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episode51 『王と悟り』
episode51 サザム 無政府世界とやらの中で、ようやく話の通りそうな男を見つけた。 ソ「ありがとうございます。 僕はソロと言います。世界を旅しています」 サ「私はサザムという。 まぁ話したいことは大体察しているがね」 ソ「村の入口で盗賊に会いまして、宿は500ゴールド(約5万円)だと吹っ掛けられました。 無政府世界って、もっと良いものかと想像していたのですが・・・」 サ「昔は、もっと平和な里だった」 ソ「盗賊が、割り込んできた?」 サ「そうだ。君は頭がいいな。話が楽だ。 昔、ここはポタロ宮の精神主義者が隠れ住む地だった。密裡道を信仰する者ではなく、さらにその中でも達観した者だけがここを嗅ぎつけて訪れた。宗教を超えたい者たちが。 それは理想郷、ユートピア、シャングリラと呼ばれ、しかし世界において伝説でしかなかった。およそ誰もこの場所を突き止められはしない。 その精神主義者たちは、王に支配されず、警察に支配されず、自由に大らかに暮らしていた。無政府世界の良い例だ。堕落もない、支配もない大らかな暮らしを、アセンションと呼ぶ」...


episode50 『王と悟り』
episode50 山の上だ。峰の向こう側に出たようだった。 こちら側のほうが風が強いが、この台地にだけは雪がなく、植物も生えている。 向こうに集落が見える。 峰の向こうの台地 挿絵 by 生成AI ソ「人が住んでるぞ!」 ソロは駆け寄る前に振り返った。こじ開けた穴はどうしよう?埋めようとしたが上手くいかない。集落があるならそこの人に頼むとしよう。 里に近づくと、もう人の笑い声が聞こえる。 そしてガーデンテーブルを囲んで男たちがトランプに興じる姿が見える。近寄ってみる。 ソ「あのう」 男「ほらやっぱり次も盗賊だよ! 賭けはオレの一人勝ちだ!へっへっへ~」 男「ちっくしょぉ~」 柄のあまり良くない男たちだ。 ソ「あのう、僕、盗賊じゃないんですけど」 男「え、違うのか?」 男「なんだ違うじゃねぇかよ!カネ返せほら!」 男「じゃぁなんだよ。戦士にしちゃガリガリだぜ」 ソ「いや、戦士か何かもわかりませんが、とにかく盗賊ではないです。モノ盗んだりしませんから」 男「ほら金返せ!」 迷いこむ人がちらほらいるのだろう。その対応に慣れている感がある。...


episode49 『王と悟り』
episode49 意を決して、ソロは抜け道への侵入を試みる。 真っ暗だ。しかしソロには《レミーラ》の魔法がある。周囲は明るくなった。 これは明らかに、人の手によって掘られた洞窟だ。やはり脱出のための抜け道だろうか?それとはまた別のものかもしれないが、恐らくそうだろう。そしてこの宮殿の民は、この洞窟を掘りながら体を鍛えていた、のかもしれない。 なんと道はいきなり左右に分かれている。正面は壁だ。しかしそこには横笛を吹く女神のような像が置かれていて、人が壁に衝突することは防がれている。 ソロは適当に右の道に進んでみることにした。 ソ「えぇと、まずは入口をきちんと塞いでから」 右の道を真っすぐ行くと、やがてT字路となる。左に曲がるか、真っすぐ進むか。どっちだ? つまりこの抜け道は迷路だ!下手に迷うとここで飢え死にする!! ソロはそれ以上先に進むのをやめた。 引き返してくる。 さっき元に戻した黒板の背面が、洞窟の壁とは違う色をしていることを確認する。この色が帰りの目じるしだ。 うーん。どちらに進めばいい? ソロは考える。 フルートを持った女神の像は、「い
episode48 『王と悟り』
episode48 その日は本当にゆっくり過ごした。 洗濯物がたなびく下で、小川のちょろちょろという音を聞きながら、向かい側の壮麗な山脈を眺めていた。 翌日。ソロは動いてみようと思った。 玄関の大きな階段を上り、2階に行く。2階にも多くの部屋があるが、さらに3階に上る。 そこにはやはり王の間のような空間があった。 ここも荒らされているが、魔物にメチャクチャにされているふうとも違う。盗賊は金目のものを盗りたいのであって、建物を壊したいわけではないのだろう。 王のデスクと思しきものがある。そのデスクの上には、大きな立派な本が数冊、乱雑に置かれていた。 ソ「本か。この宮殿にも本がある」 王が読んでいたであろう本に目を通すと、外国の文化・歴史を記すものや、高山植物の事典のようなものや、医学書のようなものだった。王は住民の生活のために自らも本で勉強をしていたと見える。 さらに徘徊すると、図書室があった。 壁に建てつけられた本棚にはたくさんの本が並ぶ。本もその一部は誰かに持っていかれたように見える。 何か面白い本があるんではなかろうか? ソロは幾つかを手にと
episode47 『王と悟り』
episode47 翌朝、とても静かだが、隙間からの日差しで目を覚ます。 とても静かだ。風が戸や壁を打ちガタガタといい、野鳥がピーチクいっているが、それ以外の音がない。それ以外の音がないと、戸の音と鳥のさえずりが聞こえていても、「とても静かだ」と感じる。その感覚は、面白い。 戸から外に出て、今自分が眠っていた建物を仰ぎ見る。 とても大きな建物だ!そこからは全容は把握できない。宮殿と言われるだけのことはある。 向こうの宿からはとても白い建物に見えたが、間近で見れば汚れてくすんでいる。もう手入れはされていないのだから当たり前か。 ソロが寝床にしたのは、用務員室のようなものであったようだ。 広い階段を上って、正門から入るのがスマートだろうと考えるが・・・噂通り侵入者があるのか、正門は豪快に打ち破られている。 ソ「お邪魔しまぁす」ソロはおそるおそる、中へと入ってみる。 中も白い壁がそびえ立つ大きな立派な宮殿だが、何者かに荒されて汚らしく朽ちている。 壁には大きな絵や、金属製の像や、派手な装飾を持つ剣など飾られている。たしかにお宝になりそうだが、ソロは別に


episode46 『王と悟り』
episode46 4つ目の村はなかなか大きなものだった。 大勢の人がいて、学校があったり村の中心に井戸があったりした。 学校に訪問してみると、憩いの場には本棚があった。「村にいる間は借りていってもいいよ」とそこの管理人は言った。学校は子供のものではなく村人のものだ。学校の本棚は村人みんなのものなのだ。 ソロは本を1つ手にとった。 『密裡道の誇り』 「我らの民族は、この密裡道を継承していくために生きている」 ふうん。密裡道とは山脈を巡礼修行する宗派のことだろうか。 そしてまた気になる背表紙がある。 『古の勇者ローシュの旅日記~セントベレス編~』 鎧なんて重すぎるなぁ。盾持ってるし、大体右半身で構えてるんだからさ、肩や右半身だけカバーしておけばよくね?ちょっと工作しよっと。 あれ!DIYっておもしれぇな! それにしても、辺境の地のわりに本の数が多い気がする。尋ねてみると、商人や巡礼者が置いていったものを収めているのだという。商人が学校見学するのか?違う。宿や食堂に置いていかれたものを、村の人たちはこの図書室に持ってくる。 物が少ない地域において、人


episode45 『王と悟り』
episode45 歩いたり馬車を拾ったり、交互に器用に立ち回った。今は西にどんどん距離を稼ぎたい。 やがてまた大きな山が立ちはだかったが、それは馬車道が通る山だった。 セントベレス山脈 挿絵 by 生成AI 標高が上がるにつれて魔物の生息域も変わり、しばらく平穏だったのが嘘のように、魔物は強く険しくなっていった。 キメラはハゲタカとヘビが合成されたような獣である。 キメラ どこかの科学者が遺伝子操作でもしたのだろうか。空を飛び、炎を吐きだしたかと思えば、《ホイミ》で自分や仲間の傷を回復したりもする。 イエティは真っ白い毛むくじゃらのクマのような生き物だ。 イエティ 二本足で歩き、剛腕で殴りかかり、こちらは口から吹雪を吐き出してくる。寒さにめっぽう強いらしい。 武器では苦戦するからと、必殺の《ベギラマ》を放っても、それでも魔物たちは倒せない。《ベギラマ》よりも強いレベルの魔物たちが巣食っている。つまりノーラやそのレベルの魔法使いは、この辺りに寄りつけないことになるのだろう。 山はとても大きかった。セントベレスは山脈と呼ばれていた。ずっと山が続くの


エピソード45 『天空の城』
エピソード45 まさか「吸血鬼を退治しに来た!」とは言えない。するとどう自己紹介すればよいのだ? れ「み、道に迷ってしまいまして・・・」とれいはとっさに言い訳をした。言い訳として苦しいと思ったが・・・ 男「ははは、そうなんだよな。ブルガ城に向かうつもりが、登る山を間違えてしまう人が多いんだよ。 そうかそうか。大変だったね。 食事でもしていったらいい。粗末なもんだがいいかい?」 ガストン キャラデザ by 絵夢さん れ「え、えぇ」と答えてから、れいはデイジーの顔を窺った。 デイジーは「いいだろう」と頷いている。 結局、何の証拠もない状態で「お前は吸血鬼か!」と問いただすわけにはいかない。それでは逮捕も成敗もできない。相手が尻尾を出すのを待つ必要があるのだ。 つまり「おとり作戦」が必要であることを、ここまで来てかられいは気づいた。そんな危険な巧みなことが、自分に出来るのだろうか?ちょっと青ざめてくる。 ガ「オレはガストンというんだ。ここで一人で暮らしているんだよ。変わり者だろう?ちょっと病を患っていてねぇ」 れ「お体心配ですね」 ガストンは2階の


episode44 『王と悟り』
episode44 トウキョの街にて夕暮れ時。早めに夕食を済ませて宿へと戻る。 するとあのカウンターの若い女性は、思いがけないことを言った。 女「あぁ冒険者のお方! 大変申し訳ございません。本日は巡礼者の団体様がお越しで、ベッドの空きがなくなってしまったのです。あなたは巡礼者ではないとのこと。・・・そのう、他の宿に移ってはいただけないでしょうか?」 ソ「えぇ!? まぁいいですよ。巡礼の方が優先なのでしょうね」 「ベッドが1つだけ足りない」という問題ならどうとでも出来るような気もしたが、店員も団体客も、そういう知恵が働かないようだった。他でもなく敬虔な宗教徒の団体さんは、自分たちが集団で1つの建物に収まるために、他の旅人を突き飛ばす。まぁいい。 そもそも巡礼というのは団体ツアーで行うものではない気がするのだが・・・。 ソロは宿を出て歩きはじめた。 ソ「でももう暗くなるから、急がないとな」 郊外に出たほうが安い宿は見つけやすいと考え、ソロは建物の少ないほうへと歩いた。 すると林のそばに、この国特有の朱色の鳥居を見つける。 その鳥居は、薄暗い夕闇の


episode43 『王と悟り』
第4章 巡礼の地 episode43 トウキョの街 挿絵 by 生成AI ソロはそのまままたトウキョの街を徘徊した。 武器屋を見つけたので入ってみる。 上等な武器がたくさんあり、新品なのか、状態の良いものが多い。あの戦士が持っていた《炎の剣》もあるぞ。 この街の周辺の魔物は特別強くなかったが、それにしては武器がオーバースペックに思える。 ソ「こんなに立派な武器、この街で売れますかね?」 武「売れるさ!珍しい武器を多めに仕入れてるからね」 ソ「オーバースペックじゃないですか?」 武「そんなことは関係ないんだよ。みんなカッコいい最新の武器が欲しいのさ」 ソ「ふうん。 それにしたって、《青銅の剣》が350ゴールドですって?ちょっと高いんじゃないですか?」 武「田舎から来たのかい君は。そりゃ経費かかってんだから割高にもなるよ。当たり前だろ?」 そうか。そうかもしれない。 でもこれまでは、武器の値段はどこの街でも大体同じだったような気がするが。スラム街以外は。 ソ「お金持ちなんですよね、この国の人は」 武「オーナーが自分で売りゃいいんだろうけど、オレみた


episode42 『王と悟り』
episode42 ソロ 今の装備 ソロはさっきの広場へと出てきた。喧噪の中にあるこの街において、広場はちょっとした憩いである。同じように考えるのであろう人々が、ベンチに座ったりアイスクリームを買ったりしてくつろいでいる。 ソロは1つのベンチに座り、この街の人々をしばらく眺めていた。 やはり広場に居ようとも黒いスーツを着て、立派な威厳を持ったような人が多い。 すると、ある光景が目に入った。 1人の少女が、そうした金持ちそうな男に寄っていく。そして男の胸のポケットに、小さな花のブーケを差しこんでいる。広場の花を摘んで自作したのだろう。 そして、「お恵みを」と上品な声で言い、スカートの裾をつまみ上げておじぎをした。 男はポケットのブーケを払いのけ、煙たそうな顔をして「あっちに行きなさい!」と少女を追い払った。 横に居た淑女は「教会の花を摘み取るんじゃないわよ!」と怒った。 少女は慌てて走り去ると、肩から大きく息をして、悲しそうにうつむいた。 ●ジプシー少女 ジプシー少女 キャラデザ by 絵夢さん 年齢:12歳 誕生日:1月3日 身長:144cm..


エピソード114 『天空の城』
エピソード114 れいの泊まった質素な湯治宿は、昼間になると向かい側に屋台が出た。 昼間、昼食の時間を目安にして、小さな屋台がご飯を出しているのだった。 2日目に体がビキビキと痛んで動けなかったれいは、思いがけず目の前に昼食屋さんがあって小躍りした。 挿絵 by えみこ さん Instagram旅アカウント Instagram沖縄とお菓子アカウント Instagram家庭菜園アカウント 屋台を眺めてみる。屋台だけを見ても要領を得なかったが、客が食べている器を見ると、汁ものの麺料理であるようだった。 れ「同じのをください」とれいは注文した。 女「はいよ。お嬢さん旅の人だね?」おかみさんは元気な声で言った。 れ「そうなんです。サントハイムという国から来ました」 とれいが受け答えをしていると、なんとテーブルに座っていた女の子が、屋台の狭いキッチンに立ち始めた。まだ8歳か、せいぜい10歳にしかなっていないように見えるが・・・ れ「え、この子が作るんですか!」 女「そうだよ。ラーメンなんて8歳にでも作れるさ」おかみさんはけろりと笑っている。 娘は真面目な顔


episode41 『王と悟り』
episode41 ソロ 今の装備 無事川を越えた。 マーディラスはここから南西に下っていった先にある。 それ以外の町はどの方角にあるのだ?残念ながらそれは北西だという。それぞれの目的地を貫くには、これ以上先は同行できない。 「じゃぁね」だ。 マーニャは驚くほどあっさりと、南西へと馬車を走らせた。 寂しさを増長しないためにはどうすればいいか、彼女はよくわかっている。そうでないと何年も旅などできないのだ。 とにかくソロにとって、5日歩かなければならない距離を馬車で稼げたことはありがたかった。大きな休息やリフレッシュを兼ねられた。なるべく歩いて地球を踏みしめたいと思っているが、同時に馬車など活用しながら上手に先に進んでいきたいものだ。 1人になって2日を歩くと、やがて大きな街に到着した。 トウキョの街 by 生成AI トウキョの街だ。 城壁を持つ街だった。城壁街は、門をくぐったときに誕生日プレゼントを開けたような驚きを味わえるから楽しい。 ソ「わぁお、カッコイイ!」 トウキョの街は、オートモービルの行き交う文明的な街であった。車のことだ。私たちの世界


episode40 『王と悟り』
episode40 マーニャ マーニャと走る馬車の上だ。テムール川への行脚は順調に進んでいる。 ソ「まだまだ聞いてもいいですか?」 マ「え?いいよ」マーニャにとってもこの会話は面白かった。とても。相手がどういう相槌を打ち、どういう見解を挟み、どういう表情でいてくれるか。何を笑ってくれるのか。何を許してくれるのか。同じような話題をしていても、相手の反応によって面白さの度合いは変わってくるのだ。マーニャにとってソロは、良い聞き手だった。 ソ「マーニャのママは、なんでさすらってたんでしょう?どこかペトラ遺跡とか、行きたい場所があったんですかね?」 マ「うーん、ママのママもジプシーだった、ていうのが一番大きい理由かなとは思うよ。旅行とはちょっと違うんだ。どこに何があるか知らないし。昔はなおさらそういう情報なかったし。 1つの所に留まらずに生きていたい、そうする以外にない、て人たちがジプシーやってる。 ママがそう育って、自分も辞めたくなかったからあたいを産んでもジプシーやってた。でもだんだん感じ方が変わったんだろうね。魔法学校に入れたりしたのはね。..


episode39 『王と悟り』
episode39 マーニャ カッカッカッカッカッカ・・・馬車は小気味よく走っていく。 ソ「メトン川のあたりの素朴な人たちは、セックスに中毒している気配もありませんでしたよ。一部を除いては」 マ「快楽としてのセックスをまだ知らないんだろうよ。子供を生むためのセックスしか知らない文化なんじゃないか?」 ソ「そうかもしれないです」 マ「この街とか、先進国はどこでもそうだけどさ。快楽としてのセックスを知ってしまったらもう禁止は無理だと思うよ。禁止!って言っても隠れて悪さするだけさ。それより『上手にやんなさい』って言わないと」 ソ「そうですね」その通りのような気がする。 マ「ママはそれを教えてくれたってワケさ」 ソ「へぇ」ママはもう死んでしまったのだろうか。 色々と話を聞きたいが、優先順位がある。 ソ「テムール川?でしたっけ。川までどれくらいかかるんでしょうかね?」 マ「2日くらいかかるよ」 ソ「そんなに遠いんだ!」 マ「馬車で2日だろう。歩いたら5日かな。アンタ馬車をヒッチハイクして正解だったと思うぜ?はっはは」 ソ「良かったぁ!ツイてました」...


episode38 『王と悟り』
episode38 翌朝はなぜか、4時頃にはもう目が覚めた。 こんな時間ではサービスの朝食はまだ貰えないが、身支度をしてもう出ることにした。 例の川の様子が見たい。 大聖堂のある広場の前を通る。 おや?街はまだ眠り、とても閑散としているのに、広場の隅にポツンと変なものがある。 馬車か。荷台に屋根のついた幌馬車だ。やたら装飾が施されていて、まるで教会の中のように芸術的だ。 挿絵 by 生成AI ソロは興味を惹かれて、馬車に近寄ってみる。あわよくばテムール川の方面に向かったりしないだろうか。たまには同乗させてもらうのも良いはずだ。 ソ「女性だ」 近寄ってみると、髪の長い、スカートの裾の長い18才くらいの女性が、馬車の走り支度などしている。 ●マーニャ マーニャ キャラデザ by 絵夢さん 年齢:17歳 誕生日:3月13日 身長:162cm ソ「これ、馬車ですよね」 女「うん?あぁ、そうだよ」 ソ「幌馬車というやつでしょうか。こんなのあったら長旅もはかどりますね!」 女「幌馬車というか、家馬車だな」長い髪に反して、少々ぶっきらぼうな話し方をするらしい。


episode37 『王と悟り』
episode37 遠まわしなナンパばかりだ。この街はあまり長居せずに出よう。 しかし今日はもう夜になる。宿に戻って夕食を摂った。 夜も食堂は賑わっている。その様子をぼーっと眺めていた。 よく見ればここもまた、宿泊している冒険者が近所の僧侶を口説いたりしている。 男「それがさぁ、べっぴんだと思って声かけた女がよ?なんと2日前にナンパした巨乳ちゃんだったんだよ!がっはっは傑作だろ?」 口説く男も男だが、口説かれる女も女だ。 カルベローナの里のターニアは「魔法使いの女は意外と男好きだ」と言っていた。カルベローナの血を継いでいない女もそうなのか。そして僧侶の女たちもそうなのか。こんな男に口説かれて嬉しいのかなと首をかしげたくなるが、色々な思惑があるのだろうか。それともまだ若くて、男の良し悪しがわかっていないのだろうか。 誰も世界を善くする気などなく、恋愛か金ヅルのために動いているように見える。 僧「あらお兄さん、見ない顔じゃなーい?」 女のほうから声を掛けてきた。僧侶のように見える。冒険者を漁っている、地元の僧侶? ミユ キャラデザ by 生成AI..


episode36 『王と悟り』
episode36 教会の前に広場があるのは良いことだ。 教会に赴いても気分が良くならないことがあるとき、広場の路上ミュージシャンが神父の代わりに心を癒してくれることがある。・・・とソロは感じる。 音を、音楽をどう感じるかは個人差が大きい。雑音や雑踏としか捉えていない人もいて、メロディーやハーモニーや音色の美しさにヨダレが垂れる人もいる。 広場には、クラリネットを吹く若い女性がいた。まだ14~5歳と思われる。学校はどうしたのだ?と心配になる年の頃だ。 小さな台の上に立って感情的にメロウな曲を吹き、そして台の前に楽器ケースを開いたまま置いている。このケースは、「チップを頂戴」という意味だ。 マリカ キャラデザ by 生成AI 学校に行くのをやめて、音楽でもう勝負して生きたい!という少女なのだろう。ソロはこういう子を応援したくなる。 しかし本人の奮闘虚しく、ケースにはあまりチップが入っていない。 選曲のセンスは良い、と感じる。しかし高音の抜けが悪い。 雑踏に負けないように響かせたいゆえに高音域の多い曲を選んでいるが、それを吹き切れていない。指使いは器


episode4 『王と悟り』
episode4 主人公のソロ 早朝。乗客の多くがまだすやすやと寝静まる頃、船は西の大陸の端くれに着岸した。とても小さな港町だ。 ソロの故郷カレンから南に下ってきた。豪華客船はここで幾らかの客を降ろしたあと、進路を直角に、東に変える。そして東の大陸を目指すのだった。同じ船が、西の大陸にも東の大陸にも行くのだ。 挿絵 by 生成AI 空はまだ明けやらぬ、ナイーヴな色をしていた。風はまだ起きておらず、港は静かで、カラスか何かだけがカーカーとまばらに鳴いている。 人の足音はそのすべてが聞こえるが、数十人がソロと一緒にここで降りたようだった。 木の古びた桟橋を歩いていくと、検問所のようなものがある。そこで乗客は立ち止まり、列が生じている。検問を受けるようだ。 外国に来たぞ!大丈夫だろうか?検問なんていうのはドキドキする。 ソロの番になる。 兵「どこから乗ったね?」 ソ「カレンからです」 兵「西の大陸は?初めてかい?」 ソ「えぇ、外国すら初めてのことで」 兵「剣や槍か、君は武器を持っていないね?」 ソ「もちろんです!大丈夫ですよ」 兵「いや大丈夫じゃないよ


episode35 『王と悟り』
episode35 規模の大きな宿だった。 1階はとても広いロビーで、食堂やバーを兼ねている。宿泊客だけでなく部外者も飲食可能なようで、つまり宿泊者と住民が交流できる仕組みになっている。それゆえに賑わっており、それゆえに騒がしい。 何か喋ってみようと、ソロは前向きに考えた。 隣のテーブルの戦士っぽい男に声を掛ける。 ソ「それ、カッコイイ武器ですね!」 戦「はっはっは、いいだろう! 《炎の剣》だぜ!昨日手に入れたばっかなんだ。 この街は物価も高いが金策がはかどるからなぁ」 ソ「すごいなぁ、ホントにカッコいい。それ、幾らくらいするんですか?」 戦「8,800ゴールドだ。スゴイだろ!」 ソ「すごい!」 戦「兄ちゃんは?どっから来たんだ?」 ソ「こないだは山のとこの洞窟に潜ってましたよ。宝箱開けたら《青銅の剣》を見つけました!」 戦「はぁ?おまえ《青銅の剣》ごときで喜んでんのかよ!貧乏だなぁおい!」 明らかに口が悪い。が、気にしないように努める。 ソ「あはは貧乏なんですよ~」 戦「じゃぁウマいハナシがあるぜ!おまえも橋の工事のバイトやったらいい!日給5
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