エピソード7 『伝説の教師 -金八さんのその先に-』
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- 2023年3月21日
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エピソード7
太陽はジリジリと、まだ高いところで輝いています。
まだ急がなくて大丈夫だな。
僕は、知り合ったついでに、
今考えていたことも、このおじさんにも尋ねてみました。
「…1人しか乗せないのに2,000円で走るバスは、正義か悪かって?
そりゃおめぇ、悪さぁ。」
「え!悪なんですか?やっぱ採算取れない商売はまずいのかぁ。
じゃぁ、何十万かかってもタクシーのほうが良いんだ?」
「ちゃうわ。タクシーは大悪党さぁ。」
「え!?どういうことですか!?」
「まず、何十万も取るタクシーは論外さぁ。
で、おめぇ、2,000円で名護まで乗せるバスなんぞ、必要だと思うとるん?」
「…必要ないんですか?」
「どっちでもえぇけど、別に必要ないわぁ。
まぁ、バス会社で働いとって言うのもなんやけど。がはは!」
「どうして?どうして必要ないんですか?」
「どしてっておめぇ、
今時分、那覇から名護に向かう車なんて、腐るほどおるよぉ?
おめぇみたいな旅行者が、130号線で親指突き上げとったら、
ついでに乗せたったらいいさぁ。どうせ名護行くんやもん。2,000円取る義理ないで。
それが本来の人間ってもんやろ?ちゃうんか?
2,000円取るんが、優しさか?」
「……!」僕は、言葉に詰まってしまいました。
「おめぇ、ちったぁ田舎で暮らしたほうがいいなぁ。
でないと、東京モンに騙されるで。
バスも電車も、高すぎるわぁ。それに気付かんようなら、騙され放題よぉ。
いいかぁ?
バスなんて作るから、みんな、『バスに乗るのが当たり前』と思うんよぉ。
そったら高い金払っちまうし、誰も助手席に乗せんようになる。どっちもアホさぁ。
役所にバスなんか作らせんと、自分たちで助け合うなら、
バスターミナルごときに何千万円も要らんで。
おめぇ、
もっと田舎の、離島でも見てきたらいいんちゃうん?
ホンマにバスなんか無くても、住民の助け合いで回っとるよ。」
僕はまさに、目からウロコが落ちる思いでした。
「バスが正義かタクシーが正義か」その論点で思いを巡らす自分を、
我ながら、「賢くなったなぁ」と思っていたのに、
このおじさんの思考は、それを遥かに凌駕しているのですから!
こんな、ヨッパライみたいなおじさんが…
『伝説の教師 -金八さんのその先に-』



