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第34節 『世界のはじまり ~花のワルツ~』 +4コマ「恋するモモ♡」
第34節 2人は肩を落としながら、来た道を歩いて戻った。 路地が開けたとき、東側からびゅーっと風が吹いた。かすかに潮の匂いがする。 ノ「あっちに海があるかも?」 ユ「そうか。海に寄ってみよう」 しばらく歩くと海に突き当たる。 ノ「わぁ!」例のクモのような舟が幾つか浮かんでいる。 2人はダメ元で、舟の手入れをする男たちに「舟は幾らですか?」と聞いてみる。 「他所者だろう?舟を売ったりはしないよ!」とやはり門前払いを喰らってしまうのだった。 ユ「じゃぁ、買うんじゃなくて乗せてもらうのは幾らですか?」 男「舟に乗りたいだって?小島の薬草でもとりにいくのか?」 ユ「あ、いえ。えっと、もっと遠くに行きたいのですが・・・」 男「今はもう、遠くの海なんてよっぽどのことでもない限り出たりはしないよ」 ノ「そういえば、漁はもうしなくなったとか聞いたわ」 2人は諦めて、男から離れた。海を見ながらぶらぶらと歩く。 すると、立て札を見つける。 『おたずね 航海の邪魔をする凶悪なトビウオを退治されたし! 夕刻に多くの姿を見かける。 絶滅に追いやった者には報奨金200


第31節 『世界のはじまり ~花のワルツ~』 +4コマ「キラキラしたもの」
第31節 モモ モ「ところで、あんたたちの旅はどこに向かってるんだい?」 2人は顔を見合わせた。 モ「あぁおかみさん、番茶を3つおくれ! 2つは大盛りにしてやってくれ?贈り物なんだからね。 へへへ。あたしのおごりだ。話すとノドが渇くね」 ノ「どうもありがとう」 ユ「特にあてもないのです。先のことは考えてなくて、いつも目の前のことに精いっぱい、かな。 今は、田んぼに慣れるのに精いっぱいです。そしてお金の扱いに慣れるのに精いっぱいです」 ノ「この村では、見たことのないものがたくさん見れて楽しいです」 モ「はは。そうかそうか。 いつまでもこの村にいたっていいんだろうけど、次の風向きは考えておいたほうがいいだろな」 また2人は顔を見合わせた。 ユ「お金ってものが少しわかってきたけど・・・できればお金がない国に行きたい気がします。 だって、食料が欲しいなら食料をとってくればいいのに、わざわざお金を稼いでそれを食料に換えて・・・ってなんだか遠まわしな仕組みに思えて仕方ない。 コーミズにはこんなにたくさんキラキラしたものはなかったけど、でも少しなら


第30節 『世界のはじまり ~花のワルツ~』
第3章 お金 第30節 同じ村にいればモモにすぐ会えると思ったが、意外とそうはいかなかった。彼女はどこに行ったのだろう?あの日、井戸場で夜中に「うるさい」とクレームを受け、彼女は翌日、村の遠いところまで場所を変えたのだった。同じところでばかり演じていても、その住民は踊りに飽...


第29節 『世界のはじまり ~花のワルツ~』
第29節 昼ご飯と作戦会議を済ませると、2人は思い切って、労働というものに挑んでみることにした。 宿屋に戻り、店主に掛け合ってみる。いつもぷんぷんしているが、何だかんだ言って面倒見はいいらしく、コメ農家に紹介状を書いてくれた。「旅人であるらしいが働かせてやってくれないか?そうでないと宿代を払ってもらえなくなる」と。 ノ「いいえ、ちゃんと払います!」とノアは口を尖らせたが、「いいや、こういうふうに書いておくほうが雇ってもらえるんだよ」と店主は口の端で笑った。 人の機微というものが、コーミズ村よりも少々多様であるようだった。 村を、井戸をさらに越えて奥まで歩く。にぎやかな店の並びが途切れ、民家の並びも越えると、やがて植物ばかり植わった場所に出た。この辺りが農業地帯であるようだ。 紹介状には責任者の名前が書いてあるが、誰がそれであるかもよくわからない。2人は見かけた人にその紙を渡して「働かせてくれ」と請う。 その人は2人を大きな屋敷に連れていき、責任者に掛け合わせてくれた。 責「稲作をしたいと言うのかね?」 ユ「お仕事を貰えないと、宿代が払えないのです
第28節 『世界のはじまり ~花のワルツ~』
第28節 翌日。2人はまたモモに会いたいと思い、井戸まで歩いていった。 そこにモモの姿はなく、2人は落胆した。ノアは妙にモモのことが気になった。色々な要因があったが、その1つとして、モモの姿はコーミズを旅立った朝に夢に出てきた天女に、どことなく似ていた。「手をつなぐことを恐...


第27節 『世界のはじまり ~花のワルツ~』
第27節 挿絵 by ヴィオレッタさん モモとの会話は続いた。ノアは尋ねる。 ノ「毎日、村の人はお金をくれるのですか?」 モ「はは。踊ってたってぜんぜんおひねりが貰えないときもあるよ。踊りで稼ぐならそういう覚悟が必要だ。収入の安定する稼業じゃない。 でもあたしは大丈夫なんだ。昼間はね、これを持って道に立つ」 すると彼女は、足元の細い棒を拾って掲げて見せた。 なんだこれは?2人は目を細めた。暗いからなおさらわからない。 モ「横笛さ。楽器は知ってるのかい?」 ユ「笛か!僕らの村にもあります」 モ「あたしは横笛もたしなむんだ。昼間はね、これを吹いてる。踊り子ほどまゆをひそめられることはないさ。夜になって暗くなったら、踊りを踊る。 この村は結構音楽を楽しんでくれるよ。なんでもありさの姫ってのは、音楽の神様だったっていうじゃないか!」 ノ「えぇ?ありさの姫は農業の神様だと聞きました。ついさっき」 モ「ありさは音楽の神だよ。横笛を上手に吹く神様だったんだ。そういう絵を見たことあるんだから、間違いないよ」 どっちが正しいのだろうか?よくわからない。...
第25節 『世界のはじまり ~花のワルツ~』
第25節 夕刻前に2人は村に戻る。村の中には珍しいものがたくさんありそうで、それを見て周りたい気持ちもあったが、昨日の男にお金を返すのが先決だ。あまりよそ見もせずに宿に戻り、宿の居間で夕食をしながらルドマンが顔を見せるのを待った。...


第22節 『世界のはじまり ~花のワルツ~』
第22節 ユ「はっ!」ユキは左手で懸命に目のしぶきをぬぐい、目の前の現実を見る。 そこに差し出されたのは、巨大なクモの脚・・・ではなく・・・ ユ「お、オール!?」 ?「ほら、掴まれ。舟に上がれ」 野太い声が言った。 ユ「!!人か!! ありがたい!でも僕じゃなくてそっちの子を!」 ?「そうだな」声はユキの少し先にいるノアに、オールの舳先を差し出した。 ?「見えるか?」 ユ「ノア!オールだ!それに掴まるんだ!」 ノ「オール!?」ノアは目の前にかすかに見える、黒い長いものに懸命に掴まった。 2人は無事、小舟に引き上げられる。 ユ「あ、ありがとう、ございます・・・!」 ノ「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ」 ノアがクモだと思ったものは、舟だった。コーミズでもアギロの島でも見たことのない、妙な形の小舟だ。舟の両側には、クモの脚のように細長い骨組みが伸びている。 ※こういう舟(バンカーボート。フィリピンなどで実際に見受けられます) 舟の中には漁に使う網があり、魚臭い匂いがする。これはクモでも魔物でもない。人が乗る漁舟だと、ユキもノアも察知した。 ?「村のもんじゃない
第21節 『世界のはじまり ~花のワルツ~』
第21節 アギロの村を出て4日目、もう食料は尽きた。 今日こそは何かを見つけたいと思ったが、2人を出迎えたのは大きな島ではなく、大きな灰色の雲だった。天気が荒れはじめる。 波は高くなり、イカダは激しく揺れるのだった。オールで漕ぐのもはかどらない。...
第20節 『世界のはじまり ~花のワルツ~』
第20節 日の傾きとともとに、とつげきうおの飛来は増えていった。 ユキはまたヤリを構えて腰を入れたが、いつも見事に倒せるわけではないのだった。とつげきうおは鋭い背ビレでユキの体に切り傷を与えていく。 ユキはモリで魚を獲るときのように、深く集中した。...


第19節 『世界のはじまり ~花のワルツ~』
第19節 イカダによる旅は決して楽なものではなかった。 オールを漕がないと浜に戻ってきてしまうからな!と言われたが、ずっとオールを漕いでいるのは腕が痛くて無理がある。休んでは漕ぎ、休んでは漕ぎ、そしてそのインターバルは徐々に長くなっていった。...
第15節 『世界のはじまり ~花のワルツ~』
第2章 神の怒り 第15節 「大変だーーーー!!!」 翌朝は、誰かの叫び声で起こされることとなった。 2人は飛び起きる。知らない町で朝を迎えた感慨に浸る間もないのは、少々もったいないが仕方ない。 一行は声のする方へ駆けつける。村にある大きな蔵だ。様々なものの貯蔵庫である。...
第12節 『世界のはじまり ~花のワルツ~』
第12節 すると、炎の出どころには・・・ ボロボロのイカダを駆り出してこちらに構える、モーセ村長の姿があった!!! 険しい顔つきでこちらを見ている! ユ「ごめんなさい!村長さん!!」 ノ「ごめんなさい!!」 ユ「すぐ岸に戻りますんで!!」 しかし! モ「いいや、よい!...


第11節 『世界のはじまり ~花のワルツ~』
第11節 ノアとユキを乗せたイカダは、西の浅瀬に繰り出した。 ユ「しばらく手伝ってくれ」 ユキはノアにオールを渡す。 ノ「これは?」 ユ「イカダを漕ぐんだ。沖に出るまで少しの間」 ノアは勝手がよくわからなかったが、とにかくそれを受け取り、ユキの見様見真似をした。...


第10節 『世界のはじまり ~花のワルツ~』
第10節 今日も井戸へと水汲みに出る。すると、友人たちの様子はまた変化しているのだった。 ノアを見つけると距離を置き、遠巻きに見つめている。そして友人たちと何やらひそひそと話している。 女「踊りで注目を浴びれないからって、マリハナに頼って神様に繋がろうとしたらしいわよ」...
第8節 『世界のはじまり ~花のワルツ~』
第8節 月日は流れ、海はますます青く鮮やかになった。夏が来たのだ。 例年どおり、コーミズ村では無事ほむら祭りが執り行われた。これは農業や漁業の豊作を祈願する、年に一度の重要な催しである。村の女たちはこの日のために懸命に踊りの稽古をしている。...


第6節 『世界のはじまり ~花のワルツ~』 +4コマ「プルメリアのお布団」
第6節 西の浜の近くに村長の家はあるのだった。 ユ「村長さーん!」ユキが叫ぶが、返事はない。 ユ「今日も裏かな」 ノ「裏?」 ユキはノアを引き連れて、村長の家の裏手に回る。 ノ「こんなところ、来たことないわ」 裏手には畑があり、まばらに手入れされてあった。 ノ「野良仕事するの?」 ユ「いや。 ほら、洞窟があるだろ」 ユキは裏庭のその先を指さした。 ノ「まぁ!」数十メートルの先には、海に面した小さな岩山があるのだった。 こちら側からは岩山にしか見えなかったが、回り込んでみると洞窟になっているのだった。 ノ「うわぁ!」 ノアは感嘆の声を上げた。 村長の秘密の洞窟には、大きなガラクタがたくさん転がっていたからだ! モ「おぉ、やけに甲高い声がすると思ったら。 珍しいお客さんじゃないか♪」 ユ「西の浜でなんか落ち込んでたから、連れてきたんだ」 ノ「こんにちは。おじゃましまーす」 モ「ほうほう」 ノ「村長さん、これは何なのですか?」ノアは手近にあった木製の物体をバンバンとなでながら尋ねた。 モ「イカダじゃよ。まぁ簡易な船じゃな」 ノ「船!?これが海に浮か
第5節 『世界のはじまり ~花のワルツ~』
第5節 目を覚ましたがノアが動こうとしないので、ユキはそれに身をゆだねた。 陽の傾きにともない海風は少しずつ強くなってきた。 ユ「何か、落ち込んでいるのか?」 ノ「・・・・・・・」ユキは足をくじいたらしきことを知っていた。主役の座をエミリーに奪われて、ノアが落ち込んでいると...


まえがき『世界のはじまり ~花のワルツ~』
今作のヒロイン ノアちゃん13歳 まえがき 私のラノベの第6作目になります。 今作は、私の上の人(?)から「創世記のようなものを書いてほしい」というリクエストが出て書いたものです。日本の古事記(神話)や旧約聖書のような物語です。...


ラノベ『世界のはじまり ~花のワルツ~』もくじ
キャラクターデザイン 天(ソラ)さん 2025年8月28日ぐらい、新作ラノベ公開!(*'▽') 今回は南の島のフラガールの女の子ノアちゃん(13)が主人公! 文字数の少ない、読みやすい物語ですよ(^_-)-☆ キャラクターデザインは天(ソラ)さん♪『世界樹 -妖精さんを仲間にするには?-』と同じ天さんです! まえがき 第1章 踊ることの意味 第1節 第2節 第3節 第4節 第5節 第6節 第7節 第8節 第9節 第10節 第11節 第12節 第13節 第14節 第2章 神の怒り 第15節 第16節 第17節 第18節 第19節 第20節 第21節 第22節 第23節 第24節 第25節 第26節 第27節 第28節 第29節 第3章 お金 第30節 第31節 第32節~モモの正義~ 第33節 第34節 第35節 第36節 第37節 第38節 第39節、あとがき、制作ウラ話
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