エピソード74『世界樹 -妖精さんを仲間にするには?-』
- ・
- 2024年5月2日
- 読了時間: 3分
更新日:2024年6月30日
エピソード74
あまり広い城下町ではないが、一通りの店や設備は揃っている。
一行は今日の宿を取り、そしてさらに町を徘徊した。
町も町民も穏やかに見えるが、何か問題や困りごとはないのだろうか?
話をしてみれば、やはり見えてくるものがある。
王は人口の拡大を画策していて、しかし国民はそれを望まない。
国が広くなればなるほど、大多数の国民の住居は城や中枢機能から遠ざかっていくからだ。
「歩ける範囲に何でもある」という手ごろな発展具合を、国民たちは気に入っているらしい。
それに国土が広がれば広がるほど、末端に住む人々は国軍防衛からも漏れる。
そして一番の問題は、城壁だ。
城壁街の発展を目論むなら、今ある立派な城壁を一旦取り壊して、新しい城壁を築かなければならない・・・。
しかしそれを担うのは誰だ?国民である!
発展を望む王と、急進など望まない国民。
この問題について、どうすればいいか、こんなアイデアはどうかと、議論し合う民が多いようだった。
するとななたちは、「王様はどんな人なんだろう?」と気になってきた。
お城に入ってみることにしよう。
幸い、あまり厳重に警備されている城でもないようであった。
兵「もう夕刻。謁見はすぐに済ませて王にご負担を掛けぬように!」そんな忠告だけを受けた。
中に入ると、城内はすでに王たちの夕食の準備で忙しなく動き回っていた。
な「なんかイイ匂~い♪」貴族の館らしく、様々な高級そうな匂いがする。
おっとっと!寄り道をしている場合ではなかった。一行は兵士に道を聞きながら王の間を目指す。
しかし・・・
王の間のある3階に着くと、近衛兵に通せんぼされてしまった。
兵「今日は王様は気分が優れない。出直してまいられよ!」
4人「えぇ~、そんなぁ!」
兵「会議や外交が忙しくてお疲れなのだよ」
そんなに忙しい国にも見えないが・・・
ア「そんなに長々と謁見するつもりもないんだよ。
それに、城壁街を効率よく拡充する方法とかアドバイスできるかもしれません」
兵「むむぅ。そこまで言うなら・・・
メイドに混じって王に夕食でもお届けになればいい。顔ぐらいは見てもらえるだろう」
兵士はやっつけ半分に言った。
な「お城のキッチン見れるってこと?」
それはそれで面白そうだな。と一行は思った。
城の台所を求めて、一行は地下1階まで降りていく。
な「ふぅ~台所に行くだけでも結構大変だねぇ(汗)」
本当にその通りだ。
台所は広く、大勢のシェフや皿洗いがせっせと汗を流していた。
な「うわぁ~すごーい!」
なんでも「すごーい」とリアクションするななの声を聞いたところで要領を得ないが、城の台所というのは本当に、一般家庭とはスケールの違うところであった。
な「今日はパーティがあるの?」ななはそばにいるシェフに話しかけてみた。
料「なんだね君たちは?
別にパーティなんかないよ」
な「だってすごいお料理の数だよ?」
料「いつもこうさ。そのためにプロがやってんだよ」
な「何十人分の料理なの??」
料「王様とお妃と、王子と姫。4人分だな今日は」
な「4人分!?40人分は作ってるように見えるよ!?」
料「もう、だから大変なんだよ!
お願いだから邪魔はしないでくれ!」
キ「わたくしたち、王様からじきじきに、食後のフルーツを運んでまいれと言伝を受けましたの。
新しいメイドの面接試験でして」
料「なんだ!それなら早く言えよ!
うん?いやまだだな。フルーツを出すのはもう少し先だ。
そこらで待機してなさい」
4人「はぁーい」
料「くれぐれも!
つまみ食いなんてするんじゃないぞ!」
な「ギクっ!!」
ゆ「ギクじゃないわよ!」