エピソード36
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- 2023年2月1日
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食事が済んだら、
僕とダニーは、お別れをすることにした。
帰る方向が、てんでバラバラだったからさ?
僕らは、
キツーく抱擁を交わし、かたーい握手を交わし、満面の笑みで感謝を告げ合うと、
互いに別の道を、歩き出した。
ダニーのような、ピュアで芯の強い若者は、
現代のアメリカには、ほとんど居ないと思うよ。ダニーだけじゃない?
彼がこれからどんな道に進んでいくのかは、わからない。
けれども、
何にせよ、彼が選んだ分野で、明るい光を灯してくれるだろうね♪
彼みたいな、
「どこにでもさすらうことの出来るタイプのスピリチュアリスト」
は、強いよ!!
お金や名声や安定した生活のためなんかじゃなくて、
地球のために、人類のために、
サイキックを活かしながら、生きていけるよ♪
…この日はもう、
宿の近場をウロウロするくらいで、夜を迎えた。
なんか、出来たばっかりの日本人宿を見つけて、
そこにチェックインしたのを思い出した。
コレ書いてて久しぶりに、思い出したよ。
日本人の青年とエジプト人の青年が手を組んで、経営してんだよ。
日本人のほうはかなり若かったんじゃないかな。21~2歳とか、それくらい若い。
出来たばっかりって言っても、
建物自体はめちゃくちゃ古いよ。築100年かもしんないな。
タフリールにある雑居ビルは、どれもそんくらいの勢いさ。廃墟みたいに汚い。
どこの雑居ビルも、なんだか妙なカラクリ仕掛けのエレベーターがあってさ。
手動で扉を開けるような、さ。
最初は使い方がわかんなくて、エレベーターの中に5分くらい閉じ込められたよ(笑)
今にも落下しそうな、ボロくてスケルトンなエレベーターにさ。
ゲストハウスってのは、オーナーがよく交代するんだ。権利譲渡ってヤツだよ。
繁盛しないゲストハウスでも、オーナーが変わるだけで持ち直すこともあるらしい。
すると、出来たばっかりっていうか、リニューアルって言ったほうが正しいね。
まぁ、内装はほとんど変わってないんだろうけど、
とにかくシャワールームだけは新しかったよ!めっちゃ綺麗でさ!
温シャワーの水圧だけは、日本の5ツ星ホテル並みだね!水圧だけはね(笑)
新オーナーの彼らは、
日本人客が水回りの設備にうるさいことをよくわかってんだろうとおもうよ。
日本人はうるさいんだ。水回りに。世界一だと思うよ。
そしてもうひとつ印象深かったのは、
オーナーは二人とも、接客が手厚いってこと。
日本人の彼は特に、朝から晩まで接客してたよ。
サービスの朝食も、自分で調理して自分で運んでくるしね。
その合間にチェックアウト客の対応も済ませて、
西方砂漠に行きたがってる旅行者にアドバイスまでしてる。
も
ちろん、オープンしたばっかりで張り切ってるってのもあるんだろうけど、
きっと彼は1年後も、おんなじように忙しなく接客してるんじゃないかと思うよ。
ゲストハウスのオーナーをやりたがる人間っていうのは、そういうのが多いのさ。
朝から晩まで働くんだよ。睡眠も、ロビーのソファだしさ。
一般的なサラリーマンの2倍くらい働いてんじゃない?月400時間とか(笑)
儲かるからじゃないよ?楽しいからさ。
接客が楽しいんだよ。旅人と戯れてるのが楽しいんだ。
ゲストハウスに限らず、自営業ってそんくらいの気合がいるよね。
ラーメン屋だって魚屋だって、朝の3時から仕込みはじめるからね。
みんな、自分の好きなことを仕事にすりゃいいんだよ。僕はそう思うね。
もちろん、
ぜんぜん接客したがらないゲストハウスオーナーもいるよ。
金儲けしたいだけで、旅行者には興味がナイんだ。そういうのもいるよ。
『導かれし者たち』



