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エピソード10 冒険
エピソード10 冒険 数日後、 ミシェルとキャロルは冒険を決行した。 「駅にお友達をむかえにいきます」と書き置きをのこし、 二人は両親の目を盗んで、家を飛び出した。 「お姉ちゃん。こんなヘンな言い訳でだいじょうぶなの?」 「だいじょうぶよ。何でもいいの。...
エピソード2 教会でのこと
エピソード2 教会でのこと 引越しの片付け作業に追われるミシェル家のポストに、 1枚のチラシが舞い込んでいた。 「みんなで歌おう!ゴスペル教室♪ 毎週日曜日10:00~11:00 テミス教会にて」 このチラシに最も食いついたのは、父のサイラスであった。...
エピソード4 先生はホームレス
エピソード4 先生はホームレス 「あ、ほら、いたわ!ウィリアムスさん。」 ナンシーの指差したその先にいたのは、 なんと、真っ赤な口紅をぬりたくっている中年男性であった。 「やぁナンシー。今日はえらくゴキゲンそうじゃないか? それと、えっと、初めての子かな?」...
『ミシェル』
エピソード12 それぞれの冒険 はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ! ミシェルはおよそ10分も、藪(やぶ)の中を走った。 頃合いだと思って振り返ると、やはり追っ手の姿は無かった。 「うまくいったわ」そう安堵(あんど)したのも束(つか)の間、...
エピソード3 もっと楽しい学校
エピソード3 もっと楽しい学校 新しい町の学校は、ロンドンのそれよりはマシであった。 しかしそれでも、ミシェルの満足に値するものではなかった。 ミシェルはその落胆(らくたん)を、ナンシーに打ち明けた。 ナンシーは、例の教会ゴスペルで仲良くなった地元の少女で、...
エピソード16 本当に魔女なの?
エピソード16 本当に魔女なの? 真昼にさしかかった頃、 ミシェルは歓声(かんせい)を上げた。 「見つけたわ!あのときの小屋!!」 女の子のはしゃぎ声を耳にして、 アンジェリカは木戸から顔を出した。 「まぁ、ミシェルじゃない!また来るなんて!」...
エピソード1 ミシェル一家
プロローグ ミシェル一家が田舎町に引っ越してきたのは、 ミシェルが不登校になったからだった。 兄妹4人のうち3人もがロクに学校に行かないとなると、それは何かが狂っている。 そう判断した両親は、親から引き継いだ豪邸をも手放し、 住み慣れたロンドンを離れることに決めたのだった。...
エピソード11 機転
エピソード11 機転 絶体絶命のピンチを救ったのは、なんと、ロッドであった。 兄のロッドではない。ぬいぐるみのロッドである。 「シスター。この子たちを見逃してやってよ。行かせてやってくれ。 悪さをしようっていうんじゃないんだ。」 ロッドは、シスターの心の中に話しかけたのだ。...
エピソード2 『トランク1つで生きていく』
家族から5分遅れて、私は家を後にする。 カギはしっかり掛けた。家族には迷惑をかけないようにせねばね。 夜道が暗い!そうか、停電しているんだ。 懐中電灯を取りに戻ろうかとも考えたけれど、 スマホに簡易ライト機能があることを思い出して、進むことにした。...
エピソード26 『トランク1つで生きていく』
「私、恋愛があまり良いものだとは思えないんです。 人生の足を引っ張るだけのような気もするし…」 「それはきっと、ハナちゃんがまだ、 良い男性と恋愛したことがないからよ。 恋愛とひとくちに言っても、色んなのがあるじゃない。 良い恋愛もあれば悪い恋愛もあるわ。...
『トランク1つで生きていく』まえがき
まえがき これは、熊本地震を機に生き方を一変させた女性を描く、 中編程度のヒューマンドラマです。 対象年齢は、高校生以上を想定しています。
エピソード15 『トランク1つで生きていく』
エピソード15 京都で暮らしはじめて、3ヶ月も経ったある日のこと。 その日は私もコウセイくんも、夜のバイトが休みだった。 コウセイくんは珍しく、私を夜の京都観光に誘った。 「舞妓さんの行きかう祇園の路地は、夜のほうが風情があるんだよ」と。...
エピソード1 『トランク1つで生きていく』
プロローグ ドォーーーーーーーーーーーーーーン!! あのときのすさまじい衝撃は、今でも鮮明に思い出せる。 けれど思い出さない。描写したりはしない。 「震災の恐怖を語り継ごう」なんてニュースは真面目な顔で言うけれど、 私はまったく賛同できない。無意味に思い出したくはない。...
エピソード13 『トランク1つで生きていく』
エピソード13 コウセイくんが連れていってくれたのは、伏見稲荷大社だった。 朱い鳥居がいくつもいくつも並んでる、CMとかでよく見るあの神社! 「わぁ、私ここ、見てみたかったんです!」 「そうだと思ってさ。たいていみんなそうだから。 ちょっとハイキングになるけど、大丈夫?」...
エピソード23 『トランク1つで生きていく』
エピソード23 バスはやがて、東の海沿いに出ました。 ところどころ、オーシャンビューのカフェがあって、 あとは大体、緑に覆われています。民家すらそう多くない。 私の住んでいた熊本の町より田舎で、愛子さんと行った角島に似ていました。...
エピソード14 『トランク1つで生きていく』
「万屋」での私の仕事は、掃除だけで良かった。接客は含まれていなかった。 けれど、お客さんからすれば誰が掃除要員で誰が接客要員かは、わからない。 なので、私に声をかけてくる人も大勢いた。 それが日本人ならまだ良いのだけれど、京都は一大観光名所。外国人客も多い。...
エピソード20 『トランク1つで生きていく』
エピソード20 話は続いた。 「そういう点から言うと、 私もう、沖縄にもトキメかなくなっちゃってて…」 「それって、『沖縄に』じゃなくて、 『那覇に』か、または『まりりんに』じゃなくて?」 「あ、そうかもしれないです。まだ沖縄ぜんぜん見てないです。」...
エピローグ 『トランク1つで生きていく』
家を失ったときって、壮大なチャンスなんだと思う。 ヘンテコな旅行をするチャンスであり、大きな冒険をするチャンス。 たくさんの出会いに感動するチャンスであり、 たくさんの変化にチャレンジするチャンス。 失ったものを数えて悲しむより、新しいことに目を向ければいい。...
エピソード3 『トランク1つで生きていく』
「ちょっとあなた、それ何て書いてあるの?山口とかって?」 良かった!女性だ!! くねくねのソバージュに大きなサングラス。勝気なしゃべり方をしているけど、 たしかに女性だ! 女性はサングラスを取って目を細め、口をぽかんと開けて、 私とスケッチブックを交互に凝視している。...
エピソード21 『トランク1つで生きていく』
エピソード21 翌日の晩にもまた、夕食を作ろうかとお誘いをしてみたけれど、 彼は笑って、それを断りました。 「今日は外食の日だから」と。 自炊だと食べる食材に偏りが出てくるので、 週に1度は外で夕食を食べるんだそうです。 私はそれに、同行させてもらうことにしました。...
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