エピソード28
僕は、7時45分には、待ち合わせ場所に着いた。
タフリール広場の例の11叉路には、
世界中の「どーでもイイ人たち」であふれ返っていたけれど、
ダニーの姿だけは、無かった…
8時になっても、8時30分になっても、
ダニーは現れなかった…
いちいちドラマが起こるんだよ。
なぜか知らんけど、旅ってのは、
いちいちドラマが起こるんだ。
彼の性格からして、
待ち合わせの時間に10分でも遅れるような気質とは、思えなかった。
事故や病気、壮大な冷やかし…
様々な理由を考えて、不安にもなった。
ただでさえ、
タフリール広場の尋常じゃナイ排気ガス臭さは、
ヒトを不愉快にさせ、気落ちさせるモンさ。
それでも僕は、待ち続けた。
それが、
彼がたった一晩の間に積み上げた、「徳」のようなモノだろうさ。
肉を食べない食生活、食事の前の食物への感謝、
仏のような笑み、穏やかな振る舞い、
音楽の好み、嗅ぎ分ける感性…
そうした彼の一挙手一投足が、
僕を辛抱強く待たせる要因だった。
「電話で状況確認しないの?」
って、思ったかい?
僕は、海外放浪にはケータイを持っていかないことにしてるんだ。
…持っていくとしても、
カメラとしてのみ使うか、MP3プレイヤーとしてのみ使うか、それだけさ。
いつでもすぐに誰かに助けを呼べてしまう、ケータイってモノは、
海外放浪を、著しくツマラナイものにしちゃうんだよ。
ヒトは、頼れるヒトのアテがあると、
そのヒトにばっかり、頼ろうとする性質がある。
たとえば、
女の子が2人で旅をしていると、
他の旅行者たちと交流しようとはせず、
延々と、2人でしゃべり続けていたりする…。
たとえば、
海外保険にたっぷり掛けてきたヒトは、
何かあればすぐに、
現地の日本人スタッフに泣きついてしまう…。
そういう、「月並みな対処」をしてしまうと、
「思いがけないドラマ」の起こるスペースを、
ぜーーんぶ、台無しにしてしまうんだよ(笑)
すると、とても味気ナイ旅にしか、ならないのさ。
…モチロン、
「通話料や通信料がバカ高いから」という理由も、有るんだけれど、
たとえ僕が億万長者であっても、
海外放浪にケータイは持っていかないだろうなぁ。
オンナジような理屈で考えると、
小さな子どもにケータイを持たせるのは、
あんまり賢くナイと思うよ?
たとえ、
塾で忙しかろうと、親としか通信出来ない機種だろうと、さ。
そういう子どもは、
困ったことがあったときには、「ママに泣き付く」という発想しか、
出てこない子になっちゃうんだよ(笑)
…それで、誰が困ると思う?
いつでも何でも、子どもがママに泣きつき続けるんだから、
結局、ママが一番、困ることになるんだよ(笑)
そういう子は、
25歳になって、彼氏と同棲していたって、
「ママー!ゴキブリー!!」
って、電話で泣きついてくるんだよ(笑)
でも、それは、
このピンク・ギャルのせいじゃナイのさ!
親御さんが、わが子を甘やかし過ぎた結果に過ぎないんだよ(笑)
すると、
「ママが困らないために、子どもにケータイを持たせよう」
っていう思考回路は、本末転倒で逆効果なんじゃない?
…ん?子どもにケータイを持たせるタイミング?
それは、
子どもがアルバイトをして、
自分で通信料や機種代を払えるようになってからじゃないかな?
そうなったら、
課金制のゲームだろうが、アダルト・サイトだろうが、
何の規制も掛けずに、スキにやらせればイイさ(笑)
自分で汗水流して働いたお金が、そうした悪徳商売に吸い込まれていくのを見たら、
彼らは、親が何も怒ったりしなくても、
自分で自分を、セーブするようになるよ。
自制心が身に付くし、計画力が身に付くだろうさ。
ムダなおしゃべり通話も、勝手にセーブするようになるよ♪
『導かれし者たち』


