エピソード7 『イエスの子らよ』
部屋にもどって、シスターが帰っていくと、
「ウフフフ。」声がしたわ。
「エルサ、起きてたの?」
「起きちゃったわ。あなたが出ていく物音でね。」
「私がバカだから、笑ってたの?」
「ウフフフ。だいたいみんな、同じことやるわ。」
「そうよね!?」私、安心しちゃった。
「でも、初日に抜け出して大目玉くらったのは、
たぶん、あなたが二人目よ?
前に同じことやったのは、シスター・サラだけらしいわ。」
「その人、問題児なの?」
「とてもおとなしい人に見えるわよ。アタシには。」
エルサと同じで、ネコっかぶりなのかしら。
私、さっき怒鳴られた衝撃が、まだ冷めやらないわ。胸がイガイガしてる。
「大人って、どうしてガミガミ怒るのかしら?
私、怒られるのキライなのよ。」
「それはアレよ。
アタシたち子供っていうのは、ガミガミ怒られないと良い子にしないからよ。
マリアンヌだってそうでしょ?いつもはお行儀よくしてるの?」
「ううん。いつも脱線してばっかり。」
「そうでしょ?それなら怒られたって仕方ないのよ。
どっちもどっちってことね。」
少しおとなしくしてたけど、やっぱり眠れないわ。
「エルサ、起きてる?」
「寝てるわよ。ぐっすり。」
「起きてるのね。
少し、お話付き合ってくれない?」
「しょうがないわね。」
「エルサどうして、修道院に来たの?
ネコかぶってばかりってことは、お行儀よくするの好きじゃないんでしょ?
修道院の生活って、あなたに合ってないと思うんだけど?」
「半分は合ってないけど、半分は合ってるわ。」
「どういうこと?」
「修道院は礼儀にうるさいからアタシに合ってないけど、
修道院は女ばっかりだから、アタシに合ってるわ。
アタシ、男ってキライなの。イジワルだから。」
「ふうん。
でも、そういうあなただって、ナマイキじゃない?」
「そうよ、ナマイキよアタシ。でもイジワルじゃないわ。」
「どっちも同じようなもんじゃない?」
「そんなことないわ!遠くもないけど。
それに、ナマイキっていうのは、あながち悪いことじゃないわ。」
「どうして?」
「ナマイキっていうのは、『年齢のわりに賢い』ってことよ。
何か指摘されたとき、相手が年下だから、『ナマイキ!』って感じるだけでしょ?
同じこと言われても、相手が年上だったら、『するどい!』って褒めるわ。
言った内容には問題ないわけよ。年が幼いのが問題なだけ。」
「ふうん。エルサって面白いのね。」
ナマイキだし変な子だけど、
お母様が教えてくれなかったこと、教えてくれそうだわ。
『イエスの子らよ』


