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エピソード22 『トランク1つで生きていく』
翌日、タカユキさんは玄関で私を見送ってくれました。 「いいかい? キミがこれから、旅ガラスな人生を生きるんであれば…」 「はい?」 「誰と話すか、誰とツルむかは、キミ自身が主体的に決めたほうがいいよ。 人間関係で、受身になりすぎないこと。...
エピソード11 『トランク1つで生きていく』
エピソード11 彼は電話を終えると、私に館内案内をしてくれた。 「ハナちゃんが寝泊りするの、ここね。」 通された部屋は、10畳ほどの畳の部屋だった。 部屋の隅には、旅行かばんが2,3置いてある。 「相部屋ですか?」私は尋ねる。 「そう。ドミトリーだけど、大丈夫?」...
エピソード8 『トランク1つで生きていく』
メグミさんの家は、倉敷駅から車でほど近いところにあった。 1DKのアパートで、部屋はかなり広い、8畳か10畳はある。 なぜかといえば、二人暮らしをしているからだ。 メグミさんは普段、彼氏さんとここで同棲をしている。 けれどちょっと前から、彼氏さんは海外に行っているとのことで...
エピソード25 『トランク1つで生きていく』
エピソード25 「そういえば、旦那さんは?」 「旦那さんはね、離婚しちゃった。 私は価値観が変わったけれど、旦那さんは変わらなかったから。 私は子供たちのために、甘やかしすぎるのはダメだと思ったし、 かといって、もう少し誠実な町に移動したいと思ったんだけど、...
エピソード19 『トランク1つで生きていく』
翌日私は、とりあえずもう1泊の延長を申し出た。 まぁ1,000円ならそんなに痛くはない。 これからの身の振りは、あせらずじっくり決めればいい。 私はふと、フロントに置いてあったガイドブックを手にとった。 「なんならそれ、借りてってもいいよ」と、...
エピソード24 『トランク1つで生きていく』
「ちょっと、お散歩でもいかがかしら?」 翌日の午前中、麗子さんからお誘いがあった。 今度は子供たちには留守番を託し、大人二人でおでかけをする。 この集落はやはり、雰囲気がいい。麗子さんもお気に入りで、 この集落を見て、沖縄に引越しすることを決めたんだそうだ。...
エピソード9 『トランク1つで生きていく』
エピソード9 その日メグちゃんは、私を倉敷の美観地区にエスコートしてくれた。 江戸時代の景観が、堀川の両岸に風情よくたたずんでいる。 カメラ好きの人間にはたまらない、散策の名スポットだった。 私たちは写真館に入って、江戸時代の衣装をレンタルした。...
エピソード7 『トランク1つで生きていく』
エピソード7 愛子さんといると、話が尽きない。 話せば話すほど、聞きたいことが出てくる。 「お仕事は?愛子さん、どうやってお金稼いでるんですか?」 「私、ウェブライターってやつ。後ろにノートパソコンあるでしょ?それでね。」 「文章書くんですか?」...
エピソード1 『沈黙のレジスタンス』
プロローグ 子供の頃は、この風景が当たり前のものだと思っていた。 この、異星みたいな、キノコ岩ばかりの風景が。 世界の裏側から、はるばるここまで観光しに来る人がいるなんて、 まったく理解できなかった。信じられなかった。 子供の頃は、...
エピソード10 『沈黙のレジスタンス』
翌日の昼下がり、 僕はまた、デニーのところに行った。今日はチャゴスは来ていない。 「ついてこいよ。」 デニーはニヤニヤしながらそう言うと、 村のはずれの大きな岩まで歩いた。 「僕らの城?」僕は、懐かしいものを見上げながら言った。...
エピソード2 『沈黙のレジスタンス』
エピソード2 僕に掘り方を教えてくれたのは、隣のデニー兄ちゃんだった。 猿のように細長い手足をしていて、華奢なわりには力がある。 体は身軽で、勇敢であり、高いところも苦にしない。 あまり誠実ではないけれど、それは誰だって同じようなものだ。...
エピソード8 『沈黙のレジスタンス』
僕は父に、「たまには里帰りしようよ」と提案した。 2年も戻っていなかったから、父も思った以上に乗り気だった。 帰省中の滞在は、親戚の1つが受け入れてくれることになった。 ガットキアに戻ると、 僕は、一目散にデニーの「2階」に向かった。きっとここにいる。...
エピソード7 『沈黙のレジスタンス』
そして2年ほどの月日が流れた。 僕は12歳になり、デニーは今ごろ、14歳になっているはずだった。 デニーに残された期間は、あと1年間。 珍しく監督が、僕に声をかけてきた。それも、神妙な面持ちで。 「おぉ、エニス。大変なことになった!...
エピソード14 『沈黙のレジスタンス』
2週間後、やはり地下3階は発見された。 しかし、地下3階もまた、寝泊りの部屋とは思えなかった。 食料庫や食堂であるらしかった。 デニーは、さらに階層があると確信したが、 かといって、発掘作業はそれで打ち切ると言った。 「あとは大人に任せたほうが良いだろう。」それが、デニーの...
エピソード12 『沈黙のレジスタンス』
父と家族は、数日後にセルチュクに戻っていったけど、 僕はガットキアにとどまった。 父と親戚を強引に説得して、一人だけこの村に残った。 この事件を、ほったらかしにしたくはなかった。 しかし、デニーは何も動かなかった。 やがて、...
エピソード13 『沈黙のレジスタンス』
「ほらみろ!」 デニーの推理は完璧だった! 同胞たちは、飛び跳ねて喜んだ。 この地下通路に、飛び跳ねられるほどの高さは無いけどね。 しかしデニーは、そこで満足しなかった。 地下2階にも、あまり生活の匂いが感じられなかったからだ。...
エピソード4 『沈黙のレジスタンス』
「デニー、今日は何考えてんの?」 デニーは、彼の自慢の2階の部屋で、 あぐらをかいて手をアゴにあて、じーっと外を眺めていた。 彼のお決まりのポーズなんだ。眼光鋭く、タカのような目をしてね。 「家出の計画を練ってる。」 「家出?なんでまた。」...
エピソード3 『沈黙のレジスタンス』
そう。 デニーが教えてくれたことの1つに、それがある。 「考えること」と「悩むこと」の、違いだ。 たとえば、先の話で言えば、 他のみんなは、 「どうせオレらも、15になったら穴掘り遊びができなくなっちまうんだよ!」 と、グチをこぼすだけだ。 「あぁ、どうしよう。...
エピソード11 『沈黙のレジスタンス』
エピソード11 そこには、広い広い洞窟が広がっていた! 洞窟じゃない。地下通路と言ったほうが良いだろう。 人の手で掘られた通路と小部屋が、どこまでも広がっている。 一番最初の小部屋には、ワインのタルが転がっていた。 「オレが飲んでた酒は、ここから拝借してきたんだよ。...
エピソード15 『沈黙のレジスタンス』
やがて、 この村に、ヒロト監督の一行が、発掘調査をしに来てくれた。 彼は自ら、このプロジェクトの責任者に名乗り出てくれたのだ。 「万が一ムダ骨に終わるなら、スタッフの賃金は私が請け負う」 彼はそこまで言ってくれた。 専門家が調査発掘に当たり、...
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