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エピソード87『世界樹 -妖精さんを仲間にするには?-』

エピソード87


住所の場所に行ってみると、町のはずれの小さな、ハーブティの喫茶店であった。

ゆ「こんにちは。酒場の貼り紙を見ました」

お店を覗くと、隅の客用テーブルに一人の老婆が腰かけている。

婆「おやまぁ、隣町まで行ってくださるの?」

ゆ「えぇ、私たち、旅の者ですから」

婆「どうもありがとう!私はサチというの。遠い国の生まれよ」

な「わたしたちもエンドールから旅してきたんですよ!」

サ「まぁ!私の行ったことのない国!楽しそうでうらやましいわ。

 それでね、近年は私、リウマチに悩まされていてねぇ。

 時々体が思うように動かないのよ。

この町の道具屋さんには《まんげつ草》がないのだけど、どこかで買ってきてくださらない?」

ゆ「リウマチか。大変ですね。

 暖かくされてください。お仕事も家事も無理はしないで!ストレスも病気に障ります」

サ「あら、どうもありがとう!

 それで、恥ずかしいことに・・・立派なお礼ができないの。近頃は貧しいものでね」

ゆ「良いんです♪

 お礼は気にしてないの。貼り紙が1週間も放置されていたようだったから」

サ「まぁ、とっても優しい人なのね!!私、感動してしまうわ!!

 ねぇ、あなた方が戻ってくるまでに、くるみのケーキを焼いて待っていてもよろしくて?」

ゆ「もちろんです!どうもありがとう♪」



近くに町はあるのだろうか?聞き込みをすると、どうも最寄りは先日のグレイス城であるようだった。

依頼ついでに新しい町を見たい、という好奇心もあったが、一刻も早く解決することを優先した。

一行は馬車をグレイス城に引き返し、そこで《まんげつ草》を幾らか買った。

ついでに酒場に寄り道をしてみると、例の『プチアーノンを捕まえてきて』という依頼書には

『依頼人:変なおじいさん

 住所:暗くてジメジメしたところ

 報酬:つまらないものしかあげられません』

と記されていた。

4人「やっぱり・・・!(笑)」

お遣いのついでにちょっとした心残りを解消し、一行はミントスの町に戻った。


そのまますぐにサチの喫茶店へと向かう。

すると、店内からはシクシク、グシュンとすすり泣く声が聞こえる。

ゆ「どうしましたお婆さま!」4人は慌てて駆け寄る。

サ「あらあらおかえりなさい!

 あのね、もう1つ依頼があるの!わたしにハンカチを持ってきてくださる?

 涙を拭くハンカチが、いくらあっても足りないわ!」

ゆ「一体どうなさったのです?」

な「病気が重いの??」

サ「いいえ、エンドールのお姫様が、あまりにも高貴だから感動しているんです」

ゆ「え??」

サ「いいのよ!隠さなくてもわかるの。

 町の人たちが噂していたわ。最近この町にどこかのお姫さまが旅して来てるってね。

 ゆなさん、あなたのことなのでしょう?」

ゆ「いえ、私は!」

サ「いいのよお忍びでしょうからね!

 そのお上品な振る舞い、美しい顔立ち、類稀な慈愛・・・お姫様に決まっています。

 しかもまったく欲がないのですから・・・!!まるで聖母です!!

 私、そんなお方にお慈悲を掛けていただいて、もういつ死んだって後悔はないわ!」

キ「うふふふ。くれぐれもナイショにしてくださいね♡」

ゆ「もう!キキちゃん!!」

サ「もちろんよ、大丈夫。

 さぁさぁ、庶民のケーキなんてお口に合うかわかりませんが、よろしかったらくるみのケーキを、食べていってくださいな♪」

これ以上は「違う」と説得しても、無駄であるようだった・・・。

一行はケーキを頂きながら、楽しく会食をした。

サチは北の寒い国の出身であるらしかった。様々な国を見ながら、この町にやってきた。

互いの旅の記憶を交換しながら、会食はとても楽しく充実するのだった。


な「そういえば、《まんげつ草》ちゃんと持ってきたよ?」

サ「まぁまぁそうでした!

 なんだかもう、《まんげつ草》なんてどうでもいい気分になってしまっていたわ」

一行は買ってきた薬草をサチに手渡した。

サ「いえね、私のハーブの先生は、リウマチにはボスウェリアセラータが効くって言ってたんです。

 それを信じて、喫茶店のお客さんにもそのハーブを出していたんだけど・・・私自身のリウマチがどうも、ボスウェリアでは治らなくてね・・・」

ゆ「代替医療にも、色々なことがありますね。

 それが効いた人も、いたんではないかと思いますよ」

サ「ありがとう。あなたはみんなをかばうのね。

 あぁそうそう、最後にもう1つ、お願いがあるの。

 酒場の貼り紙を、はがしておいてもらえるかしら?この足では酒場も遠くって」

ア「おやすい御用さ」

サ「また来てね!私は何にも要らないの。旅のお土産話を持ってきてちょうだい!」


「何かあったときに、ここに帰ってこれるのではないだろうか」そのように思える場所が、1つ、また1つ増えていくのだった。


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