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エピソード76 『天空の城』
エピソード76 フズでの戦闘訓練は1日では終わらなかった。 なぜか? セレンは、れいと別れて一人になったときのことも想定したからだ。彼は教会を離れて違う町に行きたいだけでない。その先を見据えている。次の町で暮らすかもしれないがまたさらにどこかにさすらうかもしれない。その瞳に...


エピソード73 『天空の城』
エピソード73 朝起きると、マーレは朝食を作ってくれた。食べきれないほどの量だった。 「もう何日かお世話になるかもしれない」とマーレに伝えて、れいは外出に繰り出した。 新しい町、新しい武器。この町の周辺でも少し戦闘訓練を重ねるべきだとれいは考えた。デイジーが居なくてもさすらえる戦闘能力を培わなくては。 その前に教会だ。冒険の報告をしようと思った。 同じ様な民家ばかり並ぶこの町にあって、教会はわかりやすい。大きな尖塔を持つからだ。あれはおそらく教会だろう。 行ってみるとやはり教会だった。この町らしく素朴な建物ではあるが。そして教会の壁にすら誰かがラクガキをしているのだった。 風のローブで凛々しいれいちゃん れいが教会に入ると、なんと神父のほうが驚きながら口を開いた。 神「おぉ神よ!こんな私にまさか女神を遣わしてくださったのですか! やはり私の考えは正しいのでしょうか!?」 れ「え、えっと・・・?」勇者の次は女神か。 すると若いシスターが、神父を慌ててたしなめる。 シ「もう神父様!その考えはもうお忘れくださいまし!」 れ「私はただの冒険者です」..


エピソード72 『天空の城』
エピソード72 風のローブを装備したれいちゃん さて、そろそろいい加減、宿に帰るぞ、と思った。 しかし・・・ 自分のホームステイ宿がどこだかわからなくなってしまった! 辺りはすっかり暗くなり、カラフルなはずの色もよくわからないし、そうでなくとも迷路のようなこの町で、どこをどう戻っていいかわからない。 旅の困難というのは色々な種類があるものだ。宿に戻れないというのも地味に困る。一晩中歩き続けるわけにはいかないぞ。 れいはさっき助けた民家に戻った。 格好よく立ち去ったのに、なんとも情けないが、 れ「道に迷ってしまいました。この家がどこかわかりませんか?」とマーレが書いてくれたメモ紙を見せた。 女「うーん。人の多い町ですからねぇ。マーレという人を私は知らんです。 でもホームステイが多いのはもっと東か、逆にもっと西ですよ」 正反対だ! 女「どちから来なすったんで? ボンモールから山を抜けてきたんで?」 れ「そうです。そうです」 女「じゃぁ東だ。町の東側ですよ。 そっちまで歩いたら、またその辺で聞いてみたらいいです」 れ「ありがとうございます」...
エピソード70 『天空の城』
エピソード70 少し落ち着くと、れいは町歩きに出ることにした。 女主人はれいに、「マーレのホームステイ」と書いたメモ紙を渡した。 マ「あたしの名前を憶えておくんだよ。 それと、暗くなる前に帰っておいで。 夕飯はうちで出してやるから。食堂はこの町には少ないよ」...
エピソード69 『天空の城』
エピソード69 商人の女ももう行ってしまった。行商の目的は別の町であるらしい。 れいは一人で、この山肌に張り付いたカラフルな町に踏み入る。 ここはどこですか?とれいは尋ねる。 男「フズだよ。アートな町さ」男は自慢気に言った。...


エピソード68 『天空の城』
エピソード68 そしてその割け谷の中間あたりに、関所があった。 ここからはハーメリアという国の領土になるらしい。 兵「こんなところを冒険するのか?珍しいな」と、サントハイムの国境よりも随分と呑気な兵士たちに出迎えられた。同じ国境でもこうも違うのか。国境兵士の顔の怖さは、治安...


エピソード67 『天空の城』
第3章 それぞれの冒険 エピソード67 赤茶けた大地を歩き続ける、長い長い行程になった。 セーニャの里を出るとき、れいは少し名残惜しい気持ちになったが、今はもはやこの風景がお腹いっぱいである。目に砂が入り、体が砂埃で赤くなる日々ももうお腹いっぱいだが、そこからすぐに抜け出す...
エピソード66 『天空の城』
エピソード66 地球のへその頂上からは、地上に続くであろう道が示されていた。 その道に沿って歩こうと試みる。しかし、意外にも急な坂道なのであった。セーニャは坂の傾斜に引っ張られ、ものすごいスピードで駆け下りさせられた! セ「わたたたたたたた!!」...
エピソード65 『天空の城』
エピソード65 セ「はぁ、はぁ」 ここからはどうすればいいんだろう。セーニャは辺りを見回す。 ももんじゃが眠っていた辺りに、また石板と赤い丸い宝石が見える。 セーニャは石板の文字を読む。 セ「おそら・・・の・・うえで・・・あいましょう」...
エピソード63 『天空の城』
エピソード63 洞窟の狭い部屋の中で、セーニャは襲い来るドラキーの群れに必死で《聖なるナイフ》を突き立てた! ザク!ブシュ! 痛手を与えれば今度は悲痛な声で耳をつんざいてくる!攻撃が決まれば血が飛び散る! 誰かがセーニャの足に噛みつく!誰かがセーニャの頭をバサバサと殴る!...


エピソード62 『天空の城』
エピソード62 なおも歩く。すると、また分かれ道に出会う。 セーニャは目を凝らす。 セ「また宝箱だわ! え?右も左も両方とも!」 なんと、右の道にも左の道にも宝箱が待ち構えているではないか。 セーニャは咄嗟に駆けだしそうになったが、ぐっとこらえた。罠かも?何かヒントや警告...


エピソード61 『天空の城』
エピソード61 なんと目の前の壁が、山の内側に口を開き始めた! デ「やはり内部に洞窟があるのか!」 挑戦者の訪れを感知して、洞窟の壁のロウソクが勝手に灯った。しかし奥はよく見えない。 デ「魔法のチカラが働いているな」 れ「セーニャ、がんばって!きっと出来るわ!」...
エピソード60 『天空の城』
エピソード60 そこからは、なだらかな傾斜を描きながら、道とも言えぬ道が続いている。崖をよじ登るよりは随分マシか。そうだが、灼熱の太陽がジリジリと照り付けてくる。決して良くない足場の中を、はっはと息を切らしながら登る。 数百メートル歩いただろうか。らせん状の山道は、歩いた距...


エピソード59 『天空の城』
エピソード59 一行は一旦里に戻って休息を挟んでから、地球のへそとやらに赴くことにした。 どこに行くのか、地球のへそが何なのか、貝塚で何を見たのか・・・それらは里の者には言っていない。勇気と行動力のある者だけが知っていればよいことだろう。少なくとも今の段階は。色々騒がれても...
エピソード58 『天空の城』
エピソード58 会話が多岐にわたると、デイジーの旅の目的を打ちあけることにもなる。「《はやぶさの剣》を探している」と。 すると、「里の向こうの貝塚で剣らしきものが出土することがある」と里の大人が教えた。 《はやぶさの剣》が貝塚から発掘されることはあまり考えられないが、遠出と...


エピソード57 『天空の城』
エピソード57 一行はワイズの家に戻った。 セーニャは寝ずに、震えながら待っていた。 ワ「セーニャ!旅のお方がお前の命を救ってくれたぞ!」 セ「なんと! ありがとうございます!ありがとうございます!」 デ「礼には及ばない。早く眠りたいだけだ」 セ「デイジー様!...
エピソード55 『天空の城』
エピソード55 デ「酋長のところに行くぞ。仲介を頼む」 一行は酋長の家へと赴いた。 日干しレンガの家には、豊かな白ヒゲを蓄えた髪の長い男が、昼間から酒を呑んでいた。 ワ「酋長。旅の者がお会いしたいと」 酋「なんだ」 デ「山の神は、魔物ではないかという噂があるようだが?」 酋「私は神と交信しておる」 デ「神である証拠は?」 酋「山の神と名乗っておる」 デ「しかし人相が随分悪いようだな。魔物のように。 それだけじゃない。娘をさらっていくそうじゃないか」 酋「さらっていくわけじゃない。 飢饉の際に村を救う代わりに、生贄を求めてくるだけだ。 おまえは対価を求めずに人を助けるのか?」 デ「随分とそうしてきたが。 おまえのところの神はオレよりも器が小さいのだな」 酋「おいワイズ。こいつは喧嘩を売りに来たのか?」 れいがたまらず口を挟んだ。 れ「酋長様。1つだけご意見があります」 れいはゆっくりと、1つ呼吸を置いて続けた。 れ「神が、生贄を求めるわけがありません」 酋「なに!?」 れ「本当の神は、生贄など必要としていないはずです。 その者がトウモロコ


エピソード54 『天空の城』
エピソード54 床には乱雑に織物が敷いてある。2人はそこに腰を下ろした。 パイプを吸っていた老人がテントの中に戻ってきた。 老「剣を持っとる。冒険者だな?」 デ「あぁ」 老「頼みがある。 神を、倒してはもらえんか?」 れ・デ「え!?」 老人は無表情にゆっくりと言った。 呆けているのか、寝ぼけているのか、その発言だけでは要領を得ない。 老「あとで娘が話すだろう」 ワイズ キャラデザ by 絵夢さん 数十分の後、ワイズは少女を伴って戻ってきた。 ワイズは手に肉を持ち、少女はフルーツを抱えている。 ワ「娘のセーニャだ」 セーニャ キャラデザイン絵夢さん セ「こ、こんにちは。旅の方」 れ「お世話になります。私はれい。こっちはデイジー」 セーニャの年頃は、自分より3つほど下かなとれいは思った。 デ「神を倒せ、とはどういうことだ?」 ワ「あ?」 デ「爺さんがそんなことを言ったぞ。 魔王が襲ってくるのか?」 ワ「あぁ、爺さんそれを話したのか。 魔王ではない。山の神を名乗る者が、わしらの悩みの種なのだ」 デ「詳しく聞かせろ」 ワ「さっき少し話した、気分屋の


エピソード53 『天空の城』
エピソード53 翌日はスタンシアラを出た。 そこからは少し長旅になったが、ずっと北の荒野地帯を目指した。 ときには荷馬車に乗せてもらうこともあった。たくさんの戦闘をデイジーとともに重ねた。 やがてアライゾという赤茶けた土地に辿り着く。 奇岩に覆われた、太古の地球を思わせるような広大な土地だ。絶景、とも言えるだろう。れいが憧れた、サランの村の日常とは大きく異なる風景の1つと言える。 小高い奇岩の1つに登って周囲を見渡すと、絶え間なく風が吹き抜ける。 1つ集落が見えた。そこに目的地を定める。 れ「デイジーはアライゾに来たことがあるの?」 デ「ハーメリアの・・・北の国の領土の、こういう荒野に来たことがある。似た風景だった。 原住民の暮らしも同じようなものだろう」 アライゾの里だ。 ここの原住民は、三角錐の形のテントをこしらえて暮らしていた。なるほど、とても原始的だ!石積みの家も面白かったが、これほど簡素な家に住むというのはとても興味深い。れいの胸は震えた。 れ「布張りの家で暮らせるの?」 デ「雨が降らないんだろう」 得体の知れぬ部族の里だというのに、
エピソード52 『天空の城』
エピソード52 翌日は、特に予定もなかった。 朝食を食べると町をぶらぶらと歩く。 町のはずれでは、新しい家を建てる男たちがいた。この町特有の、石を積み上げて泥で固めていく工法だ。 れいは興味深くそれを眺める。れいの歩調が緩くなる。...
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