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エピソード13 『星空のハンモック』
エピソード13 夜半すぎ。 まだまだ冷たい風が吹いていて、冷え込みはさらに厳しくなっていた。 「そろそろ眠い?」カツミくんは私に尋ねる。 「うーん?わかんない。」実際、神経がマヒしていてよくわからない。 カツミくんはまた、リュックをごそごそと漁る。ドラえもんみたいだ。...
エピソード9 『星空のハンモック』
エピソード9 家に戻ると、リナちゃんだけはまだ眠っていた。 「こんなにお昼寝させちゃって大丈夫なんですか?」私は麗子さんに尋ねる。 「どうもあの子、熱出しちゃったみたいなの。熱射病かもね。」 夕飯を食べると、 カツミくんはヒマ潰しに、ソファでギターを弾きはじめた。...
エピソード17 『星空のハンモック』
エピソード17 「はぁあ…。」 私はリビングの窓辺で、ほおづえをつきながらためいきをついた。 「ハナちゃん。一緒にクッキー焼こうよ?」リナちゃんが私を誘う。 「ごめんね。今そういう気分じゃないんだ。」 寂しい。 「のり付けしない」ということを理解していたはずだったのに、...
エピソード10 『星空のハンモック』
エピソード10 翌朝。 やはりリナちゃんは体調が悪いらしく、麗子さんは車で病院に運ぶことにした。 カツミくんは、今日もう、北のほうへ旅立ってしまうつもりらしい。 お昼、私はカツミくんを見送りがてら、一緒に外食することにした。...
エピソード11 『星空のハンモック』
エピソード11 桟橋から上陸するとき、私のスニーカーは濡れてしまった。 「沖縄だもん。そろそろビーサン買わなきゃな。」私はしょんぼりしながら言った。 クツだけならまだマシだ。カツミくんなんか、大事なギターにも水がかかった。 そう。彼はチェックアウト後という身分だったので、...
エピソード4 『星空のハンモック』
エピソード4 シンプル談義はもう少し続く。 「シンプルなのに、美しいのがすごいです。」それはホントに、感心する。 「そう?」 「普通、美しい人たちってあまりシンプルじゃないし、ナチュラルじゃないです。 逆に、自給自足とか断捨離とか言ってシンプルに生きてる人たちは、...
エピソード3 『星空のハンモック』
エピソード3 昇りきった太陽が真昼の到来を告げ、私たちは家に帰ることにした。 リナちゃんはまだまだ元気で、 お花畑のチョウチョみたいに、私たちの周りを跳びはねながら歩いている。 「元気ですね。リナちゃん。」 「おかげさまで、ね。 前はこんなに元気じゃなかったのよ?」...
『星空のハンモック』まえがき
まえがき これは、自著「トランク1つで生きていく」の続編にあたります。 この小説単体でも、読めないこともありません。 沖縄のプチペンションに移住してきたハナと、 そこに集まる素敵な人たちの、心暖まる物語。と、ささやかな恋。...
プロローグ 『星空のハンモック』
プロローグ 地元・熊本を襲った大地震。 避難所に行かず、県外に逃れてきたことから、人生が大きく変わったハナ。 運命と縁に誘(いざな)われながら西日本を転々とし、 ウェブライターとしてのスキルを養いながら、沖縄の東海岸へとたどり着く。...
エピソード12 『星空のハンモック』
エピソード12 「は!?」 私はふと目が覚めて、騒然とした! 時間、大丈夫なのかしら!? 空はまだ明るく、永遠のような南国の午後を謳歌しているけれど、 時間は容赦なく過ぎ、すでに17時20分… 私はカツミくんを揺り起こし、二人で船着場まで猛ダッシュ!...
エピソード19 『星空のハンモック』
エピソード19 「そうやんなあ。 あたしは、画用紙の中で『自由』を追求してるんやとおもう。 まずは、テクニックとセオリーをとことん磨くねん。勉強しまくって、練習しまくんねん。 で、そのうえで、技法やセオリーを無視すんねん。 めっちゃ気持ちええで?...
エピソード2 『星空のハンモック』
エピソード2 私はスニーカーなので、波打ち際までは行けない。 それを察して、麗子さんは私の都合に合わせて浜の内側を歩く。 「病院か。たしかに元気になりましたね、リナちゃん。」 「いいえ、気分だけの問題じゃないのよ? タラソテラピーというのを、やっているの。」...
エピソード18 『星空のハンモック』
エピソード18 ハルコさんの話を聞いていて、私は思い出したことがある。 サッカー教室も習字教室も絵画教室も、 たいてい、町内に2つずつあるでしょう? 1つはすっごいスパルタで、コンクール入賞者とかいっぱい輩出してて。 もう1つはすっごいゆるくて。...
エピソード6 『星空のハンモック』
エピソード6 「ねぇカツミくん、一緒に海に行こうよ?」 誘ったのは私じゃない。またしてもリナちゃんだ。 あんな可愛い天使にデートに誘われて、断る男などいるはずがない。 …と思いきや、カツミくんは予想外の返事をする、 「ごめんよぉリナちゃん。...
エピソード5 『星空のハンモック』
エピソード5 数日のあと、 ついにこの静かなプチ・ペンションにも、新たなお客さんがやってくる。 夜もどっぷりと暮れていて、 リクくんもリナちゃんも眠った後だった。 ピンポーン、ピンポーン。 「誰かしら?こんな遅くに珍しい。」...
エピソード7 『星空のハンモック』
エピソード7 リナちゃんに申し訳ないなと思いながらも、私はカツミくんと並んで歩いた。 沈黙は気まずい。何か話さなきゃ。 「カツミくんは、何才ですか?」 「僕?23才。」 「やっぱり!私よりちょっと上だろうなって、思ったんです。私21です。」 「21か。若いね。」...
エピソード15 『星空のハンモック』
エピソード15 本島に戻ると、 私はすぐに、麗子さんに連絡を入れた。 なにしろ麗子さんは、私がどこに行ったかも知らないままで、自転車も借りたまま。 幸いにも、あまり心配はしていなかったし、 きっとカツミくんといちゃいちゃしているのだろうと、ある程度のことを察していたらしい。...
エピソード14 『星空のハンモック』
エピソード14 愛子さんみたいに、リナちゃんみたいに、素直で積極的だったなら、 こんなに苦しい思いをしなくて(させなくて)済んだだろうに… 内気な私が意中のひとと重なり合うためには、 こんなにたくさんの偶然と口実が、必要になってしまう。...
エピソード16 『星空のハンモック』
エピソード16 麗子さんやリナちゃんがいなくても、私一人で百名のビーチに出ることがある。 それはライター仕事の良い気分転換になるし、 ときにはビーチで、潮風に吹かれながらパソコンを打つこともある。 そうして1つ、気づいたことがある。...
エピソード20 『星空のハンモック』
エピソード20 その日の晩、 私は、ハルコさんにもらった絵を持って、屋上へと上がった。 そして一人、カツミくんのことを思い出しながらハンモックに寝そべる。 月とはぐれた 星の子たちは どんなメロディだったかな。思い出せない。...
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