エピソード21 『真理の森へ』
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- 2023年3月19日
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エピソード21
午後は、服を買いにいくことにしました。
カティが、郊外のショッピングモールまで車を出してくれます。
出掛ける直前になって、私は気付きました。
「あ、現金がそろそろ切れる!」
空港のATMで降ろしたユーロが、そろそろ底を尽きちゃう。
服を買うほどの余裕は無さそうです。
「カティ?
服屋さんに行くまでに、どこかATMあるかな?
日曜でも手数料の掛からないトコがあったら良いんだけど…」
「へ?手数料?
ATMの手数料なんて、日曜だろうがクリスマスだろうが、
四六時中かからないはずよ?」
「そうなの!?すごーい♪」
「すごーいって、あなた、
日本のATMは、手数料が掛かるの!?」
「うん。
銀行内のキャッシュマシーンなら、平日昼間は無料だけど。
コンビニのATMも土日夜間の銀行キャッシュも、何かと手数料かかるよ。
たかだか200円でも、バカにならないんだよなぁー…」
「200エン!?
マシーンでお金を下ろすだけなのに、200エンもかかるの!?
日本の金融会社って、そんなに不親切なの!?」
「不親切…なのかな?
何が基準か、住んでる身としては実感わかないけど…」
「不親切よ!
よく考えてもみなさいよ?
ATMは、人件費削減のために導入されたのよ?
それで企業が負担する事務労働は、激減したのよ。
それなのにどうして、ATMで事務手数料を取るの!?」
「儲けたいから…かな?」
「うふふ。そうね!それだけよね(笑)
フィンランドの企業は、機械というものを、
利益向上のためじゃなく、利便性や値下げのために活用するわ。
でも日本はそうじゃないのね…
機械を、楽して儲けるために使ってる…」
…どうも、カティの話を聞いていると、
日本の企業は根本的に不誠実みたいです。
フィンランドの場合、普通の企業でも、NPOみたいな感じ。
儲けを出すことは、あまり企んでいないのです。
フィンランドも、日本と同じ資本主義なのに。
ショッピングモールでは、
フィンランドのユニクロみたいな店で、
鮮やかなミントグリーンのセーターを買いました。
ヘルシンキの街を歩いているときに気になっていた服で、
それがこっちでも見つけられて、うれしかったです。
ショッピングモールをぶらついていて感じたのは、
服や雑貨の値段が、かなり安いということ。
日本より安いわけではないけれど、
フィンランドの物価を考えれば、高くないと感じます。
感覚としては、
ちょっとしたブランドの服が、ユニクロの値段で買えてしまう感じ。
カティが言うには、
フィンランド企業は、「デザイン料」「ブランド料」という概念が乏しいんだそうです。
デザインを気遣うのは、製品を作るうえで、当たり前のことになっている。
だから、街中の何もかもが、美しいのでしょう。
また、ブランドを誇示するようなことを、フィンランド人は好まないんだそうです。
ブランドタグではなくデザインや品質で、買うものを決めるのです。
IKEAというスウェーデンの家具が日本に上陸したとき、
スタイリッシュな家具が安く買えるといって話題になったけれど、
それも同じような仕組みであるようです。
IKEAのデザイナーさんたちは、並のお給料でデザイン仕事をしているし、
IKEAの家具には、「ブランド料」は加算されていないんですね。
日本や西欧のデザイナーとは、考え方がずいぶん違うようです。
『真理の森へ』



