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エピソード86『世界樹 -妖精さんを仲間にするには?-』

  • 執筆者の写真: ・
  • 2024年5月2日
  • 読了時間: 3分

エピソード86


一行は寝床を確保すると、宿の食堂で昼食をとった。

キキはホワイトシチューにクスクスの粒々を放り込んで、いわゆる「猫まんま」のように食べている。

ゆ「もう!お姫だってのにそんなはしたない食べ方でいいの!?」

キ「えぇ?この食べ方の何がはしたないの??

 スープに漬けて食べて美味しいんだから、それでイイじゃなーい♪」

ア「ゆたなたちの国ではそういうのを『はしたない』と言うようだけど、それは世界の常識ではないかもね?

 スープにパンを浸して食べる国なんかも、幾らでもあるようだけど」

ゆ「そっかぁ。固定観念に縛られちゃダメね」

な「そうだよゆな!シチューが美味しんだから、ご飯もシチュー味にしたほうがお得だよ♪」

色々な国の食事を楽しむのは、旅の醍醐味の1つだ。

国による価値観の違いなど考えながら食べると、なお楽しい。


一行は、武器屋を覗いてみたり、道具屋を覗いてみたりして新しい町を楽しんだ。

防具屋には《銀の髪飾り》という女性向けの頭部防具を見つけた。

な「あ、これかわいいー♪」

頭部防具と言えば兜ばかり見てきたので、髪飾りなる防具は興味をひかないわけがない。

一行はゴツゴツした装備をしたくないが、その点でもこの髪飾りは支障がない。

「ゴールドにも余裕はあるし、買っていこうか♪」ということになり、女3人はお揃いで身に付けた。

な「かわいいお姫様みたいなドレスも欲しいなぁ」

ゆ「それは町の防具屋じゃムリがあるってもんでしょ!」

何気ない会話、のつもりだった・・・



夕暮れ時にはやることもなくなってしまったので、《WANTED》の掲示板を求めて酒場に行ってみた。

さて、今日はどんな人助けをしよう?

な「あ、これ出来そうー!」

3人「どれどれ?」

『プチアーノンを飼いたいので大きな水槽が欲し・・・』

ゆ「はいはい却下却下!」

きゃははははは!一行はいつも楽しそうだ。

な「プチアーノン飼うの、流行ってるのかなぁ?」

ア「依頼人が『変なおじいさん』

 住所が『暗くてジメジメしたところ』

 報酬が『つまらないものしかあげられません』

 だってよ?

 これ、ひょっとしてあの山の神さまなんじゃないの!?」

きゃははははは!

キ「つまり・・・

 仙人だとか山の神だとかに巡りあうヒントが、実は大衆の暮らしの中にも紛れ込んでいたんだわ・・・!

 なんかこう、ななみたいな独特な感性を持った人だけが、仙人を見つけちゃったりするのよ」

ア「深いな・・・!」


ゆ「これなんかどう?」

ゆなが目を付けた貼り紙はこうだ。

『足がマヒして動けません。隣町まで《まんげつ草》を買いにいってはくれないでしょうか』

病人であるようだ。

キ「誰でも引き受けてあげられるんじゃない?」

ゆ「そう思ったけど、ほら見て?依頼開始日がもう1週間も前。

 こんなに簡単な内容なのに、担い手がいないみたい。

 なんだか可哀そうだなと思って」

ア「報酬が粗末だからだ!

 ほら、『お礼は5ゴールドです』だって。

 普通は対価を求めて依頼をこなすんだろうから、こういうのは無視されちゃうよな」

な「かわいそう・・・」

満場一致で、次はこの人を助けることに決まった。


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