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エピソード12 『トランク1つで生きていく』
エピソード12 一番几帳面なのは、ひょっとするとコウセイくんかもしれない。 几帳面というか、彼はよく「リスクマネージメント」という言葉を口にした。 「りすくまねーじめんと?」私には聞きなれない言葉だった。 「そう。『リスクへの対応策』ってこと。 掃除と昼食を終えて、...
エピソード10 『トランク1つで生きていく』
私は翌日、メグちゃんに別れを告げて、京都の町を目指した。 電車を乗り継いで、無事京都駅にはついた。けれど。 はて、ゲストハウスとやらは、どうやって探せば良いのでしょうか? 私は、ゲストハウスというのはなじみがなくてよくわからない。...
エピソード6 『トランク1つで生きていく』
フレンチトーストは美味しかった。PAのテキトウな食事よりも、きっと美味しい。 愛子さんは手早く食事を済ますと、タオルを持ってお手洗いに行った。 タオルを濡らして、体を拭くらしい。シャワーの代わりだ。 彼女と入れ替わりで、私もそれをやってみた。思いのほかスッキリする。...
エピソード17 『トランク1つで生きていく』
エピソード17 12月の沖縄は、思ったよりは肌寒くて、 関空でダウンジャケットを捨てようか迷ったので、危ないろころだった。 それでも京都や熊本よりはずっと暖かい。いいな、南国って。 私はあのノマドのおじさんにもらったメモを頼りに、新しいゲストハウスを探した。...
エピソード16 『トランク1つで生きていく』
「万屋」で生活していると、ときどき誰かと仲良くなることがある。 宿泊客の中には長期滞在の人もいて、なぜか私の名前を覚えていたりもする。 「ハナちゃんは、毎日掃除ばっかりしてるね? 若いのに掃除を嫌がらない女は、イイ女なんだよ。」 私ははっと振り返った。...
エピソード18 『トランク1つで生きていく』
変な話を振られたり、変なことを頼まれると、「は?」と思うけれど、 何気にこれが、面白い。 熊本の暮らしでは、会話する人はいつも限られていて、 会話する内容もほとんど同じで限られていた。日々に刺激がなかった。 それが、熊本を出てきてからというもの、...
エピソード4 『トランク1つで生きていく』
けっこうワイルドなスピードで飛ばしていたのに、 愛子さんはなぜか、急に減速をはじめる。 「あらー。ダメね。迂回だわ。」 身を乗り出すように、前方を眺めている。 「何ですか?」私には見えない。 「亀裂よ。けっこう派手ね。コリャ通れないわ。」...
エピソード27 『トランク1つで生きていく』
麗子さんの民泊は素泊まり宿で、食事は付かない。 けれどしょっちゅう、麗子さんは私に手料理を振舞ってくれる。 私もまた、麗子さんや子供たちのぶんまで料理をしたりする。 ときどき私が、子供たちの宿題を見てあげたりする。 子供たちが私のために、スーパーに買い物に行ってくれることも...
エピソード5 『トランク1つで生きていく』
エピソード5 愛子さんは精力的に運転を続け、ついに九州を抜けた。 本州に入ってすぐのところ、壇ノ浦のパーキングエリアに車を停めると、 「今日はここで寝ましょう」と言った。 壇ノ浦のパーキングエリアも、ただならぬ喧騒があった。...
エピソード22 『トランク1つで生きていく』
翌日、タカユキさんは玄関で私を見送ってくれました。 「いいかい? キミがこれから、旅ガラスな人生を生きるんであれば…」 「はい?」 「誰と話すか、誰とツルむかは、キミ自身が主体的に決めたほうがいいよ。 人間関係で、受身になりすぎないこと。...
エピソード11 『トランク1つで生きていく』
エピソード11 彼は電話を終えると、私に館内案内をしてくれた。 「ハナちゃんが寝泊りするの、ここね。」 通された部屋は、10畳ほどの畳の部屋だった。 部屋の隅には、旅行かばんが2,3置いてある。 「相部屋ですか?」私は尋ねる。 「そう。ドミトリーだけど、大丈夫?」...
エピソード8 『トランク1つで生きていく』
メグミさんの家は、倉敷駅から車でほど近いところにあった。 1DKのアパートで、部屋はかなり広い、8畳か10畳はある。 なぜかといえば、二人暮らしをしているからだ。 メグミさんは普段、彼氏さんとここで同棲をしている。 けれどちょっと前から、彼氏さんは海外に行っているとのことで...
エピソード25 『トランク1つで生きていく』
エピソード25 「そういえば、旦那さんは?」 「旦那さんはね、離婚しちゃった。 私は価値観が変わったけれど、旦那さんは変わらなかったから。 私は子供たちのために、甘やかしすぎるのはダメだと思ったし、 かといって、もう少し誠実な町に移動したいと思ったんだけど、...
エピソード19 『トランク1つで生きていく』
翌日私は、とりあえずもう1泊の延長を申し出た。 まぁ1,000円ならそんなに痛くはない。 これからの身の振りは、あせらずじっくり決めればいい。 私はふと、フロントに置いてあったガイドブックを手にとった。 「なんならそれ、借りてってもいいよ」と、...
エピソード24 『トランク1つで生きていく』
「ちょっと、お散歩でもいかがかしら?」 翌日の午前中、麗子さんからお誘いがあった。 今度は子供たちには留守番を託し、大人二人でおでかけをする。 この集落はやはり、雰囲気がいい。麗子さんもお気に入りで、 この集落を見て、沖縄に引越しすることを決めたんだそうだ。...
エピソード9 『トランク1つで生きていく』
エピソード9 その日メグちゃんは、私を倉敷の美観地区にエスコートしてくれた。 江戸時代の景観が、堀川の両岸に風情よくたたずんでいる。 カメラ好きの人間にはたまらない、散策の名スポットだった。 私たちは写真館に入って、江戸時代の衣装をレンタルした。...
エピソード7 『トランク1つで生きていく』
エピソード7 愛子さんといると、話が尽きない。 話せば話すほど、聞きたいことが出てくる。 「お仕事は?愛子さん、どうやってお金稼いでるんですか?」 「私、ウェブライターってやつ。後ろにノートパソコンあるでしょ?それでね。」 「文章書くんですか?」...
エピソード1 『沈黙のレジスタンス』
プロローグ 子供の頃は、この風景が当たり前のものだと思っていた。 この、異星みたいな、キノコ岩ばかりの風景が。 世界の裏側から、はるばるここまで観光しに来る人がいるなんて、 まったく理解できなかった。信じられなかった。 子供の頃は、...
エピソード10 『沈黙のレジスタンス』
翌日の昼下がり、 僕はまた、デニーのところに行った。今日はチャゴスは来ていない。 「ついてこいよ。」 デニーはニヤニヤしながらそう言うと、 村のはずれの大きな岩まで歩いた。 「僕らの城?」僕は、懐かしいものを見上げながら言った。...
エピソード2 『沈黙のレジスタンス』
エピソード2 僕に掘り方を教えてくれたのは、隣のデニー兄ちゃんだった。 猿のように細長い手足をしていて、華奢なわりには力がある。 体は身軽で、勇敢であり、高いところも苦にしない。 あまり誠実ではないけれど、それは誰だって同じようなものだ。...
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