top of page

エピソード35『世界樹 -妖精さんを仲間にするには?-』

  • 執筆者の写真: ・
  • 2024年5月2日
  • 読了時間: 2分

エピソード35


兵「城は、まっすぐこの先にある」


な「でも霧の中を手漕ぎボートで真っすぐなんて・・・」

兵「一度しか言わない。城は、まっすぐこの先にある」

ゆ「あ!ポワン様が、何か試練のようなことがあるって言ってた!

 それはこれのことなんじゃない?」

ア「行ってみるか」

アミンが力強く言うと、3人はゆっくりと小舟に乗りだした。

一番前にななが、真ん中にゆなが、後ろにアミンが座った。

オールは6本用意された。

ゆ「なな、あなたボートって漕いだことある?」

な「無ぁーい(汗)」

ア「ゆなはあるのか?」

ゆ「1回か、2回か・・・

 アミン、今回も頼んだわ!」

ア「僕は森の民だぞ!」


3人は、そろりそろりとボートを漕ぎはじめた。

な「おととととと!」

真っすぐ漕いでいるつもりが、右に曲がってしまう。

ア「左だ!左に舵を切れ!」

3人は右手に力を入れる。

すると、今度は小舟は大きく左に曲がってしまった!

な「うわぁーん進まない!」

意外と上手くいかないものだった。視界が白く、左右上下がわかりづらいからなおさらなのだ。

小舟はやがて、始点から10m左に反れたあたりに着岸してしまった。

な「ありゃりゃ」

一行は小舟を、自力で始点まで運び戻す。そしてもう1度、挑戦した。


・・・・・・。


同じことを2度3度、繰り返す。

な「難しいよぉ!」

ア「このままじゃ日が暮れちゃうなぁ」

ゆ「そうだ!ポワン様が何か言ってなかったっけ?」

な「あぁー言ってた!!

 えーっと、たしか・・・」

ア「『まっすぐ、進みなさい』だ」

3人「それはわかってるーーー!!!(汗)」


ゆ「待って!待って!

 他にも何か、誰かにアドバイスを貰わなかったっけ?」

な「・・・!

 ちょうわ・・・?」

ゆ「そうだわ!エルサが言ってた。『調和がカギになる』って」

ア「そうだ!でもそれは、検問のことじゃないのか?」

ゆ「そうかもしれないけど、小舟のことでもあるのかも」

ア「どうすればいいんだ、調和って!」

ゆ「調和・・・調和・・・」

調和というと、ゆなは吹奏楽のことを思い出す。

皆で綺麗な音を奏でるにはどうすればいい?

440Hzが、この湖で言うところの「ど真ん中」であるとすると・・・?

奏者たちは、もちろん440Hzの音とその音階を出せるように細かい技術や意識を磨く必要がある。

しかし曲の中で、1Hzの狂いもなく無数の音符を奏で切ることは不可能だ。

それでも曲は、美しくは聞こえる。


ゆ「ねぇ!ちょっと試してみてもいい?」


bottom of page