第26章 ハーブえん
- ・
- 2023年1月1日
- 読了時間: 4分
第26章 ハーブえん
マナはアリアハンに戻ることにした。久しぶりにのどかな空気を吸いたいと思った。
アリアハンの城はそう物騒な雰囲気もなく、町はあちこちに花が植えられ鮮やかで明るい。そしていつも晴れていて暖かい。「温泉よりも癒される」そんな気がした。
「何をしようかな」考えたマナは、ふと思いついて町はずれのハーブ園へと向かった。例の病気母娘のクエストは受注していない。
「何の用だ!」無愛想な庭師に咎められ、「ハーブを摘みたい」とマナは優しく微笑んだ。
庭「冒険者なら金で《毒消し草》でも買ってくればいいだろう!」
マ「でも、食中毒は《毒消し草》じゃ治せないかもしれなくて」
庭「………」
マナは植わっている植物を確認しがら、ゆっくりハーブ園を一周した。花の鮮やかさを愛でたり、香りを楽しんだりもした。そして、
マ「レモングラスとカモミールと、ペパーミントを摘んでもいいですか?」
庭「………」庭師は目を大きく見開いてマナを見ている。
庭「よく知っているな」
マナ「おばあちゃんがガーデニング大好きな人でね、小さい頃よく教わったの♪もう忘れちゃったこともいっぱいあるけど」
庭「好きにしろ」
マナは目的のハーブを少し摘み取り、そしてブーケのように可愛く束ねた。
リオは戦力強化の策を考えた。
まずは少々のレベル上げが必要だ。二人が《バギマ》を覚えればマシになるだろう。
「でもそれだけじゃ足りない」リオはそう思った。呪文を封じてくる敵はここから増えてくるはず。そんなときに短剣でチクチクやっていてもラチが明かない。
状態異常でモンスターをかく乱させまくるのはどうだろうか?しかし《ルカニ》や《マヌーサ》は魔法使いの呪文だったような…。僧侶が覚えられるとして、それも《マホトーン》で封じられたら元も子もない。
状態異常の名手と言えば盗賊だ。盗賊を今から仲間に加えるか?それも現実的ではない。
リオは、自分のすばやさを上げようと考えた。《通り魔》スキルを使わなくても先制攻撃できるようになるためには、圧倒的に素早い僧侶になる必要がある。
「《すばやさの種》を集めながらレベル上げするかな」まずは1つ目の対策が決まった。
ロマリアの城で情報集めを行った。「この辺の敵で《すばやさの種》を落とすモンスターはいないかしら?」すると、「カザーブによく出る《キラービー》がたまに落とす」と聞いた。
リオは、第2層なら一人でもレベル上げが出来ないものか、試してみることにした。しかし、そう上手くはいかなかった。《メラミ》を放てばここらすべてのモンスターを一撃で倒せるが、敵が集団で現れた場合、残りのモンスターたちに袋叩きに遭ってしまう…。少なくとも《バギマ》を覚えるまでは、二人でのレベル上げが必要だ。
翌日、二人はカザーブまで遠出した。
リ「ここらでレベル上げにいそしむぞ!」リオが気合を入れた。
マ「いえっさー!」

《キラービー》は巨大なハチのようなモンスターだ。集団で現れることが多いが、《バギ》2発でほぼ一掃できる。しかし時々仕留め損ねる個体もいる。
その時!《キラービー》のこうげき!リオは2ポイントのダメージ!リオは体がしびれてしまった!
リ「くっ!動けないっ!」
そうだ。思い出した!こいつは《マヒ》攻撃を仕掛けてくる。
これは《まんげつ草》で治癒できるが、《マヒ》という状態異常にかかると3ターンは動けなくなってしまう!これは致命的だ!
…ということは、相手に喰らわせられればとても強力、とも言える!とはいえ、《マヒ》攻撃が出来る武器は少ないし、《マヒ》が付与できるスキルも少ないはずだ。「うーん。何かいいアイデアはないかな?」リオは思案した。
《キラービー》や《お化けキノコ》などを狩っているうちにレベルが18に上がり、二人は《バギマ》を習得した!《バギマ》はバギ系の中級呪文で、敵全体に30~40のダメージを与えられる。《バギ》の倍以上だ!そしてもう1つレベルを上げると、今度は 《マヌーサ》を習得した。敵に幻惑を見せ、打撃攻撃のミスを誘う状態異常呪文だ。
レベル上げの最中に《すばやさの種》を4つ入手し、リオのすばやさは10も上がった!
『僧侶だけで魔王を倒すには?』