝堂のような部屋があるが、
家具といえそうなものが、ぜんぜん無い。
階層は、まだあるに違いない。
デニー率いる発掘隊員は、36名に増えた。
みんな、目がイキイキとしていた。
生まれて初めて、自分が何か、デッカイことを果たそうとしている!
誰も知らなかった、神秘の扉をこじ開けようとしている!
その充実感と興奮で、キラキラとしていた。
みんなやる気に満ちていたが、
しかし、村の子供が一斉に消えると怪しまれるので、
デニーは子供たちに、ローテーションを命じた。
「代わる代わるやればいい。ゆっくりやればいい。確実にやればいい。」
デニーは一人、クールに落ち着いていた。
しかし、
デニーに残された猶予は、もう3ヶ月を切っていた。
15歳になってしまう。出稼ぎに駆り出されてしまう。
「デニー!のんびりやってる場合じゃないよ!
早くしないと、デニーが15歳になっちゃう!
大人になっちゃう!トンネル掘りに連れていかれちゃうよ!」
焦る僕をなだめすかすように、デニーは微笑みながら言った。
「いいんだよエニス。作業は急がなくていい。
3ヶ月以上掛かったっていいんだ。」
「なんで?何か秘策があるってこと?」
「秘策か。それも考えれば出てくるかもしれないけど、
オレのことはいいんだ。オレは15になったら、おとなしく出稼ぎに出る。」
「どうして!?全てが水の泡じゃないか!!」
「そんなことはないよ。まったく無駄じゃない。」
「何で!?何言ってるんだよ!」
「オレのためにならなくても、オマエたちのためになる。」
「デニー…!?」
「あっはっは!オレらしくないか?
そうかもしれないよ。昔のオレならな、そんなこと言わなかった。
でもさ、オレも成長したんだ。少しはな。
家出や地下都市の件で、思い知ったんだ。
自分の幸せのために考えても、何も浮かんでこなかったのに、
オマエらや誰かのためにって考えたら、とたんにアイデアが浮かんできた。
だから、それでいいんだよ。
家出のアジト造りも、地下都市の告発プロジェクトも、
オレのためのものじゃないんだ。オマエたちや、ほかの誰かのためのものさ。」
僕は、生まれて初めて人前で泣いた。涙が止まらなかった。
『沈黙のレジスタンス』



