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エピソード13 『自由の空へ』

  • 執筆者の写真: ・
  • 2023年3月18日
  • 読了時間: 3分

エピソード13

私は、そのまま眠ってしまったらしかった。気絶したのかな?

彼のほうを射精に導くことなく、中途半端なままで終えてしまったらしかった。

申し訳ないことをしてしまったけれど、

彼は怒ったりしなかった。ありがとう。


朝になって目覚めても、

昨夜の不思議な映像のことは、ハッキリ覚えていた。

うずくまるシーツの中で、

私は亮くんに、その話を打ち明けた。

亮くんは、面白いことを言った。

「ツバメ…鳥…

 鳥とかチョウとかってのは、

 し、し、心理学の夢分析では、自由の象徴だよね。」

「うん。私、ツバメが羨ましかったの。自由でいいなって。」

「そうかな?ホントに羨ましい?」

「え?どういうこと?」

「キミ、鳥たちのすすす巣立ちを、見たことある?

 もしくは、想像してみたことある?

 鳥たちは、飛んだことない状態で、飛び方もロクにしし、知らないのに、

 高い高い木の上の巣から、ダイブするんだぜ?

 それって、どんなにお、お、恐ろしいことだろう?死んじゃうかもしれないんだもん。」

「…!!」

私は、巨大な稲光に脳天を突き破られた。実際、額がひどくズキズキした。

ヒナ鳥たちの恐怖を想像してゾっとし、畏怖の念を覚えた。

そして、彼の考察力を目の当たりにして、畏怖の念を覚えた。

「するとさ?

 鳥の自由って、むやみにう、う羨ましがるもんじゃないんだよ。

 そんなの、無責任すぎるよね。あ、ああ、あ、浅はか過ぎるよ。

 鳥たちの自由って、生まれつき与えられたもんじゃないんだ。

 ヒナ鳥たちがひ、ひ、必死に努力して、勇気ふりしぼって、

 やっとの思いで獲得したものなんだ。掴み取ったものなんだ。」

「努力して…掴み取った…?」

「うん。自由って、そういうもんなんだよ。人間にとってもね。

 家がどんなに裕福でも、自由は感じられないんだ。

 お、親がどんなに寛大でも、自由は感じられないんだ。

 どんなに頭がよくても、どんなにカッコ良くても、どんなにう、う、運動センスあっても、 

 自由ではないんだよ。

 自由ってさ?

 すっごい努力が要るんだよ。い、いろんなこと努力しなくちゃなんない。

 いろんなことを、努力するんだ。

 それで、その後で、最終的には、

 い、いち、い、一番恐れてたような、一番嫌ってたようなことに、 

 飛び込んでみなくちゃならないんだよね。巣から飛び立つみたいに。」

「一番嫌ってたようなこと…」

「うん。お、お、オレにとってのそれは、

 ナンパだったりするんだよ。

 昔のオレだったら、ナンパなんて考えらんないよ。

 美学に反するし、そんな勇気なかったし。

 結果なんかどうでもいいんだよ。

 言い訳しないでやってみることに、い、意味があったんだ。

 キミにとってのそれは、

 せ、せせ、セックスだったんだと思うよ。

 厳密に言えば、『性欲に素直になること』かな。」

「うん。」うん。

「それで、お、面白いことが起こったんだよ。

 キミとオレ、

 その『巣立ち』の日が、重なったのさ。

 それに、互いのパーツがううう、上手いことハマったんだ。

 キミに必要なものをお、オレが運んできて、

 オレに必要なモノをキミが運んできた。

 まぁ、偶然だったんだろうけど。運命とかって言葉、好きじゃない。クサいから。

 た、ただ単に、ラッキーだったんだ。オレたち。」


『自由の空へ』

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