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エピソード28 『ヒミツの図書館お姉さん♪』

  • 執筆者の写真: ・
  • 2023年3月7日
  • 読了時間: 2分

ミーティングが済むと、みんな、

それぞれの持ち場に散っていった。

私は1人、高桑さんのもとに残った。

「高桑さん、全て、知っていたんですね!?」

「あははは!ゴメンね!

 『退社は誰にも言わないように!』っていうことを、

 あのおじさんと、約束してたモンだから…」

「それにしたって…」

いや、高桑さんは、悪くない。

私に話したところで、何の意義も無いよ。


私のほうから、次の会話を始めた。

「いつから、決まっていたんですか?」

「あれ?2年前に、あのおじさんが言ってたでしょう?

 『2年後に、辞める予定のヤツがいるぞ』って。」

「そっか…

 あのときにはもう、レノンさんの退社、決まってたんですね…。

 退社の理由は、何だったんですか?

 病気…ではないだろうけど。引越しとか?」

「うーん。

 言っていいのかなぁ…」

「言ってください!

 利用者さんにレノンさんのこと聞かれたら、

 答えられないと、おかしくないですか!?」

理屈は通っていない気もしたけど、とにかく、真相が知りたかった。


「レノンさんは、

 古藤さんのために、『イス』を1つ、空けたのさ。」

「…!?」

私はがくぜんとした。冷や汗がどっとふき出した。


高桑さんは、気丈に、話し続けた。

「『清掃スタッフ』として雇える人数には、限りがあってね。

 ただでさえ、特例のレノンさんの影響で、

 1人少ない人員で、清掃業務を回してたんだよ。

 だから、

 古藤さんを、新たに『正規スタッフ』として迎えるためには、

 誰かが1人、辞める必要があったんだね。

 かと言って、

 これ以上、『本当の清掃人員』を削ることは、出来ない…。

 だから、レノンさんは、

 自分の『イス』を、古藤さんにゆずることに決めたんだ。」

「…そんなぁ…

 レノンさんと一緒に、働けないなんて…。

 レノンさんの仕事を、奪ってしまったなんて…。

私は、「正規スタッフ」への昇格が、素直に喜べなくなってしまった。

だから、ことの真相は、トップシークレットだったのか…。

何から何まで、計算されていたのだ。



『ヒミツの図書館お姉さん♪』

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