エピソード45『世界樹 -妖精さんを仲間にするには?-』
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- 2024年5月1日
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エピソード45
城の中に入ると、応接間の壁には大きな立派な肖像画が飾られている。
な「わーぁ、美しいお姫様!」
兵「我が城の女王様である。くれぐれも粗相のないように!」
ゆ「王様よりも女王様が有名なお城。やっぱ絶世の美女だったりするのねぇ」
女王の肖像画だけでなく、たくさんの美しい絵が飾られている城であった。一行はそれをまじまじと眺めながら玉座へと向かった。
兵「くれぐれも粗相のないように!」
兵士たちはそればかり言うのだった。
3階の奥に、立派な玉座があった。女王はそこに優雅に鎮座していた。
しかし・・・?
どうも、先ほど見た肖像画とは顔立ちが違う。体型も違う。
そうなのだ。貴族の肖像画というのは、実物よりも美しく描かれていたりするものなのだ。
ななはそうしたことを知らず、つい余計なことを口走ってしまった!
な「あれぇ?肖像画の人と違うねぇ」
ゆ「ば、バカっ!」
3人が慌ててななの口を止めたが、もう遅かった。
女「うぬぬぬ失礼な者たちめ!地下牢にぶち込んでおけ!!」
女王とまともな会話をする前に、その目前に、一行は牢屋行きになってしまった!!
ガシャン!重たい鍵が掛けられた。
城の地下にある、堅くて冷たい牢獄だ。4人はここに入れられてしまった。
な「しょぼーん。ごめんなさぁい(泣)」
キ「まぁまぁ、悪気はなかったんでしょう」
な「そうだよぉ悪気はなかったのぉ。
絵の人のお母さんなのかなぁとか思ったのぉ」
ゆ「はぁあ。どうしたもんか・・・」
アミンは牢をガチャガチャと揺らしたり、壁をドンドンと叩いたりしている。
?「うるさいな。静かにしたまえ!」すると隣の牢から、誰かがアミンをたしなめた。
ア「他にも誰か、捕まってるんだな」
4人は静かにすることにした。しかし音を立てることもおしゃべりも止めてしまうと、牢屋での滞在は一層苦痛に感じられた。どうしよう・・・と途方に暮れたが・・・
ガチャ!
兵「釈放だ。出ろ」兵士はぶっきらぼうに言った。
4人「え、もう!?」
兵「女王様はとても寛大なお方。感謝するんだな」
ゆ「あ、どうも(汗)」
まぁ、大して悪いこともしてないんだよな、とアミンは思ったが、口には出さなかった。
兵「しかしもう二度と玉座には近づかぬこと!
早々に城から立ち去りなさい!」
キ「あらら。女王様のお役に立つために来たっていうのに、女王様にそっぽ向かれちゃったわ」
一行は肩を落としながら出口を求めた。
いや、早々に出ようと思っていたが、アミンが妙なことを言った。
ア「ちょっと戻っていい?」
アミンは、さっき自分をたしなめた声の主に興味を抱き、隣の牢屋に行ってみた。
そーっと、アミンは牢屋の中を覗きこんだ。
牢屋の奥の小さな机で、一人の男が本を開いている。牢獄らしからぬ風景だ。
?「何用だ」
アミンは気配を出さずに観察したつもりだったが、その男はアミンの存在に気づくのだった。
ア「あ、ごめんなさい。先ほどのこと、謝りたくて」アミンはとっさに弁解をした。
男は本から顔を上げ、アミンを見た。手元のロウソクを掲げてアミンの顔を照らす。
?「おまえ・・・ドワーフか?」
ア「そうです!僕、ドワーフの子です!
あなたもドワーフでは!?」
?「はっはは。こんなところで同族に会うとは。
孤独には慣れているはずだが。妙な嬉しさを感じるもんだ」
敵意はないように見える。
アミンも思わず笑顔になった。
ア「どうしてこんなところに?」
今度は、助けてあげたいという気持ちを込めて、アミンは言った。
?「なぁに、人間に迫害されるのは慣れている」
彼はまた視線を本に落とした。
な「女王様にソソウをしたの?」
ゆ「アンタと一緒にしないの!」
?「はっはは!似たようなものだ」
ア「僕はアミン。あなたは?」
チ「私はチャモロ。ドワーフだ」
ア「同族に会えるなんて、僕も嬉しいです!
出してあげたいんだけど、どうしたらいいかな?」
チ「いいや結構。別にここの暮らしに病んでもいない」
4人「えぇ??」
チ「私は別に、快楽も自由も欲してはいない。
3食の食事は与えられるし、こうして勉学する自由が与えられている」
ゆ「なんか色々、深そうだわ」
キ「聞かせていただけますの?」キキは巧みに話を促した。
チ「私は魔法の研究家。ドワーフの中では魔法が得意な方と言えよう。
城の者が興味を持ち、私を囲った。
しかし女王は、魔法に中毒しすぎた。何でも魔法で楽をしようとした。
『魔法に依存すると身を滅ぼしますよ』と苦言を呈したら、『うつけ者だ!』と投獄された」
ア「無実の罪・・・(汗)」
チ「しかし女王は魔法を手放したくはなかった。
だからこの暗い場所で魔法の研究をするように、私に命じた」
な「どんな魔法を研究するの?」
チ「まぁ色々ニーズはあるようだが、上位の攻撃魔法を持ちたいようだ。《メラゾーマ》《マヒャド》その辺のものをな」
キ「魔法の研究家なら、牢屋のカギを開ける魔法を開発して脱走しちゃえばいいのに!ナンチャッテ♪」
チ「とにかく、ここから出たいとは思っておらぬ」
ア「ごめんなさい。余計なお世話ばかりで」
チ「いいや!声をかけてくれたことは感謝している。
久々に同族に会えて嬉しかった。話が出来て嬉しかった。
おまえが人間やエルフと仲良くしている様子で、嬉しかった」
ア「ははは。喜んでもらえたならよかった」