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エピソード37『世界樹 -妖精さんを仲間にするには?-』

エピソード37


お城の扉をくぐると、視界は急にクリアになった!これまで真っ白い霧の中に、幻想的な湖の庭園にいたのが嘘のようだ。くっきりと色を持った、まったく霧のない、重厚で美しい、お城の中にいた。

お城の中はふんだんに植物が茂り、花が咲いていた。花や草の香りがする。小鳥や蝶までもが飛んでいる。

建築美は人間たちの先進国のそれに近い。しかし植物との一体化の観念は明らかに人間とは異なり、妖精たちがいかに植物を愛しているかが伺われた。そして、こんなふうに植物と共生できるのだということを思い知らされた。

お城の中には、ポワンやリラ、エルサのような美しい妖精が大勢いた。部外者の急な来客に対して、ソワソワしている者が多いようだった。妖精は人間が好きではない、その噂は本当であるようだった。しかし皆上品であり理性的で、敵意や嫌悪をあからさまに見せるような者はいなかった。

霧の中ではない、が、幻想的ではある。しかしこのような暮らしは、人間とて実現が可能なものに思えた。そういう好みさえ抱けば。

ゆなは思った。「センスが圧倒的に違いすぎる!」と。


可愛くて強そうな兵士に先導され、3人は女王の間へと通された。

な「わぁ、綺麗な王女さま!」

ゆ「こらっ!もっとかしこまって!」

女「うふふふ。良いのですよ♪」女王であるらしき麗しき妖精は、お茶目にウィンクをして見せた。

女「ようこそおいでくださいました。かわいい戦士たち。

 お話は伺っておりますわ。

 なんでも、美味しいスイーツを求めてやってきたのだとか?」

な「ちがうんですけどぉー(汗)」

ゆ「す、すみません。妖精の女王様との謁見を希望しているのですが・・・」

女「えぇ。私がその人です。

 ごめんなさいねうふふ。冗談が過ぎまして?」

ゆ「だ、大丈夫なんだろうか(汗)」

な「わはは、王女様かわいい♡」

女「頭の疲れる長い話は無用でしょう。要件は伺っております。

 焼け焦げた森を元通りにするために、《春風のフルート》を欲しているのでしょう?

 それはこの城に何本もあります」

ゆ「貸していただけるのですか?」

女「えぇもちろん。ただし、

 あと3回・・・


 『かわいい』って言ってくださらない♡」

な「かわいいかわいいかわいい♡ホント―にかわいい(♡▽♡)」

女王はジョークを言っているのだが、ななは本気で女王にメロメロなのだった。

従者が口を挟んだ。

従「申し訳ありません。女王様はこのような人なのです。

 なにとぞ、慣れてください(汗)」

ゆ「申し訳ないことはないけど、意外すぎるわ!」ゆなは生まれてこの方、このようなユーモラスな権力者を見たことがなかった。

従「実は、妖精の女王がこれほどまで浮世から姿を隠すのは、女王がこのような人柄ゆえもあります。

 冗談ばかり言っていると、大衆から信頼されないものでして・・・。

 あなた方は受け入れてくださいましたが、遥々謁見に訪れてもいさかいが起こってしまうこともあります・・・」

ゆ「なんだかフシギすぎるんですけど(汗)」


女「でも・・・どうしましょう?

 《春風のフルート》をお貸しするだけでは、事は片付きませんの」

ア「そうなんです。フルートを持ったところで、どうやったら森は元に戻るの?」

女「焼け落ちた森の前に立ち、《春風のフルート》を奏でる必要があります。

 このフルートは、調和と再生のエネルギーに満ちているのです。

 どなたか、フルートを吹ける人はいらして?」

ゆ「横笛かぁ。縦笛なら、吹いてたことがあるんですけど・・・」

女「まぁ!どれくらい?」

ゆ「何年も吹いてました。とりあえず演奏会に出られるくらいは」

女「そう!なら良かったわ。ちょっと練習すればどうにかなるでしょう」

 そちらの少女も、笛を吹いたことがおありで?」

な「わ、わたしは・・・」

ななの顔が急に曇った。小指が短いコンプレックスによって、母の圧力によって、音楽を諦めた幼い日の悲しみが彼女を襲った。

な「わたしは、吹けません・・・」

ア「僕も楽器はパスだよ?」

女「あら、そうなの。うーん」

ゆ「私が、頑張ってみますが?」

女「えぇ。あなたはもう決定なのだけど・・・

 1本では足りないの」

3人「えぇー!?」

女「だって、調和の音楽ってどうやって作るもの?

 誰かと誰かが共に奏でなくては」

ゆ「アミン、どうにかならない?あなた器用じゃない」

ア「無理だよー!僕はオンチなんだ」

3人は顔を見合わせて青ざめた。城の者たちもざわついている。

すると・・・

女「もーぉ、しょうがないわねぇ♡」

3人「え??」

女「うふふ。もう1人、誰か頼めそうな人、いるんじゃない?」

ゆ「え・・・!まさか・・・?」

女「しょうがないなぁー。私が着いていってあげようかしら♪」

一同「ええぇー!!??」

3人はもちろんこと、お付きの妖精たちもおどろきとまどっている!

な「うれしいけど・・・」

ゆ「き、気まずい・・・(汗)」

従「女王様!!いけません!!

 女王様が外界に出かけていくなんて!」

女「いけないことはないわ。

 3人に聞きましょう。私が着いていっちゃ、ダメ?」

な「ダメじゃないー♡」

ゆ「このうえなく嬉しいのですが・・・

 こんなに煌びやかな人が一緒にいると気まずいし、女王様と会話し続けるなんて、プレッシャーが・・・」

従「気まずいなどという問題では済みません!

 命を狙われたらどうするのですか!」

女「問題があるなら、取り除けばいいのよ♪

 そうね、じゃぁこういうのはどう?」

女王はイタズラっぽく笑うと・・・

ぽぽんっ☆

なんと、自分の姿を幼い少女に変えてしまった!!

キキちゃん 世界樹 -妖精さんを仲間にするには?-

女「ほら♪これなら女王だってわからないわ♡」

な「かわいいー♡」

従「いけません!その姿では、チカラが半減してしまいますます命が危うい!」

女「えぇ?そうかしら。私なら大丈夫だと思うんだけど・・・

 ちょっと試してみましょ。

 ううーん・・・《ベホマズン》!!」

しかし、なにもおこらなかった!

女「やっぱりダメかしら」

ア「えぇぇぇ!!!

 《ベホマズン》なんて使えるのかよ!」

女「えぇ、普段はね」

な「べほまずんて?」

ア「とんでもない回復魔法さ!

 おまえたちがさっき覚えたのが《ホイミ》だろ?

 その最・最・最・最・最上級魔法にして、伝説級の魔法だよ!」

な「うーん??」

ア「わからないのか!

 《ホイミ》が1万発くらいだよ!!」

な・ゆ「すごぉーーーーー!!!」

女「そう。つまり私、強いのよ♪だから大丈夫よ♡

 チカラを半減したって、それでもなんとかなるわ」


従「しかし、まだ問題があります!

 女王様がここを離れたら、『霧の結界』はどうなさるおつもりですか!」

女「旅しながら張り続けるわ♪」

従「そんなに軽く言わないでください!」

女「魔力の問題ならどうにかなるわよ。私、どれだけ瞑想したと思ってるの?」

ア「ど、どれだけしたの・・・?」

女「うーん。トータルで300年くらい?

 まぁ色んなタイプの瞑想も含むけど」

な・ゆ「すごぉーーーーー!!!」

ア「そんなに黙り続けたのか?このひょうきんなあなたが!?」

女「えぇ♪冗談に聞こえるかもしれないけど本当よ?

 長く生きていれば、色々やってみたくなるものよ♪」

ア「なんだこの人は・・・!」


従「玉座はどうなさるのですか!」

女「あなたが代理を務めておいてくださる?」

女王は、逆隣に待機する女大臣にいきなり指を向けた。

大「えっ!」

従「そんな軽はずみな!」

女「いいえ、そのための大臣です。

 そして大臣が大臣として一人前になるには、実際に女王不在の城を守り続ける実地が必要です」

大「もしや、もう帰ってこないおつもりでは!?」

女「うふふ。そんなに無責任ではないわ(笑)

 ・・・そうね。それなら、両者に約束しましょう。

 まずはゆなたちへ。

 私はこれから仲間に加わりますが、いつ抜けるか定かではありません。

 そして城の者たちへ。

 私はいずれ、必ず戻ってきます。


 ・・・死んでしまわないかぎりは(笑)」

一同「それが困るんですってばーーーー!!!(汗)」

ゆ「従者の皆さん、女王様はもう、止められないのでは?」ゆなは期待を込めて言った。

従者は、大臣の顔を見た。

大「わかりました。受け入れましょう。

 女王のおっしゃることも一理あります。

 私は、この城は、女王のいない時間を経験し、それを乗り越える必要が、たしかにある」

女「わぁーい♡」

ゆ「フランクな人だというのはわかったけど、どうやって接していいやら・・・」

女「そうね!

 これから私のこと、『キキちゃん』って呼んでくださる♡」

な「キキちゃぁーん(♡▽♡)」


なんと、妖精の女王が仲間にくわわった!


従者は青ざめた顔で、大臣に耳うちした。

従「ていうか、『いずれ』ってどういうことでしょう?

 《春風のフルート》を奏でるだけの外出なら、ものの2~3日で終わりそうなものですが・・・

 あの物言いですと、森の件を解決しても、戻ってくるつもりがないのでは・・・」

大「覚悟を、しておきましょう(泣)」



キキ

2月11日生まれ いつまでも10歳?

120cmくらい


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